インテルの逆襲、エヌビディア、AMDを追撃

半導体大手のインテル(INTC)は、同社のグラフィックチップ「Arc」の発売により、ライバルのエヌビディア(NVDA)やAMD(AMD)を追撃しようとしています。

インテルは2021年から、ゲームとコンテンツ制作の両方で確かなグラフィックス機能を求める顧客向けに、エヌビディアとAMDが提供する製品の代替品としてArcグラフィックスの提供を予告してきました。

同社は最終的にArcブランドのチップとカードのスロートをリリースする予定で、Arc 3は、エヌビディアとAMDから巨大なPCゲーム市場のシェアを奪うインテルの戦いの最初の一撃となるものです。世界的なチップ不足によりグラフィックカードの価格が上昇する中、消費者にとってもこの動きはメリットがあります。

NewZooによると、世界のゲーム売上は2024年までに2,188億ドルに達するそうです。2021年のゲーム売上高のうち、PCゲームは約20%を占めており、インテルがこのカテゴリーに全力を注ぐのは理にかなっています。

2021年、エヌビディアのゲーム部門は、総売上高269億ドルのうち125億ドルを稼ぎ出しています。これは、エヌビディアのデータセンター事業が上げた売上106億ドルよりも多いのです。

エヌビディアの株価は、同社のデータセンター事業の将来に対する投資家の期待を反映していますが、同社は依然としてゲームハードウェアで大部分の資金を稼いでいます。

そこで登場するのが、インテルのディスクリートArcチップです。現在、インテルはIrisと呼ばれる統合型グラフィックスアクセラレータを提供しています。統合型アクセラレータは、ラップトップのCPUとRAMを利用して、画面上のグラフィックスを駆動します。Webをブラウズしたり、映画をストリーミング再生したりする分にはそれで十分ですが、ゲームはディスクリート・チップに任せるのが一番です。

ディスクリート・グラフィックスチップは、独自のグラフィックス処理ユニット(GPU)とRAMに依存しているため、統合型グラフィックスを搭載したシステムでなければ処理できないようなゲームを実行することができるからです。

ただ、インテルのArc 3チップがエヌビディアのチップを駆逐するわけではありません。これは、結局のところ、インテルのエントリーレベルのチップです。ですから、最新のゲームをプレイすることはできても、グラフィックス設定を最高レベルにまで引き上げることはできません。

しかも、インテルのArcチップと、エヌビディアやAMDのエントリーレベルのディスクリートチップとを比べてみても、差があるとも言えません。

当然ながら、Arc 3はIrisよりも大差で性能が高いのですが、それはあまり意味のあることではありません。ゲーマーとしては、エヌビディア の RTX 3050 ラップトップ チップや AMD の Radeon RX 6500M と Arc 3 を比較する方が興味深いと思います。Arc 3ラップトップが市場に出回るにつれて、そうした比較が行われるはずです。

インテルがこの夏にArc 5とArc 7のチップを発表したときが、正念場になると思われます。これらのチップは、Arc 3とは異なり、インテルが「アドバンスド・ゲーミング」「ハイパフォーマンス・ゲーミング」と呼ぶもののために特別に設計されています。

基本的に、ゲームで本当に印象的なグラフィックス性能を得たいのであれば、Arc 5を搭載したマシンに資金を投入したいところです。そして、ゲームのグラフィックス性能を最大限に引き出したいなら、Arc 7を選ぶことになると思われます。

インテルにとって最大の試練は、今年発売されるデスクトップ用グラフィックスカードにあります。しかし、まだ過度な期待は禁物です。同社はすでに、第1世代のデスクトップ・カードが、エヌビディアやAMDのカードが設定するような性能の期待には応えられないことを予告しています。

勝負が決まるのは、インテルが第3世代のグラフィックスチップとカードを展開するときになりそうです。コードネーム「Celestial」と呼ばれるこれらのチップとカードは、同社がultra enthusiastsと呼ぶ人たち向けに設計されています。

もし、インテルの計画通りに進めば、その頃には、消費者やクリエイターにとって、真の意味での第3のグラフィックス・オプションとして立ち上がるだけのグラフィックス・ノウハウが備わっていることになります。

世界的なチップ不足でグラフィックスカードの価格が高騰し、市場に出回るや否や暗号解読者たちに買い占められる中、消費者は第3の選択肢を両手を広げて歓迎することになると思われます。特に、カードをより簡単に、より安価に購入できるようになれば、なおさらです。

とはいえ、インテルがゲーマーを取り込むには時間がかかると思われます。エヌビディアとAMDには、信じられないほど忠実なユーザー基盤があります。そして、ゲーミングリグの動力源となるテクノロジーに関して言えば、ゲーマーはその性能が分かっているものを求めています。

しかし、インテルのチップとカードがエヌビディアとAMDの提供するものに匹敵するようになれば、インテルは第3のグラフィックスチップメーカーとなり、グラフィックスカードの王者として2社に取って代われる可能性もあります。

*過去記事「市場が低迷している間に買うべき配当型ハイテク株2つ

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