ビジネスモデルに影響がない限り大きく下がってもじっと我慢が基本方針なんですが、アップルから始まってグーグルまで追随したネット広告の制限強化の動きには反応せざるを得ませんでした。
米グーグルがインターネット利用者の閲覧履歴を追跡する技術の使用制限を強化する。広告会社などが一人ひとりの情報を使って広告を配信する技術を排除する方針だ。米アップルもプライバシー保護を強化しており、配信対象を絞り込むターゲティング技術を高度にすることで成長してきたネット広告の転機となりそうだ。
出所:日本経済新聞電子版2021年3月3日 23:00 (2021年3月4日 10:27 更新)
このニュースを受け、アド・ターゲティング企業と呼ばれるネット広告企業の株価が急落しました。ネット広告枠を買う側の大手、トレードデスク(TTD)は前日比12.8%下落、売る側の大手、マグナイト(MGNI)は6.5%の下落です。
これらの会社は、広告キャンペーンを特定のウェブユーザーの閲覧行動中に行うときに、データ収集や組織化のため、サードパーティ製のブラウザクッキーに依存しており、今回のグーグルの措置に大きな影響を受けるためです。
単にクッキーを廃止するだけでなく、代替的なユーザー追跡技術でクッキーを置き換えることを困難にすることを約束するという次のステップまで踏みこんだ発表をグーグルがしたことが、株価の下落に拍車をかけたようです。
アップルが同様の発表をしたときに、トレードデスクのジェフ・グリーンCEOは、同社のプラットフォーム上で行われている広告のうち約10%しかIDFA(広告識別子)に依存していないと述べ、この数字はかなりの期間一貫しており、「我々のビジネスに重大な影響を与えることはない」と述べていましたが、果たして今回も同じなのか現時点では定かではありません。
気になるのは、代替的なユーザー追跡技術まで困難にするとグーグルが言っていることです。トレードデスクはマグナイトらとともに「Unified ID 2.0」というクッキーをグレードアップした追跡技術を開発していただけに、グーグルが言っているのがこの技術だとしたら問題です。
トレードデスク(TTD)はBeikoku-stockポートフォリオの中堅どころですので、このニュースを知って頭を悩ませました。これは、TTDのビジネスモデルの中核に大きく影響するのではと考えたからです。
以前お伝えしたとおり、2月18日に発表した第4四半期の決算ではコネクテッドTV(CTV)やオーディオなど、急成長しているチャンネルでより多くのシェアを獲得したことが好決算につながりました。
それを考えるとネット広告の技術規制は、それほど影響を与えないのかもしれません。売上の内訳がはっきりわからないので、判断に悩んだのですが、リスクを回避するために、ここはいったんトレードデスク(TTD)の持株の半分を売却しようと決めました。
3月3日の終値で購入時(2020年5月)から約2.3倍になっていましたので、利益が出ているうちに半分だけでも売っておこうと考えたからでもあります。3月3日の市場終了後の時間外で売却しました(こういう時にマネックス証券は助かります。私の場合、売買したいと思うようになるのは、たいてい時間外ですので)。
市場が不安定ですので、じっくり時間をかけて次の銘柄を選んだ方がよかったのかもしれませんが、間髪入れず時間外でピンタレスト(PINS)を購入。時間外で前日比-10%まで下げていましたので、間を置きませんでした。
ピンタレスト(PINS)は1月に少し買っていたので買い増しとなります。ピンタレストはユーザーが「他人の暮らしを見るのではなく、自分の暮らしをさらに豊かにするアイデアをビジュアルで発見するために利用している」というユニークなSNS。求める情報がはっきりしているユーザーにピンポイントで広告を出せるところがとても魅力的で、機会があれば買い増ししたいと考えていました。
こちらもネット広告の技術規制の影響を受けるのかもしれませんが(3月3日の下げはそれに起因すると思われます)、欲しい情報を求める人が来るというその特徴からして追跡技術に頼らなくても同様の効果を持つ広告が出せるのではと考えたのも乗り換えた理由です。