✨ この記事でわかること
- アルファベット株は決算後に約13%急落しましたが、バロンズは強気の投資判断を維持しています。
- グーグル・クラウドの103%成長と割安な株価評価が、株価回復を期待する根拠になっています。
- バロンズは株価400ドルへの回復シナリオを示す一方、検索広告と巨額AI投資にはリスクが残ると指摘しています。
グーグルの親会社アルファベット(GOOGL)の株価が、2026年第3四半期決算を受けて急落しました。しかし、米投資情報専門誌バロンズは10月31日更新の記事で、同社に対する強気の投資判断を維持する姿勢を示しました。
バロンズが注目するのは、株価下落によって生じた割安感です。アルファベットの株価評価はアップル(AAPL)の約半分にとどまっており、両社の過去の評価関係に戻れば、株価は400ドルまで回復する可能性があると分析しています。
ただし、割安に見える株価が必ず上昇するわけではありません。決算で明らかになった事業の成長力と、市場が懸念する問題を分けて考える必要があります。
決算後の急落で時価総額が5,600億ドル減少
アルファベットが10月28日に発表した2026年第3四半期決算では、売上高が前年同期比25%増の1,275億7,700万ドル、営業利益が同30%増の405億7,600万ドルとなりました。
それでも市場の反応は厳しいものでした。
バロンズによると、市場が予想していた営業利益は約430億ドルでしたが、実績は約410億ドルにとどまりました。この約20億ドルの差が投資家の失望につながりました。
決算発表後、株価は約13%下落して282.32ドルとなり、1日で約5,600億ドルの時価総額が失われました。5月につけた高値404.47ドルからの下落率は30%を超えました。
市場が特に警戒したのは、主力の検索広告とYouTube広告の成長が期待に届かなかったことです。
一方、決算全体を見れば、アルファベットの事業が縮小しているわけではありません。営業利益は前年同期から約93億ドル増加しています。
株価下落の背景には、業績の絶対的な悪化というより、高い市場期待と実際の業績の差がありました。
グーグル・クラウドは103%成長、営業利益は約3.1倍
バロンズが強気の判断を維持する重要な理由は、AI関連事業の急成長です。
グーグル・クラウドの2026年第3四半期の実績は次のとおりです。
| 指標 | 2026年第3四半期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 307億900万ドル | +103% |
| 営業利益 | 111億2,100万ドル | 約3.1倍 |
| 営業利益率 | 約36.2% | 約12.5ポイント上昇 |
売上高が倍増しただけでなく、営業利益も大幅に拡大しました。これは、AI向けインフラ投資がすでに相当規模の収益を生み出していることを示しています。
成長を支えているのは、企業向けAIインフラ、AIソリューション、そして独自開発のAI半導体TPUです。
クラウド事業は、従来の検索広告に続く大きな利益源へと成長しています。
今回の決算では、AI投資の負担ばかりに注目が集まりましたが、クラウド事業の高い成長率と収益性も評価する必要があります。
関連記事:アルファベット決算、時間外で10%急落!クラウド103%増収でも売られた理由
アップルとの株価評価の差が示す400ドルへの回復シナリオ
今回のバロンズの記事で特に興味深いのは、アルファベットとアップルの株価評価を比較している点です。
バロンズによると、アルファベットの株価は、利益に対する株価の倍率であるPER(株価収益率)で見ると、アップルの約半分の水準で取引されています。
PERは、企業の利益に対して投資家がどれだけ高い株価を支払っているかを示す指標です。同じ利益を生み出す企業でも、将来の成長性やリスクに対する評価によってPERは異なります。
バロンズは、アルファベットの株価評価がアップルに対する過去の相対的な水準(約25%のディスカウント)に戻れば、株価は約400ドルまで回復する可能性があると分析しています。
これはバロンズが示した約50%の上昇余地というシナリオです。ただし、記事執筆時点の約279ドルを基準に単純計算すると、400ドルまでの上昇率は約43%になります。
また、この400ドルは正式な目標株価ではなく、両社の相対的な株価評価が過去の水準に戻ることを前提とした試算です。
このシナリオが実現するには、市場がアルファベットの検索広告事業やAI事業に対する評価を引き上げる必要があります。
さらに、アップルの株価評価が現在の水準を維持するとも限りません。両社の事業構造や成長率、投資負担は異なるため、PERの差だけで割安と断定することはできません。
検索広告と巨額AI投資が株価回復の障害に
強気材料がある一方、アルファベットには解決すべき課題が残っています。
最大の問題は、検索広告の収益性です。
第3四半期の検索関連売上高は前年同期比12%増でしたが、前四半期の17%増から減速しました。AI検索の利用拡大が、必ずしも広告収入の拡大に直結していない状況です。
もう一つは設備投資です。
アルファベットは2026年通期に1,950億〜2,050億ドルの設備投資を予定しています。第3四半期のフリーキャッシュフローは91億ドルの赤字でした。
AI向けデータセンターや半導体への投資は、クラウド事業の成長を支える一方、短期的な現金収支を圧迫しています。
市場が求めているのは、AI需要の拡大だけでなく、投資した資金がどれだけの利益と現金収入を生み出すかという証拠です。
関連記事:アルファベット株急落の深層、クラウド103%成長でも市場が警戒する3つのリスク
今後の株価を左右する3つの条件
アルファベット株の評価が回復するためには、次の3つの条件が重要になります。
第一に、検索広告の成長率が安定することです。AI検索の利用拡大を広告収入につなげられれば、主力事業に対する市場の不安が和らぐ可能性があります。
第二に、グーグル・クラウドの高成長と収益性が維持されることです。売上高の増加だけでなく、営業利益率の推移も重要です。
第三に、設備投資の拡大に見合うフリーキャッシュフローの改善です。2027年も設備投資が増える見通しであり、投資負担と収益拡大のバランスが注目されます。
まとめ
アルファベットの株価急落は、AI事業の成長が止まったことを意味しません。グーグル・クラウドは売上高が倍増し、営業利益も約3.1倍に拡大しています。
バロンズが強気を維持する理由は、こうした事業の成長力に対して、株価評価が大きく低下したことにあります。
バロンズが示した400ドルへの回復シナリオは、現在の株価と企業の成長力との間にある評価の差を示すものです。
一方、検索広告の成長鈍化と巨額の設備投資は、株価が割安に見える理由でもあります。
株価の本格的な回復には、クラウドの成長だけでなく、検索広告の収益性と現金創出力の改善が必要です。
投資家にとって重要なのは、株価がどれだけ下落したかではなく、今後の利益成長によって現在の株価評価を正当化できるかという点です。
情報ソース
企業公式資料・一次情報
- Alphabet:Alphabet Announces Third Quarter 2026 Results
- Alphabet:Form 10-Q, Quarter Ended September 30, 2026
報道・市場情報
- Barron’s:Yes, Alphabet Stock Got Hammered. No, We’re Not Selling.
- Reuters:Alphabet stock sinks as search woes cause revenue miss, cash burn worsens
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。