アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価は、8月20日の米国市場で0.72%上昇し、156.4ドルを記録しました。これは、AMDが人工知能(AI)インフラストラクチャの大手プロバイダーであるZTシステムズを49億ドルで買収すると発表したことが主な要因です。この発表を受け、19日の株価は4.5%も上昇しました。
AMDのZTシステムズ買収が示す戦略的意図
AMDによるサーバー設計会社ZTシステムズの買収は、市場で概ね好意的に受け入れられていますが、一部のウォール街アナリストは、この買収がAMDの競争力強化にどのように寄与するのかについて懐疑的な見方をしています。特に、AIチップ市場でのエヌビディア(NVDA)に対抗する上で、ZTシステムズの買収がどの程度の効果を持つかが焦点となっています。
AMDの株価とエヌビディアとの競争
AMDの株価は今年に入ってから現在までに6.1%上昇していますが、AIチップ市場で圧倒的なリーダーシップを持つエヌビディアには大きく後れを取っています。ZTシステムズの買収は、AMDがAIインフラストラクチャーシステム全体の設計における専門知識を深め、競争力を高めるための重要な一手とされていますが、エヌビディアのリードを縮めるためには、さらなる戦略が必要とされています。
アナリストの見解:AMDの挑戦と期待
ウェドブッシュのアナリスト、マット・ブライソン氏は、ZTシステムズの買収によりAMDが得られる可能性のある顧客プロジェクトについて言及し、「この取引がAMDにとって期待できる顧客獲得に結びつく可能性がある」と評価しています。同氏は、AMD株を「アウトパフォーム」と評価し、目標株価を200ドルとしています。
一方で、オッペンハイマーのリック・シェーファー氏は、「AMDのAIプラットフォームの構築に向けた取り組みを評価するが、エヌビディアという強大な競争相手に立ち向かうのは困難である」と述べ、同社株を「パフォーム」と評価しました。トゥルイスト証券のウィリアム・スタイン氏も同様に、AMDの格付けを「ホールド」とし、目標株価を156ドルと設定しています。
まとめ:AMDの未来への挑戦
AMDがZTシステムズの買収によりAIインフラストラクチャ市場での地位を強化しようとする努力は、明確な意図を持っていますが、その効果がすぐに現れるかどうかは未知数です。エヌビディアとの競争において、AMDはまだ長い道のりを歩む必要があると考えられていますが、この買収は同社のシリコン、ソフトウェア、システムパッケージを強化するための重要なステップであると評価されています。
AMDの今後の動向は、AI市場の競争激化にどのように影響するのか、引き続き注目が必要です。
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