✨ この記事でわかること
- SLBの第3四半期決算が市場予想を上回り、株価が7.08%上昇した背景
- AIデータセンター事業の具体的な内容と2027年末20億ドル超の年間売上ランレート目標
- 中東事業の回復状況と今後の成長を判断するうえで重要なポイント
世界最大級の油田サービス企業SLB(旧シュルンベルジェ、SLB)が10月23日に発表した2026年第3四半期決算は、市場予想を上回りました。
特に注目されたのは、AIデータセンター向け事業の売上高が前年同期比76%増加したことです。従来の石油・ガス関連事業に加え、AIインフラが新たな成長分野として存在感を高めています。
好決算を受け、10月23日のSLB株は7.08%上昇しました。
第3四半期決算は売上高・利益とも市場予想を上回る
2026年第3四半期(7〜9月期)の売上高は94億4,900万ドルで、前年同期比6%、前四半期比5%増加しました。
| 項目 | 実績 | 比較 |
|---|---|---|
| 売上高 | 94億4,900万ドル | 前年同期比+6% |
| GAAP EPS | 0.49ドル | 前年同期比-2% |
| 調整後EPS | 0.64ドル | 前年同期比-7% |
| 調整後EBITDA | 20億7,000万ドル | 前四半期比+9% |
| フリーキャッシュフロー | 8億2,800万ドル | — |
市場予想の売上高約92億ドル、調整後EPS0.62ドルをともに上回りました。
調整後EPSは前年同期比では減少したものの、前四半期比では16%増加しています。収益力の回復が進んでいることが確認できます。
AIデータセンター事業が76%成長、2027年末には年間20億ドル超のペースへ
今回の決算で最も注目されるのが、データセンター・ソリューション事業の急成長です。
同事業の売上高は2億3,000万ドルとなり、前年同期比76%、前四半期比23%増加しました。
SLBのAIデータセンター事業は、大規模なAIデータセンターの建設・運用に必要な設備を設計・製造する事業です。具体的には、サーバーを収容する施設の構造物、電力供給設備、冷却システムなどを工場であらかじめ組み立て、建設現場に搬入して設置します。従来の現場中心の建設方式と比べて、工期を最大40%短縮できるのが特徴です。さらに、石油・ガス事業で培った熱管理や大規模設備の設計技術を応用し、AI半導体の発熱を効率的に処理する冷却設備の強化にも取り組んでいます。つまり、エヌビディア(NVDA)がAI半導体を供給するのに対し、SLBはその半導体を大量に稼働させるための施設や設備を提供する企業です。
ル・プーチCEOは決算説明会で、同事業の年間売上ランレートが2026年末までに10億ドルを超え、2027年末には20億ドルを超える軌道にあると説明しました。
ランレートとは、その時点の売上水準を年間換算したもので、実際の年間売上高とは異なります。
現在の売上高は全社の約2.4%にすぎませんが、成長目標の達成が今後の収益構造を変える可能性があります。
約41億ドルのケルビオン買収でAI冷却市場を開拓
SLBは2026年8月、熱管理技術を手掛けるケルビオンの買収を発表しました。買収条件は現金約34億ドルと約7億ドルの負債引き受けで、実質約41億ドルです。
2027年上半期の買収完了を予定しており、データセンター向け冷却技術とインフラ事業の強化を目指しています。
また、メタ・プラットフォームズ(META)との契約を受け、カナダにデータセンター設備の組み立て・試験施設を設立する計画も進めています。
関連記事:石油大手SLBが41億ドルでAIデータセンターに賭ける、次の主戦場は『冷却』へ
本業も回復、中東売上高が13%増加
油田サービス事業では、中東地域の売上高が前四半期比13%増加しました。イラク、クウェート、サウジアラビア、UAEなどで事業活動が改善しています。
ただし、四半期後半には一部地域で地政学的な混乱が再燃しました。このため、SLBは第4四半期の中東売上高を前四半期並みの約19億ドルと保守的に見込んでいます。
北米売上高は前四半期比7%増加しました。一方、全社売上高の前年同期比6%増にはChampionX買収の効果が含まれており、買収影響を除いた増収率は2%にとどまっています。
株価は7.08%上昇、53.06ドルで取引終了
10月23日の米国市場でSLB株は前日終値49.55ドルから53.06ドルへ上昇し、上昇率は7.08%となりました。
売上高と調整後EPSが市場予想を上回ったことに加え、AIデータセンター事業の成長や中東事業の回復が投資家に好感されたと考えられます。
今後の注目点と投資リスク
SLBは第4四半期の全社売上高を約100億ドルと予想し、前四半期比5〜7%の成長を見込んでいます。
2027年については深海油田開発、デジタル事業、データセンター事業の拡大を成長要因に挙げています。
一方、AI関連事業では新規プロジェクトの立ち上げ費用が収益性を圧迫しています。ケルビオン買収後の事業統合や、AI設備投資の減速リスクにも注意が必要です。
中東情勢の不透明感も続いており、事業活動の回復が想定より遅れる可能性があります。
まとめ:AIインフラ事業は新たな成長エンジンになるか
今回の決算では、SLBの本業が回復に向かう一方、AIデータセンター事業が急成長していることが明らかになりました。
2027年末に年間売上ランレート20億ドル超という目標を達成できれば、同事業の存在感は大きく高まります。
ただし、企業価値の持続的な向上には、売上拡大だけでなく利益率の改善も欠かせません。今後はAI事業の収益化と中東事業の回復状況が重要な判断材料となります。
情報ソース
企業公式資料・一次情報
報道・市場情報
- Barron’s:SLB: Oilfield-Services Giant or AI Stock? Earnings Offer a Clue.
- Stock Analysis:SLB Historical Stock Prices
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。