メタ・プラットフォームズ(META)の株価は、過去1年で90%もの大幅な上昇を遂げています。この急騰の背後には、同社の野心的な人工知能(AI)への取り組みが大きく影響していると考えられます。しかし、この高額なAIへの投資は、一部のアナリストや投資家にとっては懸念材料となっています。
メタに対して「売り」推奨
BNPパリバのアナリスト、ステファン・スロウィンスキー氏は、メタのAIに対する大規模な支出計画は、同社の株を売る理由になるとしています。同氏はメタに対して「売り」に相当する「アンダーパフォーム」の格付けを与え、目標株価を360ドルと設定しています。これは5月1日の終値439.19ドルから約18%の下落を示唆しています。
スロウィンスキー氏は、AIへの投資が高コストであること、そして新たな収益源が不足している点を指摘。さらに、メタバースプロジェクトによるリソースの消耗も懸念されています。
ウォール街のアナリストで、メタを「売り」またはそれに準ずると評価している人はほとんどおらず、スロウィンスキー氏を含めて3人だけです。ファクトセットの調べでは、メタをカバーしている67人のアナリストのうち、57人が「買い」、7人が「ホールド」としています。
経費削減と投資増加のジレンマ
2024年を「効率化の年」と位置付けたメタは、人員削減やプロジェクトの中止を通じてコスト削減を図っています。しかし、第1四半期の決算報告で、通年の設備投資見通しを350億ドルから400億ドルに引き上げると発表し、AIへのさらなる投資加速を示唆しました。
CFOのスーザン・リー氏は、AI開発の支援のためにインフラ投資を続ける方針を明確にしています。
投資家と市場の反応
このような状況は、投資家にとって諸刃の剣となっています。一方で、メタのAIに対する強いコミットメントは、将来の成長潜在能力を示しており、市場もその点を評価しているようです。しかし、高額な投資とそれに伴うリスクは、株価の不安定要因ともなり得ます。
市場の専門家たちは、効率化によって短期的なマージン向上やリターンを期待するのではなく、長期的な競争力向上と持続可能な成長への投資と見るべきだと語っています。
まとめ
メタの株価動向は、AIへの積極的な投資戦略がもたらすとされる長期的なリターンと、それに伴う短期的なリスクの間で揺れ動いています。投資家はこれを機会と見るべきか、それとも懸念と捉えるべきか、慎重な分析が求められる状況です。メタの将来性を信じるか、あるいはそのリスクを警戒するか、その判断は投資家の手に委ねられています。
*過去記事 メタ・プラットフォームズ