なんかこのところ連日エヌビディア(NVDA)の記事を書いていますが、勢いがすごいので当然かもしれません。モトリーフールに2021年もエヌビディアが上昇し続けると思われる3つの理由を述べた記事が掲載されていましたのでご紹介します。
新しいゲーム用GPUのアップグレードは始まったばかり
エヌビディアは元々、ハイエンドのゲームグラフィックスからスタートした会社ですが、今でもゲーム業界は同社にとって最大の市場です。
第1四半期のゲーミングの売上高は27億6,000万ドルで、前年同期比で106%という驚異的な伸びを示しました。この急増は、昨年末に発売されたRTX 30シリーズのGPUが牽引しています。これらの先進的なチップには、レイトレーシングやAIを駆使したグラフィックス機能が標準装備されており、プレイヤーがゲーム体験を最大限に活用できるようになっています。
ビデオゲームの売上がこれほどのブームになっていると、やがては減速に向かうのではないかと思われるかもしれません。しかし、まだその時期ではありません。ハードウェアのアップグレードサイクルは、本当に始まったばかりです。
エヌビディアはつい最近、RTX GPUを搭載したラップトップの第一陣をこの夏に発売すると発表しました。これにより、世界中の数千万人以上のゲーマーが新しいチップを利用できるようになります。
また、ビデオゲーム市場の需要に対応するため、エヌビディアはRTX 30シリーズに制限を設け、これらのグラフィックプロセッサが暗号通貨マイニング企業に流れないようにしました(暗号市場向けにカスタム設計された新しいCMPチップが発売され、次の四半期には4億ドルの売上が期待されています)。
エヌビディアは、第2四半期の売上高を約63億ドルと予想しており、レンジの中間値では前年同期比63%増となっています。この急成長には、暗号通貨チップも貢献していますが、ゲーム市場とデータセンター市場の拡大が大きな割合を占めています。
複雑なデータセンターには新しい技術のハードウェアが必要
データセンターはエヌビディアにとって2番目に大きな分野として急浮上しています。第1四半期の売上高は20億5,000万ドルで、前年同期比で79%増と非常に高い伸びを示しました。
データセンターは、表にはあまり出てこない裏方的存在ですが、今日の世界では非常に重要なコンピューティングユニットです。データセンターは、インターネットやモバイルネットワーク、そこに構築され常駐する無数のソフトウェアサービスを運用し、郵便や医療情報の管理など、現実世界の活動を調整しています。そして、ますます高度化するデジタルの世界では、これらの新しいデータをすべて調整できる、より優れたハードウェアが必要とされています。
多くの企業が、データセンターの設計にコンピューティングアクセラレーターとしてGPUを追加したり、古いCPU(中央演算処理装置)をより高速でエネルギー効率の高いGPUに置き換えたりしています。この分野は伝統的にインテル(INTC)が独占してきましたが、エヌビディアは、チップメーカーであるインテルに対抗しています。
昨年、新しいデータ処理ユニット(DPU)を発表し、2021年初頭には、GPUと組み合わせるために設計され、AIなどの最新のデータセンターアプリケーションのために一から作られた「Grace」というCPUを発表しました。
ゲーム事業と同様に、データセンターもアップグレードの初期段階にあります。CFOのコレット・クレス氏は決算説明会で、「あらゆる産業がテクノロジー産業になりつつある 」と述べました。企業が新しい機能を追求し、新しいチップ技術を使って業務の効率化を図っている状況のなか、特にクラウドベースのサービスやAIにおいて、エヌビディアの成長機会には事欠きません。
もはや単なるハードウェア企業ではない
エヌビディアのビジネスは今や半導体の販売のみではありません。
期待がもっとも大きいのは、チップの設計を販売することによるライセンス収入です。懸案のARM ホールディングスの買収が承認されるようなことになれば(クレス氏は2022年初頭までに完了する予定と言っていますが、悲観的な見方も多いのが実情です)、エヌビディアは別の次元の会社に生まれ変わります。
今後有望な分野のひとつが、クラウドベースのSaaS(software-as-a-service)による売上です。自動車産業向けプラットフォームはその典型例です。これは、エヌビディア がコモディティ化した自動車用インフォテインメント・ハードウェアからの撤退を続けているためです。自律走行車プラットフォーム「Drive」は、ハードウェアだけでなく、ソフトウェア・サービスにも及んでおり、自動車メーカーや自律走行車の研究者が自動運転や安全性を向上させるのに役立っています。
もう一つの例は、あらゆる種類のデザイナーやクリエイターのための新しいコラボレーションソフトウェアプラットフォーム「Omniverse」です。Omniverseは、これまでオープンベータ版を提供してきましたが、今夏には個人ユーザーと企業の両方を対象とした商用版の提供を開始する予定です。クレス氏によると、オープンベータ版のダウンロード数はこれまでに1万7,000件を超えており、このSaaSベースのビジネスラインに対する需要が短期間で旺盛になることを示しています。
ソフトウェアの販売は、エヌビディアにとって長期的な展開となりますが、それでも、GPUでのリーダーシップと相まって、この巨大技術企業にとってエキサイティングな新しい分野との出会いとなります。現在、エヌビディアでは革新的な技術が次々と生まれており、急速なペースで成長を続けていることから、株価は当面上昇の勢いを維持するものと思われます。