ビック5 株価は回復したものの下落懸念は続く

ビック5と呼ばれる、大手ハイテク企業の株価は、先週初めの急落からほぼ回復しましたが、だからといって危機を脱しとまでは言えない状況です。

フェイスブック(FB)は、内部告発者が内部文書を公開し、同社のソーシャルメディア・プラットフォームのうち3つが一時的にオフラインになったことで、10月4日に5%近く急落しました。

アマゾン(AMZN)、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)もいずれも2%以上下落しました。

しかし、フェイスブック以外の4社は、なんとかプラスの領域で週を終えることができています。

とは言っても、この5つのハイテク企業の株価は、1ヶ月前に比べてはるかに安くなっています。フェイスブックは9月7日の史上最高値から13.6%も下落しており、アップルの株価はその日から8.8%も下落しています。

ただまだ底とは言えそうにありません。ビッグ5の株価は、今後数ヶ月の間にさらに下落する可能性があります。

米連邦準備制度理事会(FRB)は今年末までに債券購入の巻き戻しを開始し、2022年または2023年に利上げを行う可能性を示唆しています。債券市場はすでにその予想を反映しています。10年物国債の利回りは、9月の低水準である1.29%から、先週は1.61%に急上昇しました。

利回りの上昇は、一般的に急成長しているハイテク株にとっては悪いニュースです。なぜなら、現在の高額なバリュエーションの根拠となっている将来の予想収益が魅力的でなくなるからです。

FRBの政策転換がすでに織り込み済みであったとしても、利回りはインフレ率に比べてまだ低く見えるため、上昇し続ける可能性があります。長期インフレ期待値を差し引いた10年債利回りは、現在0%を下回っています。これは、インフレを考慮すると、その債券の投資家が価値を失っていることを意味します。

10年債利回りの2021年のピークは3月に達した1.75%であり、再びその水準まで上昇する可能性があると考えるのが妥当だと言われています。

パンデミック以降、株価が2倍以上に上昇したハイテク株は、割高になっていると思われます。2019年末に10年債利回りが1.75%を少し超えた頃、ナスダック100のメンバーの平均バリュエーションはフォワード利益の24倍でした。現在、その倍率は28倍近くになっています。

ハイテク企業は、今後の四半期の決算発表に関しても高いハードルを抱えています。Covid-19パンデミックの際、消費者がインターネットを利用するようになったことで、ハイテク株は大成功を収めました。しかし、パンデミックが後退すると、その追い風はなくなり、各社は自社の記録を更新するのが難しくなることが予想されます。

ビッグ5の株価は連動して動く傾向がありますが、投資家は各企業の固有のリスクに注意を払う必要があります。

例えば、フェイスブックは、規制面と風評面の両方で圧力を受け続けています。フェイスブックの元データサイエンティストであるフランシス・ハウゲン氏は、10月4日に議会で証言し、同社の幹部は同社のプラットフォームがユーザーに与える悪影響を知っていたにもかかわらず、公の場で投資家を欺いていたと主張しました。

これは、ソーシャルメディアの巨人をめぐる規制問題の最新エピソードにすぎません。これまでのところ、そのようなリスクは顕在化していませんが、フェイスブックの株価は悪いニュースの影響を受けています。

フェイスブックは先週初め、バロンズ誌に発表した声明の中で、「当社のチームは、何十億もの人々がオープンに自己表現する権利を守ることと、当社のプラットフォームを安全でポジティブな場所に保つ必要性とのバランスを取ることに日々取り組んでいる。(中略)悪いコンテンツを奨励して何もしないというのは、事実に反する」と述べています。

アップルは、現在進行中のサプライチェーンの混乱と半導体不足に対処しています。同社は、10月28日に発表される次の決算報告で注目を浴びることになります。

この日は、新型iPhone 13の販売状況や、巨大な消費者基盤を活用して新たな成長機会をどのように創出するかが明らかにされるものと思われます。アナリストたちは前四半期の好調な業績を期待していますが、それらの利益はすでに織り込み済みのようです。投資家が注目しているのは、より長期的な未来です。

アマゾンについては、特に前年同期との比較が厳しいことから、米国の電子商取引支出の成長が全体的に鈍化していることが懸念されています。また、一部の投資家は、現在のサプライチェーンの混乱が年末まで続いた場合、アマゾンがホリデーシーズンに商品を届けるのに十分な在庫を持っているかどうかを心配しています。

現在、フェイスブックとアマゾンの株価は、5年間の平均値よりも低い倍率で取引されており、アップルとマイクロソフトは過去の平均値よりも割高になっています。グーグル株はほぼ同水準の価格となっています。

ビッグ5は5社だけでS&P500の25%近くを占めているため、市場全体にとって重要な意味を持っています。セブンズ・レポートのトム・エッセー氏は、先週のメモで「もしハイテクが逆風にさらされているなら、これらの企業の規模とハイテクセクターの影響力の大きさから、S&P500自体が上昇するのは難しいだろう」と書いています。

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