✨ この記事でわかること
- スペースXの株価が10月21日に約10%急騰し、好決算とAI事業の成長見通しが投資家の買いを集めました。
- JPモルガンは目標株価を240ドルから500ドルへ108%引き上げました。株価160ドル前後を基準とすると、約3倍への上昇を見込む強気の評価です。
- AI計算能力の急拡大はエヌビディアなどの関連企業にも追い風となる一方、巨額設備投資と資金調達が今後の焦点になります。
スペースX(SPCX)の株価が、2026年10月21日の米国株式市場で急騰しました。
米投資情報専門誌バロンズによると、同社の株価は米東部時間21日の取引中に約10%上昇し、161.96ドルを付けました。
前日の決算発表を受け、投資家の関心が集まったのは、予想を上回る業績だけではありません。
AI事業の急成長と、それを支える計算インフラの拡大計画が、同社に対するウォール街の評価を大きく変えています。
特に注目されるのが、JPモルガンによる目標株価の大幅な引き上げです。
JPモルガンが目標株価を500ドルへ引き上げ
10月21日、JPモルガンのダグ・アンムス氏らアナリストは、スペースXの目標株価を従来の240ドルから500ドルへ引き上げました。
引き上げ幅は260ドル、率にして約108%です。投資判断は「オーバーウェイト」を維持しています。
バロンズによると、今回の好決算を受け、複数の証券会社が目標株価を引き上げています。
| 証券会社 | 従来の目標株価 | 新しい目標株価 |
|---|---|---|
| JPモルガン | 240ドル | 500ドル |
| キャンター・フィッツジェラルド | 246ドル | 345ドル |
| シティ | 200ドル | 240ドル |
JPモルガンの500ドルという目標株価は、バロンズが報じた取引中の161.96ドルを基準とすると、約209%の上昇余地を意味します。
ただし、これは同社の将来の成長を織り込んだアナリスト予測です。株価が500ドルに到達することを保証するものではありません。
また、ファクトセットによるアナリストの平均目標株価は約244ドルであり、JPモルガンの予測が市場全体の平均を大きく上回っている点にも注意が必要です。
売上高146億ドル、純利益44億ドルの好決算
目標株価の引き上げを後押ししたのが、10月20日に発表された2026年第3四半期決算です。
スペースXが米証券取引委員会(SEC)に提出した資料によると、売上高は前年同期比161%増の約146億ドルとなりました。
これは市場予想の約129億ドルを大幅に上回る水準です。
純利益は44億ドルとなり、前年同期の赤字から黒字へ転換しました。上場後初めての四半期黒字です。
さらに、2027年第1四半期の売上高について、会社は330億〜370億ドルという見通しを示しています。
市場予想の約220億ドルと比較すると、予想下限でも50%高い水準です。
今回の決算の詳細については、10月21日に公開した以下の記事で解説しています。
関連記事:スペースX決算、売上高161%増で初の黒字!2027年の強気見通しで株価4.53%上昇
AI計算能力を2027年にさらに10ギガワット拡大
今回の株価急騰を理解するうえで、特に重要なのがAIインフラの拡大計画です。
スペースXの2026年9月末時点のAI計算能力は1.7ギガワット(GW)に達しています。
バロンズによると、同社は2026年末までに約3GWへ拡大し、2027年にはさらに10GWを追加する計画です。
1GWは100万キロワットに相当し、AIデータセンターの電力・計算インフラの規模を示す指標として使用されています。
イーロン・マスクCEOは決算説明会で、スーパーインテリジェンス向けの計算能力が長期にわたって不足するとの見方を示しました。
また、現在の計算能力を上回る顧客需要が存在することも強調しています。
ここで重要なのは、需要が確認されているという経営陣の説明と、将来の売上高として実際に実現する金額を区別することです。
計算能力の増設が予定通り進み、顧客との契約や設備稼働率が伸びれば、収益が大幅に拡大する可能性があります。
一方、設備の稼働開始時期が遅れれば、収益拡大のペースも鈍化するリスクがあります。
エヌビディアや電力インフラ関連株にも買い
スペースXの好決算は、AI関連企業の株価にも波及しました。
バロンズによると、10月21日の取引中には、エヌビディア(NVDA)、マイクロン・テクノロジー(MU)、インテル(INTC)などの半導体関連株が上昇しました。
さらに、AIデータセンター向けの電力・冷却設備を手がける企業にも買いが入りました。
| 関連企業 | バロンズが報じた取引中の上昇率 |
|---|---|
| マイクロン・テクノロジー | 約2.4% |
| エヌビディア | 約2% |
| インテル | 約1% |
| GEベルノバ(GEV) | 約4% |
| ブルーム・エナジー(BE) | 約5% |
| バーティブ(VRT) | 約7% |
| イートン(ETN) | 約2% |
これらは10月21日の取引中の参考値であり、終値の騰落率ではありません。
AI計算能力の拡大には、高性能半導体だけでなく、電力供給、冷却システム、配電設備などへの投資が必要です。
スペースXの計画が実行されれば、AIインフラのサプライチェーン全体に新たな需要が生まれる可能性があります。
関連記事:エヌビディアがAIデータセンター建設を6カ月から14日に短縮!新技術「DSX POD」で恩恵を受ける注目株
目標株価500ドルの実現を左右する巨額設備投資
強気の見方が広がる一方、スペースXの事業拡大には大きな財務リスクも伴います。
バロンズによると、キーバンクのマイケル・レショック氏は、AI関連の設備投資に巨額の資金が必要となる点を警戒しています。
スペースXは急速に計算能力を拡大していますが、そのためには半導体の調達、データセンターの建設、電力設備の整備など、多額の先行投資が必要です。
今後は外部からの資金調達が必要になる可能性も指摘されています。
ただし、JPモルガンは経営陣との対話を踏まえ、同社が現時点で株式による資金調達を検討していないと報告しています。
このように、資金調達についてもアナリスト間で見方が分かれています。
投資家が確認すべきなのは、売上高の急成長だけではありません。
AI事業の利益率、営業キャッシュフロー、設備投資額、そして実際に稼働する計算能力の増加が重要になります。
巨額の設備投資を利益とキャッシュフローで支えられるかどうかが、今後の企業価値を左右します。
まとめ:スペースXの評価は宇宙企業からAIインフラ企業へ
10月21日のスペースX株の急騰は、好決算に加え、AI事業の将来性に対する市場の期待が一段と高まったことを示しています。
特にJPモルガンによる目標株価500ドルへの引き上げは、同社が従来の宇宙開発・衛星通信企業とは異なる成長段階に入ったと評価していることを示すものです。
一方、アナリストの平均目標株価は約244ドルにとどまっており、500ドルという強気予測には大きな不確実性があります。
今後の注目点は、2027年に予定されるAI計算能力の拡大が、実際の売上高や利益の増加につながるかどうかです。
スペースXの成長が持続すれば、同社だけでなく、半導体、電力、データセンター設備など幅広いAI関連企業の業績にも影響を与える可能性があります。
情報ソース
企業公式資料・一次情報
– SpaceX:2026年第3四半期決算発表資料(SEC提出書類)
報道・市場情報
- Barron’s:SpaceX Soars 10% After Earnings—and Could Climb to $500 Next
- Investing.com:JPMorgan raises SpaceX stock price target to $500 on growth outlook
- TipRanks:SpaceX price target raised to $500 from $240 at JPMorgan
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。