アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、AIチップ市場での地位を強化するため、大手競合先であるエヌビディア(NVDA)に挑戦しています。しかし、その道のりは平坦ではありません。第3四半期の決算発表後の10月30日の市場で、AMDの株価は一時9.5%下落し、150.50ドルになりました。同社の売上予測は投資家の一部を失望させましたが、AMDのAIチップ市場での成長余地にはまだ希望が残っています。
AIチップ市場でのAMDの挑戦
AMDは、データセンター向けのAIチップ売上高を2024年には50億ドル以上に引き上げる目標を掲げており、長期的な成長が期待されています。しかし、エヌビディアの市場シェアを即座に奪うことは難しく、投資家はこの点を冷静に受け渡る必要があります。ウォール街の一部アナリストも、エヌビディアとの直接的な競争を期待するのではなく、AMDの独自の成長戦略を注視するよう助言しています。
投資家の視点で見たAMDのポテンシャル
メリウス・リサーチのベン・ライツェス氏によると、AI GPU分野での成長は2025年も変わらず、特にメタや中東市場での需要拡大が期待されています。ライツェス氏はAMD株を「買い」と評価し、目標株価195ドルに設定しています。この見立てが実現すれば、来年にはAIチップ売上高が100億ドルに達する可能性も示唆されています。
ただし、エヌビディアは最新の四半期でデータセンター売上で260億ドル以上を達成しており、AMDの成長にはさらなる時間が必要とされるのが現状です。さらに、AMDがリリースしたMI325Xチップも、エヌビディアの次世代「Blackwell」ハードウェアと比較して優位に立つことは難しいとの指摘もあります。
BofAの分析とAMDの成長見通し
BofAグローバルリサーチのアナリスト、Vivek Arya氏もAMD株の「買い」推奨を維持し、目標株価を180ドルに設定しています。Arya氏は、AMDがPCやサーバーの分野でインテルに対して成功した事例を提げつつも、エヌビディアのシリコンやソフトウェア、開発者エコシステムに対抗するにはまだハードルが高いと言っています。しかし、AMDの株価収益率がエヌビディアよりも割安であることから、投資家は冷静にAMDの独自の成長を楽しむべきと示唆しています。
2025年に向けた期待
シュティフェルのアナリスト、ルーベン・ロイ氏は、2025年にはAMDのMI325シリーズプロセッサが本格的に市場に投入され、AIコンピューティング分野での成長がさらに加速するだろうと言っています。ロイ氏もAMD株の「買い」推奨を維持し、目標株価を200ドルに設定しています。同氏によれば、データセンターインフラの構築には変動があるものの、特に2025年後半には大規模な成長が期待されるとのことです。
まとめ—AMDの投資価値と今後の成長シナリオ
AIチップ市場における競争は烈しいものですが、AMDは堅実な成長戦略を描いています。短期的にはエヌビディアに追随するのは難しいものの、長期的には独自のポジションを立ち、AIインフラ市場に貢献できる可能性があります。投資家としては、エヌビディアとの競争を意識し過ぎず、AMDがAI技術への投資と市場拡大に向けてどのような戦略を展開するかに注目することが重要と思われます。
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