オランダに拠点を置くASMLホールディング（ASML） は、半導体製造に不可欠なリソグラフィー機器の製造で圧倒的な地位を築いています。しかし、同社は1月1日、オランダ政府が最近、NXT:2050iとNXT:2100iリソグラフィ・システムの中国向け輸出許可を一部取り消したと発表しました。これにより、いくつかの顧客への影響が生じています。
オランダ政府の出荷許可と米国の輸出規制
オランダ政府は、一部の半導体製造装置の輸出に対して許可を必要としています。この規制は、オランダ、日本、米国が協定を結び、中国への先進的な半導体技術へのアクセスを制限するための輸出規制を開始した後に導入されました。
ASMLは声明で、「現在の輸出ライセンスの撤回や最新の米国の輸出規制が、2023年の財務見通しに重大な影響を与えるとは予想していない」と述べています。
中国市場との関係
ASMLは、2023年第3四半期に中国での売上の46%を占め、前四半期の24%から大幅に増加しました。これは、中国の企業がより厳しい規制導入前にリソグラフィーマシンの注文を急いだためです。ASMLは、中国への最先端技術である極端紫外線（EUV）リソグラフィーの輸出を2019年から禁止されています。しかし、最近、中国のセミコンダクター・マニュファクチャリング・インターナショナル社がファーウェイの最新のスマートフォン用の高度な半導体を製造するためにその技術を使用したとアナリストが示唆したことから、同社の旧式の深紫外線（DUV）装置の販売に注目が集まっています。オランダの最新規制の影響を受けるシステムはDUV機です。
米国同盟国の対応と中国の反応
今回の規制は、中国の半導体製造業界をアップグレードする能力を制限しようとするバイデン政権の努力に、古い技術を使用した例にも規制の網をかけることで応えようと米国の同盟国が動いていることを示唆しています。しかし、中国がどのように反応するかが注目されています。中国外務省の汪文斌王報道官は、「中国は、米国が国家安全保障の概念を一般化し、様々な口実を用いて他国に中国に対する技術封鎖を強要することに常に反対してきた」と述べています。
市場への影響
今回の報道を受け1月2日の市場でASMLは4.3%安と大きく下落しています。エヌビディア（NVDA）、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ（AMD）といった他の半導体銘柄も同様に下落しています。
このニュースは、半導体産業における国際関係や技術競争の新たな局面を示しており、今後の動向に注目が集まります。