AMD、第3四半期決算でAIデータセンターガイダンス引き上げも株価は下落

  • 2024年10月30日
  • 2024年10月30日
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10月29日、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は第3四半期の決算を発表しました。売上は予想通りでしたが、競争の激化やコストの増加のため、12月期の売上見通しは市場の期待を少し下回りました。さらに、2024年のAIデータセンターガイダンスを引き上げたものの、投資家の期待には応えられず、時間外取引で株価が下がりました。この下落は、投資家がもっと大きなガイダンスの上方修正を期待していたことや、競争が激しいことが理由です。

第3四半期の業績概要

AMDの第3四半期の1株当たりの利益は92セントで、これはウォール街の予想と一致しました。売上は68億ドルで、アナリストの予想である67億1000万ドルを上回りました。しかし、今期(12月期)の売上高予想は72億ドルから78億ドルの範囲で、中間値は75億ドルとなり、アナリストの予測である75億5000万ドルを少し下回っています。

AMDのCEOであるリサ・スー氏は、「EPYCやInstinctデータセンター製品の販売が増え、またRyzen PCプロセッサの強い需要により、第3四半期の売上は過去最高を達成しました。今後も、ますます増えるコンピューティング需要に支えられて、データセンター、クライアント、組み込み事業で大きな成長のチャンスがあります」と述べました。

株価と市場の動向

決算発表後、AMDの株価は時間外取引で一時7%下落しました。この下落は、ガイダンスの上方修正が投資家の期待に届かなかったことや、競争が厳しい状況に対する懸念からです。今年のAMDの株価は13%上がっていますが、半導体業界全体を表すETFであるiShares Semiconductor ETF(SOXX)は同じ期間に23%の上昇を見せています。これは、AMDが市場全体に対してやや遅れていることを示しています。

部門別業績:データセンターとPCの成長

AMDのデータセンター部門は、9月期に前年同期比で122%の売上成長を記録しました。クライアントPC事業も前年同期比で29%増え、Ryzenプロセッサの強い需要が業績を支えています。一方、ゲーム事業は前年同期比で69%減少しましたが、これは消費者需要の低迷と競合製品の影響が原因です。全体の売上は前年同期比で18%増加しました。

2024年のAIデータセンターガイダンスと投資家の反応

リサ・スー氏は投資家との電話会議で、2024年のデータセンターAI GPUの売上が50億ドルを超える見通しであると述べました。この見通しは、7月に発表された45億ドルを上回りますが、投資家はさらに大きな上方修正を期待していたようです。これは、市場予測や競合他社の成長に基づいていたためです。

新製品発表:Instinct MI325XとMI350 GPUシリーズ

今月初め、AMDは最新のAI向けデータセンターチップ「Instinct MI325X」を発表しました。さらに、CDNA 4テクノロジーを搭載した次世代のMI350 GPUシリーズのプレビューも行われ、2025年後半にリリースされる予定です。MI350は、CDNA 3を搭載したGPUと比べて推論性能が35倍向上するよう設計されています。

まとめ:成長への期待と市場の反応

AMDはAI分野で安定した成長を続けており、特にデータセンター事業での成功が目立ちます。しかし、投資家は予想を超えるサプライズを期待していたため、決算発表後に株価は下がりました。半導体市場の競争は激しく、AMDの今後の成長戦略には注目が集まります。特に、AIデータセンター向け製品が市場でどれだけ成功するかが、今後の株価に大きく影響しそうです。

*過去記事はこちら  AMD

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