マイクロンが厳しい23年の見通しを発表し半導体株が下落

AMD

メモリメーカーのマイクロン・テクノロジー(MU)は12月21日、12月1日に終了した第1四半期決算を発表しました。売上高、利益ともにガイダンス目標の下限を達成しましたが、市場に冷水を浴びせた形となったのは、2023年の見通しに対する同社のコメントです。

2023年8月期の下半期には状況が改善すると楽観的な見方を示したものの、同社にとって最も重要な最終市場であるPC、スマートフォン、データセンターのハードウェアの見通しは依然として軟調で、多くの顧客が積み上がった半導体の在庫レベルの削減に注力していると明言しました。

マイクロンはコスト削減のための複数の施策を発表し、会計年度末までに従業員数を10%削減し、役員給与を5%から20%削減する方針です。また、ボーナス制度を停止し、自社株買いも一時停止しています。

同社はまた、2023年度の設備投資予算を70億ドル〜75億ドルに削減し、従来予想の80億ドルから引き下げることを発表しました。2022年度の120億ドルという投資額を大幅に下回ることになります。

マイクロンによると、2023年度のウエハー製造装置(新工場の建設とは別)に対する支出は50%以上減少するそうです。また、2024年度には、余剰生産能力の削減に注力するため、半導体製造装置への支出はさらに減少すると予想しています。

このコメントをきっかけに12月22日の市場では半導体製造装置関連株が幅広く下落し、アプライド・マテリアルズ(AMAT)は7.84%安、KLA(KLAC)は5.78%安、ASML(ASML)は4.3%安となっています。

マイクロンが示した見通しによると、PCについては、2022年暦年で10%台後半、2023年にはさらに1桁台前半から半ばの減少になると見ています。スマートフォンについては、今年は10%減、2023年は中国での需要回復もあり、横ばいから微増と見ています。そして、2023年のデータセンター需要は、主要顧客の在庫水準が異常に高いため、過去のトレンドを大きく下回ると述べています。

この見通しにより、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は5.64%安、エヌビディア(NVDA)は7.04%安、インテル(INTC)は3.21%安となっています。

マイクロン・テクノロジーの22日の終値は3.44%安の49.43ドルでした。発表された決算に対するアナリストの反応はまちまちで、株価が底を打ったのかどうか、そして下期に状況が良くなるという同社の予想が実現するのかどうかについて意見が割れています。

モルガン・スタンレーのアナリスト、ジョセフ・ムーア氏は、マイクロンの格付けを「アンダーウエイト」とし、目標株価を49ドルから46ドルに引き下げました。同社はまだ問題を脱したわけではないと警告しています。「同社は厳しい環境の中で正しい行動をとっているが、その結果は需要と供給の間に大きなギャップがあることを示している」と同氏は書いています。

ムーア氏は、供給過剰の状況は2023年度中も続くと考えており、「強気派は今後数四半期で改善すると予測しているようだが、我々はそうは見ていない」と述べています。

同氏は、2022年上半期において「あらゆる顧客とあらゆる生産者が」在庫を積み増していると見ています。特にクラウドコンピューティング大手について懸念しており、在庫が過去最高を記録したまま年を越すのではと予想しています。

ウェドブッシュのアナリスト、マット・ブライソン氏は、「アウトパフォーム」の格付けと65ドルの目標株価を維持し、より明るい見方を示しています。

一部の投資家が予想していたような悪いシナリオではないものの、「悪い四半期だった」と同氏は認めており、高い在庫水準と弱い最終市場需要という組み合わせから、メモリの短期的な底打ちを想定するのは困難だとも同氏は述べています。

しかし、株価は1株当たり43.77ドルの有形簿価に近づいており、ここからの下げ幅は「非常に限られている」ことを指摘、「マイクロン株は、間違いなく、すでにこのサイクルの底値となるべき値で取引されている」と同氏は書いています。

J.P.モルガンのアナリスト、ハーラン・スール氏も同様の見方をしており、「オーバーウェイト」の格付けと65ドルの目標価格を維持しています。

「マイクロンは下値が非常に小さいと引き続き考えている。市場が下期の回復を織り込み始めたら、株価は上昇に転じるはずで、我々は、反転時にこの株を買い集めるつもりだ」と述べています。

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