IBM(IBM)は7月18日、第2四半期の業績を発表しました。ドル高による逆風にもかかわらず、予想を上回る四半期業績でハイテク企業の収益シーズンをスタートさせています。
第2四半期のの売上高は155億ドルで、前年同期比9%増、為替調整後では16%増となりました。これは、ウォール街のコンセンサス予想(152億ドル)を上回るものです。調整後ベースの利益は1株当たり2.31ドルで、アナリストの予想を3セント上回りました。一般に認められた会計原則では、1株当たり1.61ドルの利益でした。
IBMは、人工知能とハイブリッドクラウドコンピューティングに関連するソフトウェアとサービスに会社を集中させた最近の構造改革の結果、成果を出しています。メインフレーム・ハードウェア事業の新製品サイクルの開始時期でもあり、少なくとも今後数四半期は成長を支えることになると思われます。
アービンド・クリシュナCEOは、18日のインタビューで、現在の経済環境にもかかわらず、今期の同社の成長は地域間でバランスが取れており、為替レート変動の影響を排除した恒常通貨ベースの成長率は過去10年以上の中で最高水準に達していると述べました。
「私たちは常に猜疑心を持ち続けています。しかし、需要はかなり強く、世界的に見れば、テクノロジーは金利上昇やインフレに対する対抗手段となっています」と同氏は述べ、ヨーロッパの需要は、ロシアのウクライナ戦争の戦線に近い東ヨーロッパでさえも、依然として強いと語っています。
特にコンサルティング事業は、景気後退局面で減速するのではないか、コンサルティングは真っ先に削られるのではないか、と多くの投資家が心配しているものの、そのような兆候はないと同氏は見ており、「顧客にとって、テクノロジーはより必要不可欠なものです。顧客は私たちの支援と専門知識を必要としているのです」と述べています。
クリシュナ氏は、2008/2009年のような深刻な景気後退は予想しておらず、米国では1%から2%の減少が数四半期続き、欧州ではもう少し不確実性が増すと予測しています。しかし、さらに深刻な景気後退がない限り、IBMの成長率に影響はないだろうとも考えています。
IBMは、為替の逆風により報告売上が約9億ドル減少したものの、前回4月に四半期決算を報告した際に為替レートに基づいて予想したよりも約2億ドル多くなったと述べています。恒常為替レート成長率には、昨年IBMによってスピンアウトされたマネージドITサービス企業であるキンドリル(KD)に関連する約5%ポイントが含まれています。
当四半期のソフトウェア売上は、自動化、セキュリティ、レッドハットの好調により、6%(恒常為替レートでは12%)増加しました。
コンサルティング収入は10%、恒常為替レートベースでは18%増加し、IBMのインフラ部門は新世代のメインフレームであるz16の発売を反映して19%、恒常為替レートベースでは25%成長しました。
為替調整後ベースでは、ソフトウェアの成長率は12.3%増から減速し、コンサルティングは17.4%増加しました。クリシュナ氏は、z16が好調なスタートを切り、同社の従来の予想を上回っていると述べています。
過去12カ月間のハイブリッドクラウドの売上は217億ドルで、16%増、為替調整後では19%増となっています。
IBMは、フリーキャッシュフローの見通しを、従来の100億ドルから105億ドルの範囲から、100億ドルに微調整したものの、通年の売上高を1桁台半ばの成長という売上目標の上限とする見通しを改めて示しました。
クリシュナ氏によると、修正後のキャッシュフローには、ロシアでの事業停止に関連する2億ドル、コストのインフレ、為替の影響が反映されているとのこと。 なお、IBMは2024年までの3年間のフリーキャッシュフロー350億ドルという予測は変えていません。
IBMの株価は7月18日の通常取引を1.28%減で終えたあと、決算発表後のアフターマーケットで4.08%減の132.5ドルで取引されています(米国東部夏時間5:37PM)
*過去記事はこちら IBM