ビッグテック企業の決算発表シーズンが再び訪れ、投資家や市場関係者が注目しています。特に、アルファベット(GOOGL)とメタ・プラットフォームズ(META)は、過去の決算報告以来、異なる方向へと進んでおり、今回の決算は重要な局面となります。さらに、今週は「マグニフィセント・セブン」のうち、多くの企業が決算発表を控えており、テクノロジーセクター全体にとっても重要な1週間となります。
生成AIへの期待とテクノロジー株の動向
2024年に入り、テクノロジー株は生成AIへの期待を受けて急騰しました。特にエヌビディアやメタ、アルファベット、アップル、アマゾン、マイクロソフト、テスラは、AI分野への積極的な取り組みによって株価が押し上げられています。この状況下で、今週の決算発表は、株式市場にとって重要な判断材料となります。
Global X ETFsの調査アナリスト、イド・カスピー氏は「期待値は非常に高く、S&P 500や他の主要指数におけるビッグテックの比重が大きいため、エラーの許容範囲は狭まっている」と指摘しています。そのため、各企業の決算が市場にどう評価されるかが、今後の株価の動向に大きく影響を与えることが予想されます。
アルファベットの課題と期待
アルファベットの株価は、前回の決算報告以来2.1%の下落を記録しています。同社はAIへの投資を積極的に行っていますが、その成果が利益に結びつくタイミングが明確でないことから、投資家の間で懸念が高まっています。また、競争の激化や市場シェアの喪失に対する不安もあり、加えて最近の裁判官による「検索と広告での独占状態」との裁定も、規制リスクを高める要因となっています。
現在のアルファベットの株価は、予想PERが19.4倍であり、過去5年間の平均(23倍)を下回っているため、投資家にとっては期待がそれほど高くない状況とも言えます。もし今回の決算で市場のコンセンサスを上回る成果を見せることができれば、大きな株価の上昇も期待されます。
*過去記事 アルファベット GOOGL
メタ:生成AIとVRで市場をリードする勝者の評価
一方、メタは非常に好調な1年を過ごしています。同社の株価は過去3ヶ月で25%上昇し、AI分野での優位性と仮想現実(VR)プロジェクトに対する自信が投資家の支持を得ています。しかし、株価の急騰により期待も高まり、単なる好業績では市場の期待に応えることが難しい状況にあります。現在の予想PERは24倍であり、メタはその評価に見合うだけの成長性を証明する必要があります。
*過去記事 メタ・プラットフォームズ
アマゾン、アップル、マイクロソフトのパフォーマンス:成長の鍵と注目点
その他のビッグテック企業について目を向けると、アマゾン、アップル、マイクロソフトの株価も、過去3ヶ月で上昇していますが、メタほどの急騰ではありません。それぞれ、アマゾンは3.7%、アップルは6.7%、マイクロソフトは0.9%の上昇です。特にアマゾンは、AWSクラウド事業の成長の兆しが見られるかが注目されており、アップルに関してはiPhone需要の健在性が焦点となります。
マイクロソフトの株価はS&P 500の年初来22%増に対し13%の上昇に留まっていますが、AIへの多額の投資に対する懸念から、株価の動きは控えめです。しかし、これにより決算発表に対する期待も相対的に低く、投資家が寛容な目で結果を受け入れる可能性もあります。
今後の展望:生成AI時代の勝者はどの企業か?
今週のビッグテック企業の決算発表は、生成AIに対する期待がいかに実績に結びついているかを示す重要な機会です。特にアルファベットとメタの対照的なパフォーマンスは、投資家にとってどの企業がAI時代の勝者となるのかを見極める上で注目すべきポイントです。今後も市場はビッグテック企業の動向に敏感に反応することが予想され、投資家は引き続き注意深く見守る必要があります。