✨ この記事でわかること
- ゴールドマン・サックスが大型ハイテク株以外への投資を提案する理由と、注目する23銘柄の特徴
- S&P500企業の利益成長率が2026年の36%から2027年には11%へ鈍化するという予測
- 生活必需品やヘルスケアなど、現金創出力と株価の割安さが投資判断で重要になる可能性
米国株市場では、これまで相場を牽引してきた大型ハイテク株の値動きが不安定になっています。AI関連銘柄への投資が集中してきた反動から、今後は別の業種にも目を向けるべきだという見方が浮上しています。
10月19日付のマーケットウォッチは、ゴールドマン・サックスが投資家に対し、これまで市場で十分に評価されてこなかった銘柄への投資を提案していると報じました。
同社のストラテジスト、ベン・スナイダー氏らが注目しているのは、生活必需品やヘルスケアを中心とする23銘柄です。
ゴールドマン・サックスが指摘する米国株市場の変化
今回のマーケットウォッチの記事で取り上げられているのは、米国株市場における投資資金の偏りです。
これまでS&P500の上昇を支えてきたのは、エヌビディア(NVDA)やマイクロソフト(MSFT)をはじめとする大型ハイテク企業でした。
しかし、AIインフラへの巨額投資が続くなか、その資金調達コストや投資回収の見通しを懸念する動きも出ています。
この問題については、当ブログでも、大型ハイテク企業がAIインフラへの巨額投資を負担する一方、半導体を供給するエヌビディアが豊富な現金を生み出している構図を取り上げています。
関連記事:AI投資の現実 メガテックが巨額投資を負担し、エヌビディアが「現金製造機」化する構図
ゴールドマン・サックスのスナイダー氏らは、こうした状況を踏まえ、株価上昇が一部の企業に集中している市場では、出遅れている業種に投資機会が生まれる可能性があると考えています。
実際、10月19日の米国市場ではS&P500が上昇した一方、構成銘柄の多くが下落しました。バロンズによると、上昇した銘柄は156、下落した銘柄は346でした。
指数全体が上昇していても、その恩恵が市場全体に広がっているとは限らないことを示しています。
注目されるのは生活必需品とヘルスケア
ゴールドマン・サックスが選定した23銘柄は、米国の大型株を中心とするラッセル1000指数の構成企業から選ばれています。
選定のポイントは、株価の変動が比較的小さく、フリーキャッシュフロー利回りが同業他社と比べて高いことです。
フリーキャッシュフローとは、企業が事業活動や必要な設備投資を行ったあとに残る資金を指します。
景気の先行きが不透明な局面では、こうした現金創出力が企業の財務的な強さを判断する材料になります。
今回の23銘柄については、ビジネス・インサイダーも10月19日付の記事で紹介しています。
そのなかから代表的な企業を挙げると、次のようになります。
| 企業名 | ティッカー | 主な事業 |
|---|---|---|
| CVSヘルス | CVS | 薬局・医療保険 |
| アッヴィ | ABBV | 医薬品 |
| メルク | MRK | 医薬品 |
| タイソン・フーズ | TSN | 食品 |
| コルゲート・パルモリーブ | CL | 日用品 |
| クローガー | KR | スーパーマーケット |
これらは23銘柄の一部であり、ゴールドマン・サックスによる個別の目標株価や上昇率を示すものではありません。
重要なのは、AI関連の大型成長株とは異なる収益構造を持つ企業が投資対象として浮上している点です。
2027年は企業利益の成長ペースが鈍化する可能性
今回の投資提案には、米国企業の利益成長に対する見通しも関係しています。
マーケットウォッチが紹介したゴールドマン・サックスの分析では、S&P500企業の1株当たり利益の成長率が2026年の36%から2027年には11%へ鈍化すると予測されています。
この予測は、企業利益が減少に転じるという意味ではありません。利益の増加が続くとしても、その勢いが弱まる可能性を示しています。
AI関連投資の拡大がこれまでの利益成長を支えてきた一方、今後は設備投資の伸びが落ち着き、減価償却費などの負担が重くなることも想定されています。
こうした局面では、高い成長率を前提として評価されている銘柄ほど、決算内容や今後の業績見通しに対して株価が敏感に反応する可能性があります。
当ブログでは10月18日、AI関連株の調整局面でウォール街が注目する5銘柄について、業績成長と財務リスクの両面から紹介しました。
関連記事:AI株急落の今こそ注目!ウォール街が決算に期待する5銘柄とそのリスク
ただし、利益成長率の予測には不確実性があり、実際の結果はAI需要や設備投資動向によって変わります。
消費関連株にも投資機会が生まれるのか
もう1つ興味深いのは、ゴールドマン・サックスが消費関連企業にも注目していることです。
同社は2027年にエネルギー価格や金利が低下すれば、家計の実質所得が改善し、消費活動を支える可能性があるとみています。
とりわけ低所得者層の購買力が回復すれば、これまで厳しい事業環境に置かれていた企業にも追い風となります。
また、旅行や娯楽、ホテル、レストランなど、消費者の体験に関わる事業についても、長期的な成長機会があると評価しています。
もっとも、この見通しは物価や金利が想定どおりに落ち着くことが前提です。インフレが再加速した場合には、家計の購買力が改善せず、消費関連株への期待が後退する可能性もあります。
AI株から全面的に撤退する必要があるのか
今回の報道から、ゴールドマン・サックスがAI関連株を一律に売却するよう勧めていると解釈するのは適切ではありません。
同社が注目しているのは、これまで株価上昇が集中していた大型ハイテク株と、それ以外の企業との評価の違いです。
AIへの投資需要が引き続き拡大したとしても、株式市場では期待がすでに株価へ織り込まれている場合があります。
反対に、成長率がそれほど高くない企業でも、利益の安定性や現金創出力に対して株価が割安であれば、投資家から再評価される余地があります。
ただし、出遅れ銘柄が必ず上昇するわけではありません。業績の悪化が株価低迷の原因となっている企業もあるため、割安さだけで投資判断を下すことには注意が必要です。
今回のゴールドマン・サックスの提案は、AI関連株の将来性を否定するものというより、投資対象を広げる重要性を示すものとして捉えられます。
一方、AI投資には依然として強気の見方もあります。当ブログでは10月11日、著名アナリストのダン・アイブス氏が、2027年に向けてエヌビディアやマイクロソフトなどの大型ハイテク株に注目していることを紹介しました。
関連記事:ダン・アイブス氏が選ぶ2027年のハイテク株5選 AI投資「4兆ドル時代」はまだ序盤
ハイテク株の成長性を評価する見方と、出遅れた業種の割安さに注目する見方は、必ずしも対立するものではありません。
まとめ:2027年を見据えた投資先の見直し
大型ハイテク株が米国市場を牽引してきた構図は、今後も続く可能性があります。
一方、企業利益の成長ペースが鈍化する場合には、投資家が重視する指標も変化することが考えられます。
これまでの売上高成長率やAI投資の拡大期待に加え、キャッシュフローの安定性や株価の割安さが、投資判断において存在感を増す可能性があります。
今回のマーケットウォッチの記事は、そうした市場環境の変化を考えるうえで参考になる内容です。
ゴールドマン・サックスが挙げた23銘柄の詳細と、それぞれを選定した背景については、元記事も確認する価値があります。
情報ソース
情報ソース:MarketWatch: “Tech is wobbling. Goldman Sachs says it’s time to buy these 23 unloved stocks instead.” (Oct. 19, 2026)
情報ソース:Business Insider: “Goldman Sachs says buy these 23 defensive stocks as the economy and bull market struggle” (Oct. 19, 2026)
情報ソース:Barron’s: “Most Stocks in the S&P 500 Aren’t Taking Part in the Rebound” (Oct. 19, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。