エヌビディアに勝てるか?AMDがZTシステムズを買収した本当の理由

AMD

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が、サーバーやデータセンター向けハードウェアを設計・製造する非公開企業であるZTシステムズを49億ドルで買収する計画を発表したことの続報です。
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この動きは、人工知能(AI)システム市場が急速に成長する中で、AMDが自社の技術力をさらに強化し、競争優位性を高めるための重要なステップとなります。

AMDの過去2番目の大型買収

今回のZTシステムズ買収は、AMD史上2番目に大きな買収案件です。これは、2020年に行われた350億ドルでのプログラマブルチップ設計会社ザイリンクスの買収に次ぐ規模です。ZTシステムズの買収により、AMDは年間36億ドル以上の売上を生み出す可能性のある事業を手に入れることになります。

しかし、AMDはZTシステムズの製造事業を保持するつもりはなく、買収完了後にはこの部門を売却する予定です。その代わりに、AMDはZTシステムズの設計エンジニア約1,000名を獲得し、自社の技術力を強化します。これにより、データセンター用のマザーボードやネットワーク設計において、さらなる競争力を獲得することが期待されます。

AI市場での競争力強化 – エヌビディアに対抗

AMDは既にデータセンター向けのGPUアクセラレータチップ市場で一定の成功を収めていますが、この市場では依然としてエヌビディア(NVDA)が優位に立っています。エヌビディアは、AIシステムを設計し、データセンター向けの完全なAIソリューションを提供する能力で他社を凌駕しています。特に、エヌビディアのHopperシステムは市場で大きな人気を博しており、同社の主要製品の一つとなっています。

一方、AMDも新たなAIシステム「MI300」を開発し、データセンターの売上を大幅に伸ばしていますが、依然としてエヌビディアに対する挑戦者という位置付けにあります。AMDはZTシステムズの買収を通じて、チップ以外の設計能力を強化し、AI市場での競争力を高めようとしています。

ZTシステムズの製造部門売却による戦略的メリット

ZTシステムズの製造部門を売却することで、AMDは自社の顧客であるサーバーメーカーとの競合を避けることができ、AI市場における低利益率のハードウェア事業からのリスクを回避できます。この戦略により、AMDは自社の利益率を維持しつつ、AI市場での成長を加速させることが可能となります。

AMDの未来 – エヌビディアへの挑戦

AMDの粗利益率は51.2%と、競合他社の2倍以上の数値を誇っていますが、ZTシステムズの1,000名のエンジニアを採用することで新たなコストが発生します。この新たなチームがどの程度の収益を生み出すかが、AMDの今後の成長に大きく影響するでしょう。

AMDは、今回の買収によってエヌビディアに対抗するための新たな武器を手に入れましたが、その成功には多くの斬新な発想と戦略が必要です。今後の展開に注目が集まります。

*過去記事はこちら  AMD

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