2025年に向けたAMDとエヌビディアの株価展望:AIチップ市場の競争激化

AMD

今年、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価は11%の上昇にとどまり、S&P 500種指数の21%の上昇を下回っています。一方、エヌビディア(NVDA)の株価は170%以上の急騰を見せ、両社のパフォーマンスには大きな差があります。しかし、2025年に向けてエヌビディアの優位が続くかどうかは、さらに議論を呼ぶところです。

AMDのAI推進イベントと新チップに対する市場評価

バーンスタインのアナリスト、ステイシー・ラスゴン氏は、AMDがAIアクセラレータ市場で進展を見せているものの、依然としてエヌビディアに対抗するには課題が残ると述べています。10月10日に開催されたAMDのAI推進イベントでは、新しいMI325Xアクセラレータチップが発表されました。AMDは、このチップがエヌビディアのH200製品に対して性能優位を持つと主張していますが、H200はエヌビディアの旧型グラフィック処理ユニットに過ぎません。

ウォール街では、エヌビディアの次世代チップ「Blackwell」に注目が集まっています。ラスゴン氏によると、AMDのMI325XはBlackwellに対抗できない可能性が高く、Blackwellの方が性能に優れ、早期に収益化されると予想されています。

エヌビディアが引き続き優位に立つ理由

エヌビディアは、AIハードウェア市場で圧倒的なシェアを誇っており、2025年以降もそのリーダーシップが揺るがないと見られています。ラスゴン氏は、AMDの新チップには注目点があるものの、現時点ではエヌビディアの保有が賢明だと述べています。エヌビディアのBlackwellチップがまもなくリリースされ、その高性能が市場にさらなる影響を与えると期待されています。

トゥルイスト證券のアナリスト、ウィリアム・スタイン氏もAMDの新製品に慎重な姿勢を見せており、AMDがAIアクセラレータ市場でシェアを拡大していることを評価しつつも、その立場はエヌビディアに比べて限定的であると指摘しています。

AMDのTurin CPUに対する高い期待

AIアクセラレータ市場が注目される中、メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏は、AMDのTurin CPUに強い期待を寄せています。同氏は、Turin CPUがハイパースケールデータセンター市場での高いシェアと、2025年の企業シェア拡大により成長を見込んでおり、20%以上の成長が可能だと予測しています。

ライツェス氏は、Turin CPUがAMDの財務面にプラスの影響を与え、GPU市場に対する期待を上回る可能性があると述べています。さらに、AI市場におけるAMDの影響力が今後さらに増すだろうとも予測しており、AMDの目標株価を205ドルに据え置いています。

今後の展望:AMDはエヌビディアに対抗できるか?

AI市場での競争は、AMDとエヌビディアの技術的進展と市場戦略に大きく左右されます。キャンター・フィッツジェラルドのアナリスト、C.J.ミューズ氏は、AMDがCPU市場でリーダーシップを拡大している一方、AIアクセラレータ市場にはまだ多くの課題が残っていると指摘しています。同氏は、2025年までにAMDのAIアクセラレータ売上が120億ドル以上に達する見通しが立たなければ、エヌビディアに対抗するのは難しいと述べています。

結局のところ、AMDとエヌビディアの株価は、両社がAIハードウェア市場でどのようにシェアを競い合い、技術的リーダーシップを確立していくかにかかっています。2025年にはエヌビディアのBlackwellチップが市場に大きな影響を与える一方、AMDがどのようにこれに対抗していくのかが注目されています。

*過去記事はこちら  AMD   エヌビディアNVDA

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