テクノロジーセクターを今年引っ張ってきたエヌビディア(NVDA)の株価は、急激な変動を見せています。直近では強気相場のピークから10%以上の下落となり、調整局面に突入しています。さらに、過去3営業日で5.4%下落しました。一方で、ナスダック総合指数(COMP)は堅調に推移し、過去3営業日で1%の上昇を記録しています。
半導体セクター全体を見ると、PHLX半導体指数(SOX)も直近2日間で好調な動きを見せています。これは、ブロードコム(AVGO)の堅調な決算報告が追い風となった結果です。
AI市場の広がりとエヌビディア以外の企業
この相違が示すのは、AI市場が依然として活況を呈しており、その恩恵が他の企業にも広がっているという点です。仮に投資家がAI関連の短期的な支出に不安を抱いているなら、テクノロジーセクター全体が影響を受けていたはずです。しかし、ウォール街は新たなAIブームに自信を持ち、さまざまな企業への投資が進んでいます。
投資家はテクノロジーや半導体セクターから資金を引き揚げているわけではありません。むしろ、ブロードコムやマーベル・テクノロジー(MRVL)、マイクロン・テクノロジー(MU)といった企業の株を積極的に買い増している状況です。
ブロードコムが示した市場の可能性
米国みずほ証券のアナリスト、ジョーダン・クライン氏は、ブロードコムの最新の決算報告は注目に値するものだったと評価しています。同報告では、2027年までに半導体市場で600億ドル〜900億ドルのサービス可能な対象市場が形成されるとの予測が示され、その数字はさらに拡大する可能性もあります。
クライン氏は、投資家がエヌビディア株を一部売却し、ブロードコム株を増やす動きがあると指摘しています。また、多くのヘッジファンドマネージャーは、ブロードコム株の急騰に追いつくための行動をとる必要性を感じていると分析しています。
*過去記事はこちら ブロードコム AVGO
マーベルとカスタムシリコンへの期待
マーベル・テクノロジーに関しても、ブロードコムの決算報告がポジティブな影響を与えています。同社はカスタムシリコンに取り組んでおり、これが今後の市場成長を支える重要な技術として注目されています。
ブロードコムの報告を受けて、マーベルの株価は以前よりも魅力的に見えるとクライン氏は述べています。こうした動きは、AI関連支出の次の段階が広範な企業に利益をもたらすことを示唆しています。
*過去記事はこちら マーベル・テクノロジー MRVL
エヌビディアの時価総額の減少と他企業の成長
データトラック・リサーチの共同創設者ニコラス・コラス氏は、エヌビディアの時価総額が11月7日の最高値から4130億ドル減少した一方で、ブロードコムは3020億ドル、マーベルは270億ドル増加したと指摘しています。
エヌビディアが今年、株式市場の強力な推進力であったことは間違いありませんが、他にも成長を牽引する企業は存在します。コラス氏は「これらの企業は目立たないかもしれないが、堅実に成長を続けている」と述べています。
マイクロンへの見方と投資家の戦略
マイクロン・テクノロジーについては、弱気になった投資家がブロードコムの急騰を受けてショートカバーを行った可能性も指摘されています。
エヌビディアの株価低迷にもかかわらず、大型株のテクノロジー株が底堅さを見せていることは、投資家が特定の銘柄だけに依存していないことを示す良い兆候です。
AI市場の次のステージへ
AI市場は今後さらに広がりを見せ、エヌビディアだけでなく、ブロードコムやマーベルなど、多くの企業がその成長を支える存在になることが期待されています。投資家は、引き続きAI関連の技術動向や市場予測を注視し、柔軟な投資戦略を展開することが重要です。
エヌビディアの調整局面は一時的なものに過ぎない可能性がありますが、同時に新たなリーダー企業が浮上している点も見逃せません。今後の動向を追うことで、さらなる投資機会を見出すことができると考えられます。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA