決済テクノロジー企業のマルケタ(MQ)の株価は昨年6月に27ドルで上場した時から、65%も下落してしまいました。10月に30ドルを超える場面もありましたが、それを除けば、上場以来株価はずっと下がり続けています。
マルケタは、ブロック(SQ)のような決済アプリにデビットカードやクレジットカードを発行する技術を提供し、銀行と決済サービスの間の仲介役を務めています。
企業はマルケタのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を使用してカスタム決済ソリューションを構築することができます。マルケタのソフトウェアは、新しい決済アプリケーションと従来の決済ネットワークをリンクし、創造的なアプリケーションを作り出すことを可能にしています。
マルケタは、プラットフォームが提供するすべてのトランザクションからわずかな割合で使用料を受け取ります。これは売上を短期的には不安定にする可能性がありますが、新興企業が多い顧客の成長が加速するとともに、長期的には安定的な売上を得ることができるという魅力があります。
現在懸念されているのは、顧客構成が偏っていることです。ブロック(旧スクエア)は現在、マルケタの最大の顧客で、直近の四半期である2021年第3四半期には売上の68%を占めています。ブロックとマルケタは2024年まで契約を結んでおり、ひとつの顧客に売上が集中していることは投資家が考慮すべきリスクとなっています。
ただ、マルケタのブロックへの依存度が今後2、3年で緩和される可能性があるという良いニュースがあります。同社には、ウーバー・テクノロジーズ(UBER)、アファーム・ホールディングス(AFRM)、ドアダッシュ(DASH)、インスタカード、クラーナなどの急成長中の顧客がいます。
アファームは直近の四半期に取引量を115%伸ばし、ウーバーは直近の四半期に予約数を前年同期比51%伸ばしました。マルケタは2月上旬に発表した2021年第4四半期報告書における予想を当初の予想以上に引き上げたほどです。
マルケタは、その多くが革新的な企業である顧客の力強い成長から直接的に利益を得ることができます。その時期がいつになるかは不明ですが、これがマルケタのブロックへの依存度を下げることにつながります。
ブロックへの依存度が高いものの、同社の成長には何の問題もなく、現在、2021年の最初の9カ月間を通じて前年比79%の売上成長率を記録しています。
ほぼ右肩下がりで下落を続けてきた株価も、一時8.4ドルの最安値をつけてそろそろ底が見えてきた様子でもあります。
マルケタの時価総額は、過去12ヶ月間で4億5,000万ドルの売上を上げながら、50億ドル程度にまで落ち込んでいます。株価売上高比率(P/S)は11ですが、同社が保有している12億6,000万ドルの現金を時価総額から差し引くと、事業自体はP/Sが9強で取引されていることになります。この金額で、無借金で2020年比79%の売上成長率を誇るビジネスを手に入れることができます。
さらに、マルケタの非GAAP EBITDA(利払い、税金、減価償却前利益)は、直近の四半期決算報告で500万ドルの損失と、わずかなマイナスにとどまっています。つまり、負債や資金調達のための株式増発を心配することなく、成長を続けられるだけの資金力が同社にはあるようです。
損失が少なく、顧客とともに成長するモデルを構築しているマルケタには黒字化への道筋が見えているように思えます。底値がどこなのか、いつ反発するのかは誰にも分かりませんが、しばらく株価の動きが不安定であることを覚悟の上で購入するならば、中長期的には大きな見返りをもたらしてくれる可能性をマルケタは持っています。
*過去記事「今買えば10倍になる可能性のある銘柄3つ」