「バロンズ選定 2021年トップCEOリスト」に選ばれたCEOの略歴紹介、その9回目です。
ジェームス・L・ロボ James Robo
Embed from Getty Imagesネクステラ・エナジー CEO since 2012
ネクステラ・エナジーは、欧州企業が独占している風力・太陽光発電の世界的リーダーです。自然エネルギーの成長は、ジェームズ・ロボ氏がCEOに就任した9年間でほぼすべて実現されました。ネクステラは、風力発電を中心とした自然エネルギーによる発電容量22ギガワットを管理しており、これは約700万世帯分に相当します。同社は、2024年までにこの発電容量を約2倍にすることを計画しています。
今年初め、ロボ氏（58歳）は「私たちは、（将来の）市場機会の大きなシェアを獲得できる素晴らしいポジションにいると信じている」と語りました。
ネクステラは、米国最大級の電力会社であるフロリダ・パワー＆ライト社（FPL）を運営していますが、この会社は、米国で最も経営状態の良い電力会社のひとつです。
調査会社SSRの公益事業・再生可能エネルギー調査部門の共同責任者であるヒュー・ウィン氏は、ロボ氏の「卓越したオペレーションへの注力」を称賛しています。FPLでは、送配電システムのストーム・ハーデン化、フロリダ州へのガス送電への投資、老朽化した石油・石炭焚きの蒸気タービン発電機のガス焚きタービンへの交換などを行ってきました。
ロボ氏のもと、ネクストラは時価総額で国内トップの電力会社となり、利益は業界最高水準の30倍で取引されています。
ダン・シュルマン Dan Schulman
Embed from Getty Imagesペイパル CEO since 2015
ペイパルは、今年中に4億3,000万アカウントを獲得し、2025年までに7億5,000万アカウントに到達することを目標としています。決済手段としてペイパルを利用できなければ、加盟店は売上を逃してしまう可能性があります。
新しいサービスとしては、ビットコインなどの暗号通貨による支払い（ペイパルが従来の通貨に変換）、「Buy Now Pay Later」という分割払いプラン、店頭のQRコード、Xoomブランドによる国際送金などがあります。
次のフロンティアはデジタル通貨だと、CEOのダン・シュルマン氏（63歳）は言います。同氏はプライスライン・グループとヴァージン・モバイルを経営した後、2015年にイーベイから分割されたペイパルを引き継ぎました。
「デジタル通貨は、今日の金融システムを近代化するための基盤となる」と同氏は言います。新しいフォーマットとしては、民間が発行する安定コイン、ビットコインのような暗号通貨、または中央銀行が支援する伝統的な通貨が考えられます。シュルマン氏は、「Dogecoinを追加するかどうかはわからないが、（デジタル通貨の）数を増やすことは検討している」と述べています。
投資家は、シュルマン氏の暗号資産への意欲と実績を高く評価しています。ペイパルの株価は昨年116％上昇し、イーベイとの分離以降では約700％上昇しています。
リサ・スー Lisa Su
Embed from Getty Imagesアドバンスト・マイクロ・デバイセズ CEO since 2014
リサ・スー氏が率いるアドバンスト・マイクロ・デバイセズは、パーソナルコンピュータとデータセンター市場におけるライバルのインテルのシェアを、四半期ごとに削り取ってきました。昨年末、リサ・スー氏は、AMDにとってここ数年で最も野心的な成長計画である、プログラマブル・チップ・メーカーであるザイリングスの350億ドルでの買収に着手しました。
この買収はAMDにとって大きな変革をもたらすものであり、AMDは新しい市場への参入と、利益を生むデータセンター事業に不可欠な技術を手に入れることができます。
「ザイリンクスは、AMDにとって大きな賭けです。ザイリンクスは、アダプティブ・コンピューティングの分野でNo.1のプレーヤーであり、当社のマイクロプロセッサー技術を補完するものだと考えています」とスー氏は述べています。
投資家には、スー氏が正しいと考える十分な理由があります。同氏が2014年に就任して以来、AMDの株価は2,400％以上も上昇しました。
今年、AMDは過去最高の26億ドルの利益を計上し、売上高は約50％増の146億ドルになると予想されています。スー氏（51歳）は、盟主であるインテルとの競争で成功したのは、半導体の設計に適切な技術を賢く利用したからだと考えています。