これまで1回も記事を掲載したことはありませんが、アクソン・エンタープライズ(AXON)は私のお気に入り株のひとつです。
Beikoku-sotckポートフォリオには組み入れていませんが、今年の4月に初めて購入して以来3ヶ月あまり。7月9日終値時点でのTotal Gainは+22%と期待に応えてくれています。
Embed from Getty Imagesアクソンという会社の歴史のほとんどは、スタンガンのテーザー銃で有名なテーザー・インターナショナルとして知られていました。それが2017年、同社がより新しいビジネスラインであるアクソン・ボディカメラを強調したいと考えたことで変化しました。
ボディカメラは、ビジネス的にはそれほど素晴らしいものではありません。十分な資金があれば、誰でも警察用のカメラを作ることができます。また、これらの製品は一回限りの購入であることがほとんどです。ボディカメラで継続的に収入を得るためには、継続的補充しなければならない消耗品であるカートリッジに力を入れることになります。
しかし、本当に重要なのは、Axonカメラで撮影したデータで何をするかです。アクソンはそこに目をつけました。
毎月サブスクリプションを支払っているユーザーである警察の使い方に対応することで、アクソンは以下のようなサービスを開発しました。
*Axon Evidence
すべての警察のボディカメラのデータを保存し、分析する中核となるクラウドソリューション
*Axon Records
音声と映像のデータを使用し、人工知能と組み合わせることで、通常の手作業による方法よりもはるかに迅速に警察の報告書を自動生成することができます。
*Axon Respond
カメラの映像や位置情報とのクラウド接続により、リアルタイムでの出動や警察官がどこにいるかの状況把握が可能になります。
その結果、近年の製品別売上推移は以下のようになっています。
2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 成長率(CAGR) | |
テーザー | 235 | 253 | 282 | 363 | 16% |
アクソン・センサーズ | 52 | 77 | 119 | 138 | 38% |
アクソン・クラウド | 58 | 90 | 130 | 177 | 45% |
依然としてメインはテーザーで売上を増やしてはいますが、他の2つの製品と比べると見劣りします。ご覧のように急速に伸びているのが、アクソン・センサーズとクラウド、この2つを合わせた数字はまもなくテーザーを上回りそうです。
つまり、これはアクソンが今ではハイブリッドなSaaS(Software-as-a-Solution)企業に生まれ変わったことを示すデータであり、ご覧の通り、クラウドソリューションが成長を牽引していることを示しています。
アクソンは、投資家がマルチバガーに求めるものすべてを備えています。創業者が主導し、ミッションを遂行する企業であり、広い堀を持ち、膨大なオプション性を備えています。
オプション性とは、自分の使命を果たすために新しい製品を生み出す可能性のことです。アクソンは、スタンガンのテーザーを売る会社から、現在のような一連のクラウドソリューションまで販売する会社に進化させることで、このことをすでに実証しています。
しかし、それだけではありません。投資の観点から見ると、クラウドソリューションへの移行は、より高い利益率の売上を意味します。今度は各セグメント別の粗利益の推移です。
2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 成長率(CAGR) | |
テーザー | 163 | 173 | 174 | 226 | 12% |
アクソン・センサーズ | 6 | 18 | 36 | 51 | 104% |
アクソン・クラウド | 39 | 68 | 98 | 139 | 53% |
テーザーの粗利益の伸びが鈍いように見えますが、粗利益率が62%もある素晴らしいビジネスです。金額の大きさから言っても会社の基盤はやはり祖業のこの部門です。
アクソン・カメラを扱うセンサーズは好調ではありますが、絶対額が少なく重要性は低いと言わざるを得ません。売上総利益に占める割合はわずか12%で、利益率は最も低い37%です。
そして、なんと言っても重要だとわかるのがクラウド事業です。50%のペースで成長しており、クラウドの売上1ドルにつき0.77ドルの粗利益を確保しています。
これらすべてを結びつけているのは、高いスイッチングコストで顧客を囲い込んでいることです。警察署が武器、カメラ、記録管理、派遣サービスを1つのベンダーに依存している場合、競合他社に乗り換えるには相当な理由が必要です。このことは、アクソンの約120%という安定した純収益維持率が証明しています。つまり、顧客はアクソンに留まるだけでなく、毎年20%多くの支出をしているということです。
アクソンは、単なるテーザー銃の会社から、世界でも有数の強力なSaaSプラットフォームを提供する会社へと驚くべき変遷を遂げました。
アクソンは消防署、救急救命士、連邦政府機関、さらにはCOVID-19ワクチンのサプライチェーンを把握しようとする組織との契約を開始するなど、これまで警察との間で構築したような関係を他の公共安全機関とも作ろうとしています。
経営陣は、アクソンのアドレサブル市場は270億ドルに達すると考えています。昨年のアクソンの売上高は7億2900万ドルあまり。成長の余地はたっぷりあるということです。
また、アクソンはハードウェアやSaaS製品をラインナップに追加しており、アドレス可能な市場は拡大しています。
アクソンの株価は過去10年間で3,840%上昇と、S&P 500のトータルリターン298%を圧倒的に上回る成績を残していますが、公共安全機関のスペシャリストという地位を着々と不動にしつつある現状を見ると、次の10年も同じような成果を残す可能性は非常に大きいと考えています。
- モルガン・スタンレー、アクソンの目標株価を700ドルに引き上げ
- Zスケーラーの株価が急落、背景に期待外れのガイダンスとCFOの退職
- エヌビディアの株価、2025年に250ドル超えの可能性?
- アマゾン株を支えるAWS!生成AIで躍進する最新データセンター戦略
- 調整局面はチャンス!マグニフィセント・セブン銘柄の魅力をNY大学教授が語る