【決算速報】ノボ・ノルディスクが市場予想を大幅超え!しかし成長鈍化の懸念も?

デンマークの大手製薬会社ノボ・ノルディスク(NVO)は、第4四半期決算で市場予想を大幅に上回る売上と利益を計上しました。これにより、同社の競争相手であるイーライリリー(LLY)との激しい競争に対する投資家の懸念が和らぎました。しかし、今後の売上の成長が鈍化する可能性も指摘されています。

予想を上回る決算内容

ファクトセットのデータによると、ノボ・ノルディスクの第4四半期の売上は857億デンマーク・クローネ(DKK)、1株当たり利益は6.34デンマーク・クローネ(0.88ドル)でした。これは、市場予想の801億デンマーク・クローネの売上と、1株当たり利益5.98デンマーク・クローネを上回る結果となりました。

この好決算を受けて、ノボ・ノルディスクの米国預託証券(ADR)は、市場前取引で3.9%上昇し、85.80ドルに達しました。また、デンマーク市場での同社の株価も3.6%上昇しました。

減量・糖尿病治療薬の売上が成長を牽引

ノボ・ノルディスクは、減量・糖尿病治療薬「オゼンピック」と「ウェゴビー」の販売拡大により、ヨーロッパで最も時価総額の大きい企業となりました。高級ブランドを擁するLVMHを抜き、トップの座を獲得しました。

しかし、同社の株価はここ数カ月で下落しており、2024年後半の6カ月間で約40%下落しました。これは、オゼンピックとウェゴビーの売上が市場の期待に見合わない可能性が指摘されたことや、次世代減量薬「カグリセマ」の試験結果が市場の期待を下回ったことが要因となっています。

また、2025年のガイダンスが市場の期待を下回る内容となったことも、投資家の懸念を強めました。

売上成長の鈍化と今後の見通し

ノボ・ノルディスクは、2025年の売上成長率を16%~24%と予測しています。これは、2024年の26%の成長率を下回る水準です。営業利益の上昇率についても、2024年の26%の上昇に対し、19%~27%と見込まれています。

BofAのアナリストであるサチン・ジェイン氏は、「このガイダンスの幅は広いものの、コンセンサス予想の20%とほぼ一致しており、市場の懸念よりは良好な内容だ」と述べています。

供給制約による影響

ノボ・ノルディスクは、ウェゴビーとオゼンピックの需要に対応しきれない状況が続いており、供給制約が売上成長の妨げとなっています。2024年12月には、GLP-1医薬品の供給を強化するために110億ドル規模の投資を完了しましたが、市場への影響が表れるまでには時間がかかる見込みです。

同社の製品供給・品質・情報技術担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントであるヘンリック・ウルフ氏は、「新薬の上市と市場での需要のバランスを取りながら、どのように供給不足を解消していくかを見極めている」と述べています。

減量薬「カグリセマ」と「アミクレチン」に対する市場の反応

ノボ・ノルディスクは、オゼンピックとウェゴビーの有効成分である「セマグルチド」を活用した新薬「カグリセマ」の開発を進めています。しかし、2024年12月下旬に発表された第3相試験の結果では、患者の体重が22.7%減少するにとどまり、市場の期待であった25%減少には届きませんでした。

また、2025年1月には別の減量薬「アミクレチン」の初期データを発表し、有望な結果を示しました。今後の詳細なデータ発表が投資家の関心を集めています。

今後の投資戦略

ノボ・ノルディスクの今後の成長は、供給制約の解消や新薬の開発状況によるところが大きいと考えられます。同社の減量・糖尿病治療薬は引き続き強い需要を維持しており、長期的には成長が期待されます。しかし、競合であるイーライリリーの「モンジャロ」や「ゼップバウンド」などの製品との競争が激化していることから、投資家は今後の市場動向に注意を払う必要があります。

また、2025年の売上成長率が2024年を下回る見通しであることから、短期的には株価の変動が大きくなる可能性があります。供給制約が緩和され、新薬が順調に市場に投入されれば、ノボ・ノルディスクの株価は回復する余地があります。

ノボ・ノルディスクの成長戦略や市場動向を注視しながら、投資の判断を行うことが重要です。

*過去記事「ノボ・ノルディスク株が急騰!新減量薬が肥満治療の新時代を切り開く可能性

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