ウェドブッシュ証券のアナリスト、マット・ブライソン氏が最近の台湾訪問で得た見解を3月23日に発表しました。「テクノロジー分野の大半は依然として問題を抱えており、先行きの見通しは限られている」というのが総評です。
ハイパースケーラーが拡張を遅らせる中、メモリ需要が低いままであるとの会話を台湾でしたという同氏は、パーソナルコンピュータとメモリ市場が最も悪いと分析し、具体的にマイクロン・テクノロジー(MU)、ウェスタン・デジタル(WDC)、シーゲイト・テクノロジー(STX)の名前をあげ、レッドフラッグを掲げています。
散発的な需要回復は見られるものの、「より広範には、PC需要に関するコメントは依然として軟調で、在庫の削減が必要である」とする同氏は「メモリ需要も引き続き低調で、在庫は高止まりしており、価格下落は(第2四半期)に入っても高止まりしているようだ」と書いています。
中国の携帯電話市場とデータセンター市場については、先行きを見通すことが難しいようです。中国の携帯電話市場については、需要はまだ軟調かもしれないが、過剰在庫はほとんど解消されているとしていますが、データセンターについては、第1四半期と第2四半期の受注が大幅に削減された影響の見極めが難しくなっているとのことです。
ただ、今年後半には、新しいデータセンター用中央処理装置である、アーム社のチップ・アーキテクチャに支えられたエヌビディア(NVDA)のGrace CPUが発売されるため、改善が見られる可能性があるとブライソン氏は見ています。
昨年、エヌビディアはソフトバンクが所有するアームの買収に失敗した後、アームのアーキテクチャに対する20年間のライセンスをまだ持っていると発表しています。
エヌビディアについてブライソン氏は現在のハイテクハードウェア業界で唯一、グリーンフラッグを掲げることができる銘柄と評価しています。
一般的にほとんどのベンダーの回復見込みに対して確信を持てない現在の状況の中、「将来におけるハイパースケールAIプロジェクトの勢いが、今後データセンターのGPU需要に利益をもたらすことは明らかであるようだ」と同氏は書いています。
エヌビディアについてはバーンスタインのアナリスト、ステイシー・ラスゴン氏も高く評価していますが、データセンター関連のハードウェアで群を抜く力を持っているだけでなく、そのハードウェアを動かすために不可欠なソフトウェアについても評価しており、同社が生み出しつつある「堀」は「乗り越えられないものにますます近づいているようだ」と評しています。
台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSM)、グローバルファウンドリーズ(GFS)、ユナイテッド・マイクロエレクトロニクス(UMS)といった半導体ファウンドリーメーカー各社についてブライソン氏は、グリーンフラッグでもレッドフラッグでもない「混合(mixed)」と評価しています。今後のこのセクターの見通しはU字型でもV字型でもなく、L字型になる可能性があると同氏は見ています。
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)とインテル(INTC)の2社については、PCのファンダメンタルズの悪化とサーバー製品の移行速度の遅れからレッドフラッグという評価をブライソン氏は下しています。ただ、AMDはインテルからデータセンター分野のシェアを奪っているため、より良い業績を残していると評価しています。