米国政府が国内の半導体製造や研究を促進するための一連の奨励策や補助金の交付を間近に控えている中、J.P.モルガンのアナリストが、どの銘柄が最も利益を得ることができるかを調べて発表しています。
世界的にチップが不足している中、米国議会は今年初めに、米国のチップ企業に対する一連のプログラムと奨励金を承認しました。1月に成立した2021年度の国防権限法には、米国の製造、研究、開発を強化するためのプログラムが含まれていましたが、これらの取り組みに対する資金提供はありませんでした。
J.P.モルガンのチップアナリストであるハーラン・サー氏によると、これらのプログラムへの資金提供は、政権の次の優先課題のひとつであるジョー・バイデン大統領のインフラ法案に含まれる可能性が高いとのことです。同氏は、この法案は今年の前半に通過し、2021年の後半から資金が提供されると予想しています。
サー氏のチームは、インセンティブと補助金の総額を350億ドルから370億ドルと見積もっており、国内のチップ製造には約180億ドルから200億ドル、チップの研究開発には150億ドルから170億ドルが必要だとしています。
国防権限法の現在の文言に基づいて、サーは3月15日に発表したメモの中で、資金や奨励金を支給する際には、米国に拠点を置く集積デバイスメーカーが優先される可能性が高いと予想しています。
具体的には、インテル(INTC)、マイクロン・テクノロジー(MU)、テキサス・インスツルメンツ(TXN)、アナログ・デバイセズ(ADI)、オン・セミコンダクター(ON)などのメーカーが恩恵を受ける可能性が高いとのこと。
また、米国の防衛関連の資格を持つ企業も恩恵を受ける立場にあると書いています。米国に拠点を置く国際的なチップメーカーである台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング (TSM)やNXPセミコンダクターズ (NXPI)も恩恵を受けるものの、その度合いは低いと見ています。
また、アプライド・マテリアルズ(AMAT)やラム・リサーチ(LRCX)など、チップ製造装置を製造する企業も、インセンティブによって装置の購入額が増加するため、恩恵を受けるとしています。