アップスタートの成功を見極める2つのポイント(2022年第2四半期)

アップスタート 第2四半期決算を発表、基本方針の一時的な変更が明らかに」でお伝えしたように決算発表を行ったアップスタートですが、「アップスタートの成功を見極める2つのポイント」で述べた成功を見極める2つのポイントがどうなったのか、今回の発表でも説明されています。

FICOスコアより優れた成績を維持できるのか

前回第1四半期決算で示された表が7月29日時点のデフォルト率として更新されて今回も説明資料に掲載されています。

2022年7月29日時点の年率換算デフォルト率(2018-Q1~2021-Q4のヴィンテージ)
出所:アップスタート

この表の冒頭に書かれているとおり、「アップスタートがF ICOよりも有意にリスクを分離している」ことをこの表は示しています。

アップスタートのローンをFICOスコアで区分した場合とアップスタートのリスク・グレードで区分した場合と比べると、アップスタートの方がより有意にリスクを区分しているとアップスタートは主張しています。

そのことが端的に現れているのがそれぞれのアベレージの最高ランクと最低ランクのデフォルト率の差で、一番右端の列で示されているFICOスコアの平均値の最高ランクと最低ランクの差が3倍であるのに対し、一番下の行に示されているアップスタートのリスク・グレードの平均値の最高ランクと最低ランクの差は16倍になっています。

アップスタートが主張しているのは、アップスタートのモデルが、同社のプラットフォーム上のローンに対し、「FICOスコアの約5倍のリスク分離を提供しており、より正確なリスクベースの価格設定を可能にしている」ことです。

また、各列で示されているアップスタートのリスク・グレード内のデフォルト率が、FICOスコアの700以上から639以下の6つのスコア(各行で示される)の中で類似しており、バラつきが少ないこともアップスタートは指摘しています。

そして、もうひとつ示されているのが、「アップスタートの精度は継続的に改善されている」と題された以下のグラフです。

2022年7月29日時点のアップスタート社内モデルパフォーマンスデータ
出所:アップスタート

これはAUC(Area Under the Curve)の2018年7月から2022年7月までの5年間の推移を表したグラフで、アップスタートは以下のようにこのグラフが示す意味を説明しています。

AUCは、ある損失レベル以下にとどまりながら承認できるローンの割合を定量化することにより、 モデルが高リスクと低リスクのローンを分離する能力の程度を測定します。AUCの値は0から1まであり、予測が100%間違っているモデルのAUC0.0であり、予測が100%正しいモデルの AUC1.0です。

このグラフが示すように「私たちのモデルは改善され続けている」とアップスタートは主張しています。

*AUCについてはこちらが参考になります「【評価指標】ROC 曲線と AUC についてわかりやすく解説してみた

融資パートナーの数

貸し手がアップスタートのAIを信頼しているという素晴らしいサインであると考えられ、アップスタートの機能が現在の環境下でも成果を出していることを端的に示している融資パートナーの数ですが、決算説明のための電話会議でデイブ・ジルーアードCEOが以下のように説明しています。

「前回5月にお話したときの57社から、本日現在で合計71社の銀行や信用組合が加わっています。金融サービス業界には慎重な見通しがありますが、前向きな銀行や信用組合は、引き続きアップスタートを選んでいます。」

過去の決算説明会で示された融資パートナー数の推移をグラフにすると以下のようになります。

作成者:beikoku-stock

2021年第2四半期以降は毎四半期11〜15社が新たに融資パートナーに加わっていることがわかります。ローン組成数が大きく減ってしまった2022年第2四半期ですが、パートナーの数は順調に増加しています。

*過去記事はこちら アップスタート UPST

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