近年、AI(人工知能)への懐疑論が話題になることも多いですが、実際にはすでに多くの企業がAIを活用して成長を加速させています。特に最先端技術に投資することで知られるバロン・キャピタルが注目する5社をご紹介します。
デュオリンゴ:語学学習の新境地を開拓
デュオリンゴ(DUOL)はオンラインで外国語を教える分野で急成長を遂げている企業です。同社の成功の鍵は、AIを中心に据えた事業モデルにあります。現在、40以上の言語コースを提供し、月間アクティブユーザーは前年比36%増の1億1,300万人、有料会員は47%増の860万人に達しました。
AIによる重要な機能の1つが、会話練習を支援するAIキャラクター「リリー」です。リリーは学生のスキルに応じた会話を提供し、過去の会話内容も記憶するため、より個別化された体験が可能です。また、「バードブレイン」というAI機能では、ユーザーの習熟度に応じて最適なレッスンを提案します。このような技術的な進化は、創業者のルイス・フォン・アーン氏とセヴェリン・ハッカー氏のAI研究の背景に基づいています。
*過去記事「株価急上昇のデュオリンゴ!最新四半期決算でウォール街を驚かせる」
アクソン:行政作業を効率化
アクソン・エンタープライズ(AXON)は警察向けボディカメラやテーザー銃の製造で知られる企業で、AIを活用して警官の報告書作成の時間を大幅に削減しています。同社の「ドラフト・ワン」では、ボディカメラの音声やGPSデータをもとに5分以内で報告書の下書きを作成します。
また、AIを活用したライセンスプレートの読み取り機能や動画の自動編集機能も提供。これにより、法執行機関だけでなく、リテールや医療分野にも展開を広げる可能性があります。
*過去記事はこちら アクソン AXON
クレイトス・ディフェンス&セキュリティ・ソリューションズ:次世代ドローンの開発
クレイトス・ディフェンス&セキュリティ・ソリューションズ(KTOS)は、ミサイルのペイトリオットやアイアンドームの構成部品を供給する防衛企業です。同社の注目技術は、AIを搭載した高性能ドローン「XQ-58バルキリー」です。このドローンは戦闘中に偵察や攻撃、敵の火力を引き受ける「僚機」として機能します。
AIはレーダーやセンサー、GPSデータを解析し、ルールに基づいて即座に判断を下します。同社は売上高の増加を見込み、2029年までに年商を約35億ドルに拡大させる計画です。
センチネルワン:サイバーセキュリティの革新
センチネルワン(S)は、AIを活用したサイバーセキュリティプラットフォーム「シンギュラリティ」を提供しています。同プラットフォームはリアルタイムでデータを分析し、人間よりも迅速にサイバー攻撃を検知・対応します。
売上高は第3四半期に28%増加し、今年の売上成長率は32%に達する見込みです。同社は現在、市場シェアが2.5%であるため、今後も成長余地が大きいとされています。
テンパスAI:医療診断をAIで高度化
テンパスAI(TEM)は、AIを活用して医療診断を革新している企業です。患者データやゲノムデータ、臨床試験結果を分析し、より個別化された治療法を提案する「インテリジェント診断」を提供しています。
同社はがん診断を皮切りに、神経精神医学や放射線医学、感染症など幅広い分野に事業を拡大しています。さらに、製薬企業向けにデータベースを販売しており、2029年までに売上高を約30億ドルまで成長させる計画を発表しています。
これら5社は、それぞれの分野でAIを活用することで顕著な成長を遂げており、今後も注目すべき企業といえます。AI技術の進化が市場に与える影響は、ますます大きくなることが期待されています。