S&P500種株価指数は2022年上半期に20.6%安となり、下落率は上半期として1970年以来の大きさでした。多くの銘柄が大きく下落していますが、その一方でこの下落は、注目すべき成長株を大幅なディスカウント価格で購入できる貴重な機会でもあります。2022年後半の相場回復をリードする可能性のある3銘柄をモトリーフールがピックアップしていますので、ご紹介します。
モンゴDB(MDB)
データベースの行と列に情報が整然と収まっていた時代はとうに過ぎ去りました。最近では、写真、ソーシャルメディアへの投稿、ビデオやオーディオクリップ、さらには文書全体など、データは乱雑になっており、このようなさまざまな情報を保存、整理、分析するための革新的なソリューションが必要とされています。
モンゴDBのクラウド中心型データベースは、従来の堅牢な検索機能を備えつつ、最新データのニーズに対応するために構築されました。
2023年度第1四半期(4月30日終了)のモンゴDBの売上は前年同期比57%増で、第4四半期の56%増から加速しています。同社の主力製品であるアトラスは、売上高が85%増となり、引き続き輝きを放っています。アトラスは現在、モンゴDBの総収入の58%を占め、ARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)は10億ドルを突破しています。
モンゴDBはまだ利益を上げていませんが、同社は常に強力な営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローを生み出しており、その損失は減価償却費を含む非現金項目の結果であることを示唆していることは注目に値します。
モンゴDBの顧客総数は前年比31%増、アトラスのユーザーは33%増と、モンゴDBは新たな顧客層を獲得し続けています。さらに重要なことは、10万ドル以上のARRを生み出す顧客が30%増加したことで、将来の業績の糧となる安定した成長基盤が形成されつつあることです。
*過去記事「大口機関投資家が買っているハイテク株2つ」
ロク(ROKU)
アマゾン(AMZN)に勝負を挑んで勝った企業はそう多くはありませんが、ロクはその数少ない企業の一つです。同社の名を冠したストリーミングデバイスは、2020年にアマゾンのFire TVのユーザー数を上回り、その後一度も抜かれることなく、現在に至っています。同社のコネクテッドTV用OS「Roku OS」を採用するテレビメーカーが増えたことで同社はこの勝利を得ることができました。
サービスに依存しないプラットフォームで1万以上のストリーミングチャンネルを持つロクは、6100万以上の視聴世帯を獲得し、第1四半期に209億時間のストリーミングビデオが視聴されました。
これは、同社のプラットフォームに表示されるデジタル広告からの売上を促進するもので、ロクはその30%のシェアを獲得しています。テレビ視聴の45%がストリーミングであるにもかかわらず、ストリーミング向け広告予算は18%に過ぎないため、これはロクにとって大きな成長機会であることを示しています。マーケティング費用のシフトが加速する中、ロクはその恩恵を受ける好位置につけています。
パンデミックの終了に伴う大きな環境の変化により、ロクの第1四半期の売上の伸びは鈍化し、前年同期比22%増にとどまりましたが、これは前年同期の売上が、パンデミックによるひきこもり需要により79%増と大幅に増加した非常に大きなものだったことによるものです。
前年同期の数字が落ち着く下半期になれば、より明確な姿が浮かび上がってくると思われます。ユーザー一人当たりの平均収入(ARPU)は、前年同期比34%増となっており、成長が続いていることを示唆しています。
サプライチェーンの混乱とインフレがロクの利益を一時的に圧迫するという短期的な見通しに対する懸念によりロクの株価は直近の高値から83%下落しました。しかし、ストリーミングビデオへのシフトはこれからさらに加速すると見られており、回復の兆しが見えれば、ロクの株価は一気に上昇すると思われます。
*過去記事はこちら ロク ROKU
データドッグ(DDOG)
デジタル変革の推進により、ウェブトラフィック、データセンター、クラウドコンピューティングに依存する企業がかつてないほど増えています。これらのテクノロジーは最近のビジネス成長にとって重要な要素ですが、保守や不具合によってコンピューターシステムやネットワークサービスなどが停止するダウンタイムが発生すると大きなコストがかかります。
データドッグの Software-as-a-Service (SaaS)プラットフォームは、重要なシステムを監視し、ダウンタイムにつながる可能性のある問題をユーザーに通知します。さらに、問題の再発を防ぐために、問題を診断するフィードバックと分析を提供します。
一部の企業が成長の鈍化を経験している中で、データドッグは第1四半期の売上の成長が前年同期比83%増と加速し、その流れに逆行して躍進しています。また、多くの初期段階の企業とは異なり、同社は強力な営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローを生み出しながら、利益を上げています。
データドッグの顧客数は前年同期比30%増の19,800社、ARRが10万ドル以上の顧客は60%増と、顧客基盤の拡大が業績に寄与しています。また、既存顧客の売上が前年と比べて維持できているかを示す指標であるネット・リテンション・レートはドルベースで19四半期連続で130%を超えました。
このような目覚ましい業績にもかかわらず株価は今年に入ってから42%下落と大きく落ち込んでいます。これは明らかに売られ過ぎであり、今後市場が回復するとともにデータドッグは正当に評価され、マーケットをリードしていくことが予想されます。
*過去記事はこちら データドッグ DDOG