TSMCの衝撃!4年ぶりの減収減益、その原因と今後の見通し

  • 2023年7月21日
  • 2024年11月8日
  • TSMC

半導体製造大手の台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)は7月20日、2023年第2四半期の決算報告を行いました。

約4年ぶりの減収減益

TSMCは、ハイエンド・チップ市場で優位に立つ半導体の大手企業です。同社は、アップル(AAPL)、クアルコム(QCOM)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)など、世界のトップ企業の主要プロセッサを製造しています。しかし、最近の電子機器の需要低迷により、同社の四半期利益は減少しました。第2四半期の利益は1818億台湾ドル(58億4000万ドル)で、前年年同期の2370億3000万台湾ドルから大幅に減少しました。

売上高は10%減の4,808億4,000万台湾ドル。米ドル建ての売上高は156億8000万ドルで、前年同期から14%減少しており、同社にとっては約4年ぶりの減収減益となりました。

ウェンデル・ホァン最高財務責任者(CFO)は声明で、「当社の第2四半期の事業は、最終市場の需要を減退させ、顧客の継続的な在庫調整につながった全体的な世界的な経済状況の影響を受けた」と述べています。

TSMCは、エヌビディア(NVDA)の主要サプライヤーであることから、AIチップの成長から最終的には利益を得ると期待されていますが、スマートフォンやPCの需要減退を相殺するには、現在のところ市場はまだ小さすぎるようです。TSMCのスマートフォンからの収入は前四半期から9%減少しました。

第3四半期の見込み

ホァンCFOは「2023年第3四半期に向け、われわれの事業は3ナノメートル技術の力強い立ち上がりによって支えられ、顧客の継続的な在庫調整によって部分的に相殺されると予想している」と述べています。

同社は第3四半期の売上高は167億~175億ドル、営業利益率は38%~40%と見込んでいます。アリゾナへの投資を継続するため、資本支出は320億ドルから360億ドルという従来予想の下限となるとの見通しを改めて示しました。

アナリストの評価

ウェドブッシュのアナリスト、マット・ブライソン氏は、TSMCが通期で10%程度の減収を見込んでいることを示すガイダンスであり、予想よりも悪いと述べました。しかし、TSMCは年間成長率15%~20%、粗利益率53%以上という見通しを改めて示しています。

ブライソン氏は20日付のリサーチノートで、「短期的な見通しは軟調だが(これはTSMCに限ったことではなく、マクロ的な要因によるものと見ている)、われわれはTSMCの株価を引き続きポジティブに見ている」と述べています。

同氏は「アウトパフォーム」の格付けを据え置き、目標株価を600台湾ドルから650台湾ドルに引き上げています。

*過去記事「TSMCの株価急騰!エヌビディアの注文増が背景に

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