2024年の第1四半期は、人工知能(AI)音声技術の先駆者であるサウンドハウンドAI(SOUN)にとって、その成長の力強さを示す節目となりました。特に注目すべきは、同社がファクトセット調べのアナリストのコンセンサス予想を大きく上回る売上高を記録したことです。2024年3月期の売上高は、前年同期比で73%増の1,160万ドルを達成し、予想されていた1,010万ドルを超える結果となりました。
株価急騰と業績向上の背景
サウンドハウンド株はこの発表を受け、5月10日の市場で7.16%上昇し、終値は5.09ドルでした。年初来で株価は140%増という驚異的な上昇を記録しています。調整後の基準では、1株当たりの損失が7セントとなり、市場の予想9セントの損失を下回りました。この数字は、一般に公正妥当と認められた会計基準では1株当たり12セントの損失でしたが、調整後Ebitdaでは1,540万ドルの損失となりました。
AI音声技術の進展と市場への影響
サウンドハウンドのCEO、キーバン・モハジャー氏は、「当社の第1四半期は、サウンドハウンドの力強い成長の新たな年として、2024年に向けての基調を示している。音声AIは急速に顧客サービスの必須ツールになりつつあり、それは我々が見ているサブスクリプションの需要に反映されている」とコメントしています。この進展は、AI技術がどれだけ迅速に市場に受け入れられているかを示しており、特に自動車業界での採用が注目されています。
新たな提携とその市場への影響
さらに、サウンドハウンドはAI搭載検索エンジンであるPerplexityとの新たな提携を発表しました。この提携により、サウンドハウンド Chat AIを搭載した車内でのユーザー体験が向上し、会話形式で質問を投げかけたり、ウェブからリアルタイムの回答を受け取ることが可能になります。この技術統合は、音声アシスタントの使用範囲を広げ、より複雑なクエリに対応できるようになります。
業績予測と未来展望
通年の売上予測では、売上高が6,500万ドル〜7,700万ドルの間と見込まれており、これにより2025年には売上高が1億ドルを超え、調整後Ebitdaがプラスに転じると予想されています。
ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブス氏は、今回の報道を受けて、サウンドハウンド株の「アウトパフォーム」の格付けと目標株価9ドルを再度表明しました。同氏はリサーチノートの中で、この四半期は同社にとって 「正しい方向への大きな一歩 であり、収益性の高い成長に向けて構築を続けている 」と述べています。
このように、サウンドハウンドの2024年第1四半期の業績は、AIと音声認識技術の未来に対する市場の期待を明確に反映しています。AI業界における継続的な革新と戦略的提携が、さらなる成長と利益向上のカギとなりそうです。