最近、よく目にする言葉に「メタバース(Metaverse)」があります。
先月、フェイスブックの決算説明会で、ザッカーバーグCEOは「フェイスブックの未来はメタバースにある」と発言しました。
メタバースとは、コンピューティングの次の主要な領域であり、インターネットの次のビジョンです。
ユーザー同士がお互いの世界と対話できる仮想環境のことであり、ゲームや仕事、交流、コンテンツの消費など、さまざまな用途が考えられています。
メタバースを支持する人たちも、メタバースが初期段階にあることを認めています。ベンチャーキャピタルの投資家であるマシュー・ボール氏は、メタバースのコンセプトを検討した結果、「継続的でライブな運営」「デジタルとフィジカルの世界にまたがる」「経済が機能している」などを重要な属性としてあげています。
同氏はメタバースに大きな期待を寄せおり、最近、ラウンドヒル・ボール・メタバース上場投資信託(META)の立ち上げに参加し、エヌビディア(NVDA)、テンセント・ホールディングス(700.Hong Kong)、ロブロックス(RBLX)、マイクロソフト(MSFT)、ユニティ・ソフトウェア(U)などを上位株として保有しています。
ザッカーバーグ氏も、2014年に仮想現実ヘッドセットメーカーのOculus Riftを20億ドルで買収したことに代表されるように、メタバースに大金を賭けています。
Sentieo社のデータによると、決算報告書やその他の企業文書におけるメタバースの言及は、2020年に比べて今年は5倍に増えています。最近上場したビデオゲーム会社のロブロックスは、IPO申請書の中でこの言葉に15回も言及しています。
マイクロソフトのCEOであるサティア・ナデラ氏は、今年初めの決算説明会で、仮想世界と物理世界の融合に大きなチャンスがあると語りました。
ナデラCEOは、エアバス(AIR.France)、トヨタ自動車(TM)、ロレアル(OR.France)、インテル(INTC)、米国陸軍などが、”複合現実感を利用して空間を超え、複雑な課題に取り組んでいる “顧客であると述べました。
メタバースという言葉が「人によって異なる意味を持つ」というのが現状であり、メタバースが今後どのようなものになるかはわかりませんが、ビッグテックはすでに参加するための準備を進めています。
アルファベット(GOOGL)
アルファベット(GOOGL)は、間違いなくメタバースで勝つための最高のポジションにいます。
同社は、世界で最も普及しているスマートフォン用OS「Android」を所有しており、今後のハードウェアにとって重要な役割を担っています。
また、世界中の情報を整理する役割を自任しており、現在は主に検索を通じて情報を収集していますが、これは次のインターネットには欠かせません。
また、最近買収したFitbitやスマートホーム部門のNestなど、人とインターネットをつなぐハードウェアビジネスも充実しています。
そして、自動運転のウェイモやヘルスケア分野での取り組みなど、長期的な視点での事業展開により、ソフトウェア企業として物理的な世界に近づいています。
アマゾン・ドットコム(AMZN)
アマゾンの端末機「Echo」と仮想アシスタント「Alexa」は、全米の家庭で人気を博しています。
ハードウェアはもちろん、特に仮想アシスタントは、人々がメタバースをナビゲートする上でも重要な役割を果たすことになると思われます。
アマゾンのクラウドコンピューティング部門であるAmazon Web Servicesは、現在のウェブやその他のインターネットのように、メタバースでの体験をサポートする上で大きな役割を果たすことになるでしょう。
アップル(AAPL)
アップルは、決算発表やイベントでメタバースについて直接言及していませんが、CEOのティム・クック氏は2016年以来、メタバースの構成要素となりそうな拡張現実(AR)について絶賛しています。
最終的には、コンシューマー向けのハードウェアとソフトウェアにおける同社の強みは、アップルの世界に留まることを望む限り、メタバースにおいても同社の競争力となると思われます。
フェイスブック(FB)
フェイスブックは、メタバースへの関心を再び呼び起こしたかもしれませんが、実際にはライバル企業よりも挽回すべき点が多くあります。
フェイスブックのネットワークは、他のOSに依存しており、その脆弱性は、最近のアップルとのプライバシーに関する争いで明らかになりました。
メタバースでの同社の最大の強みは、バーチャルリアリティやオーグメンテッドリアリティの研究を行うReality Labs事業です。
同社のバーチャルリアリティヘッドセット「Quest」は人気を博しており、同社は近々スマートグラスを発売することを約束しています。
フェイスブックには、追いつくためのリソースがあることは確かです。エバーコアのアナリストであるMark Mahaney氏によると、同社は今年、メタバースの研究開発に約50億ドルを投じるとのことです。
マイクロソフト(MSFT)
マイクロソフトは、他のどの企業よりも、すでにメタバースの世界に生きています。
ナデラCEOの最近の発言からもわかるように、同社は現在の顧客に複合現実感のメリットを売り込んでいます。
また、同社は、将来のメタバースにおいて重要な要素となりうるゲームで優位に立っており、Xboxと、ゲーマーに人気の仮想世界であるMinecraftを所有しています。