イーロン・マスク氏が率いる人工知能スタートアップ企業「xAI」は、AI分野での競争力を高めるため、新たに60億ドルの資金を調達しました。この資金調達ラウンドでは、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ（AMD）やエヌビディア（NVDA）が重要な役割を果たしました。これらのチップメーカーは、マスク氏との関係を強化しながら、急成長するAI市場での地位を確保しようとしています。
500億ドル評価を超える資金調達
xAIは今回の資金調達で、これまで報じられていた50億ドルを超える規模で、評価額が500億ドルに達しました。同社はアメリカのベンチャーキャピタルや、サウジアラビア、カタールの投資ファンドからも支援を受けています。この動きにより、xAIはAI業界の主要プレイヤーとしての地位を確立しつつあります。
エヌビディアとAMDの戦略的役割
エヌビディアとAMDがxAIの資金調達ラウンドに参加したことは、業界において意外性を感じさせる部分もあります。しかし、これらの企業にとって選択肢を広げることは理にかなっています。アルファベット（GOOGL）、メタ・プラットフォームズ（META）、アマゾン・ドット・コム（AMZN）などの大手テクノロジー企業は、独自の社内プロセッサを開発する傾向にあります。そのため、エヌビディアやAMDにとって新たな顧客を確保することは非常に重要です。
また、マスク氏との関係を維持することで、最先端AIモデルのトレーニングや実装における自社技術の優位性をアピールするチャンスにもなります。
テネシー州でのスーパーコンピューター導入計画
テネシー州メンフィスの商工会議所の発表によると、xAIは同州のスーパーコンピューター施設に最低100万個のグラフィック処理ユニット（GPU）を導入する予定です。同社は現在、エヌビディアのHopper AIチップを20万個保有しており、これらは「Grok AIモデル」のトレーニングに活用されています。
AI市場でのxAIのポジション
xAIはこれまで、AI業界の主要プレイヤーではありませんでしたが、最近では急速に存在感を高めています。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同社は2024年時点で年間売上が1億ドルを超えるペースにあると報告しています。一方で、OpenAIは今年40億ドル近い売上を見込んでおり、依然として市場のリーダーである状況です。
今後の展望
xAIは現在、「Grok 3」のトレーニングを進めており、革新的な消費者向けおよび企業向け製品の開発に注力しています。もしAIデータセンター構築が成功し、その技術が市場で広く受け入れられれば、xAIは業界の中でさらに重要なプレイヤーとなる可能性があります。
今回の資金調達は、xAIにとって次なるステップを踏むための重要な基盤となり、AI市場の勢力図を塗り替えるきっかけとなるかもしれません。