アマゾン MGM買収へのアナリストの反応

米アマゾン・ドット・コムは26日、米映画製作大手メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)を買収すると発表した。買収額は84億5000万ドル(約9200億円)。人気スパイ映画「007」シリーズなどの製作で知られるMGMを傘下に収め、2億人を超える有料サービス「アマゾンプライム」会員向けの動画コンテンツを拡充する。

出所:日本経済新聞 2021年5月27日電子版

アマゾン 映画製作のMGM買収で合意近づく」でお伝えした買収が正式に発表されました。この買収に関するアナリストの反応をご紹介します。


シティグループのアナリストであるジェイソン・バジネット氏は、リサーチノートの中で、MGMが他の複数のネットワーク向けに番組を制作していることを指摘しています。

その内訳は、ウォルト・ディズニー(DIS)向けに7本、コムキャスト(CMCSA)向けに4本、AT&T(T)/ディスカバリー(DISCA)向けに4本、バイアコムCBS(VIAC)向けに3本、そしてネットフリックス(NFLX)、AMCエンタテインメント・ホールディングス(AMC)、フォックス(FOX)向けに1~2本となっています。

その中には、ABCの「Shark Tank」(13年)、NBCの「The Voice」(21シーズン)、CBSの「Survivor」(41シーズン)、AMCの「Real Housewives」(11シーズン)など、寿命の長い番組も含まれています。

バジネット氏は、アマゾンがこれらのコンテンツをすべてアマゾン・プライム・ビデオに移行することを望んでいるのではないかと述べています。

バイアコムCBS、ウォルト・ディズニー、そして現在進行中のディスカバリーとワーナー・メディアの合併を含むほとんどすべての大手メディア企業が、自社の消費者向け直接配信サービスに注力している現状の中、アマゾン・プライムのようなサードパーティのビデオプラットフォームへのアクセスが減少する可能性があることを指摘。今回の取引は、アマゾンにとってそのリスクを軽減するものだと、同氏は述べています。


CFRAリサーチ社のアナリストであるツナ・アモビ氏は、この取引がコンテンツの軍拡競争を浮き彫りにしていると指摘し、MGMは 「急速に成長しているプライム会員契約の重要な要素として、アマゾン・プライム・ビデオを大きく後押しするだろう 」と述べています。


Truist社のアナリストであるマシュー・ソーントン氏は、今回の買収がエンターテイメント業界全体の企業に影響を与えると考えています。

他のターゲットへの憶測を呼ぶ可能性があると考えており、その中で、映画・テレビスタジオ、成長中のコンテンツライブラリ、有料テレビ・ストリーミングサービス「Starz」の現在のストリーミングプラットフォームなど、MGMと同じような特徴を持つライオンズ・ゲート・エンターテイメント(LGF)の名前を挙げています。

同氏はライオンズ・ゲートを潜在的なターゲットとして「長い間」見てきたそうで、MGMがアマゾンから得ている評価額から考えれば、ライオンズゲートは、現在の価格である約18.36ドルよりも高い、1株あたり25ドルの価値があると考えています。

また、同氏は、MGMの買収は、ネットフリックスとディズニーにとってはほんのわずかなマイナス程度であまり大きな影響を与えないと見ています。

一方、ロク (ROKU) にとっては、この買収は「複雑」であると考えています。最終的にロクにとっては逆風になるかもしれないものの、当面の間は、アマゾン・プライム・ビデオがマーケティングに積極的に取り組むようになるかもしれず、これはロクの視聴者の売上を増加させることにつながると見ています。

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