ブロードコム:AI市場で次の巨人となるか?

AIインフラの需要急増による経済効果を享受できる企業として注目すべきはエヌビディア(NVDA)だけではありません。半導体メーカーとしてのポジションを確固たるものにしているもう一つの企業、ブロードコム(AVGO)にも注目が集まっています。

ブロードコムは、AI関連の売上が来年度にはおよそ75億ドルに増加すると予測しています。これは、同社がAI市場における重要なプレーヤーとなることを示唆しています。J.P.モルガンのアナリストによると、この成果を達成すれば、ブロードコムはエヌビディアはの次に位置し、インテル(INTC)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、マーベル・テクノロジー(MRVL)といった競争相手をしのぎ、AI分野で第2位の企業となるとのことです。

アナリストたちは、アルファベット(GOOGL)がすでにブロードコムのAIプロセッサの顧客であり、これが20億ドル以上の売上に貢献していると指摘しています。さらに、メタ・プラットフォームズ(META)も今後2年以内にブロードコムの顧客になる見込みです。

ブロードコムのAIの可能性を評価し、多くのアナリストが株式の目標株価を引き上げました。ベンチマーク・リサーチは770ドルから950ドルに、SIG サスケハナ・ファイナンシャル・グループは785ドルから910ドルに、米国みずほ証券は720ドルから840ドルに、そしてトゥルイスト証券は700ドルから890ドルに引き上げています。この結果、ブロードコムの株価は6月2日の市場で2.43%上昇し、809.13ドルで取引されています(米国東部夏時間12:37PM)。

ただし、ブロードコムにとっての一つの懸念点として、AIへのシフトが同社の現在の伝統的なデータセンター向けビジネスの一部を破壊するかもしれないという点が挙げられます。トゥルイスト証券のアナリストは、既存の売上のカニバリゼーションにより、AIがブロードコムの長期的な半導体売上高の成長に2%程度しか寄与しないかもしれないと指摘しています。

それでもなお、ブロードコムの幹部は、AIが現在のビジネスをカニバリゼーションするかどうかを判断するのは時期尚早であると述べました。「AIに加え、AVGOは他の多くの点でも好調を維持している。リードタイムは(おそらく人為的に)50週間に保たれており、在庫はしっかりと管理され、顧客とチャネル在庫は無駄がなく、自社株買いも好調である」と、トゥルイストのアナリストは評価しています。

*過去記事「ブロードコムの業績予測:オープンAIのChatGPTとの関係性

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