ブロードコム(AVGO)の株価は、10月29日の取引中に新たな人工知能(AI)チッププロジェクトのニュースが伝わり、急上昇しました。29日の終値は4.2%高の179.24ドルとなり、投資家たちはこの新たな展開に強い関心を示しています。
OpenAIの新しいAIチップ開発におけるブロードコムの協力
ロイターの報道によると、OpenAIが初の社内AIチップ開発に取り組んでおり、ブロードコムがその設計を支援しています。具体的には、ブロードコムはAIチップのアーキテクチャ設計や、低電力消費と高効率のバランスを取る技術提供に貢献しており、これによりOpenAIが推論チップの性能を最大化する手助けをしています。また、TSMCとして知られる台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)もプロセスに関与し、チップ製造を担当する可能性があります。この協力関係は、急成長するAI市場における戦略的な動きと言えそうです。
OpenAIは、ChatGPTやDALL-Eなどの生成AIサービスを提供していることで知られ、AI技術の先駆者とされています。同社はさらなる成長を目指し、サードパーティハードウェアへの依存度を減らすために自社チップの開発を進めています。これにより、ブロードコムはAI分野で新たな市場機会を得る可能性が生まれました。
ブロードコムの役割:AI推論チップの設計支援
報道によれば、ブロードコムはOpenAIが設計する新しいチップにおいて、特にAI推論アプリケーション向けの設計支援を行っています。このチップは、エヌビディア(NVDA)の先進的なグラフィック処理ユニット(GPU)に取って代わるものではなく、エヌビディアのGPUがAIモデルのトレーニングに最適化されているのに対し、OpenAIの新チップは推論用途に特化し、より軽量な処理を目指しています。
ブロードコムの役割はエヌビディアのGPU市場を脅かすものではなく、新たな領域での協力を意味しています。エヌビディアのGPUはAIモデルのトレーニングに優れている一方、ブロードコムはAI推論に特化した効率的なチップ設計を支援しており、それぞれの強みを活かした協力関係が業界にとっても注目すべきプロジェクトとなっています。
ブロードコムにとっての今後の可能性
OpenAIの初の自社AIチップ開発プロジェクトにブロードコムが協力することで、同社の売上にどの程度の影響を与えるかは現時点で不明ですが、市場の拡大トレンドを考えると、AI推論チップの需要が増加することで中長期的にブロードコムの収益に大きなプラスの影響をもたらす可能性があります。
AI分野のリーダー企業であるOpenAIとの連携は、ブロードコムの将来的な成長の兆しとして評価されています。実際、ブロードコムの株価は年初来で約60%上昇しており、AI関連事業の追い風が同社の評価額の上昇に貢献しています。
AI技術の需要は拡大を続けており、今回のOpenAIとの提携はブロードコムの市場競争力をさらに強化する可能性があります。
*過去記事 ブロードコム AVGO