ASTスペースモバイル株が8%超急落、スペースXの通信事業拡大が新たな脅威に

  • 2026年10月14日
  • 2026年10月14日
  • BS余話

✨ この記事でわかること

  • ASTスペースモバイル(ASTS)の株価は10月13日の取引中に8.18%下落し、47.25ドルに。衛星打ち上げの遅延懸念とスペースX(SPCX)の通信事業拡大が重荷となっています。
  • パイパー・サンドラーは投資判断を引き下げ、目標株価を98ドルから54ドルに約45%引き下げました。
  • 米国での商用サービス開始が2027年後半にずれ込む可能性がある一方、既存通信会社との提携拡大には期待も残っています。

ASTスペースモバイル株に広がる警戒感

衛星を利用した携帯電話向け通信サービスの実現を目指すASTスペースモバイルが、厳しい局面を迎えています。

米投資情報サイトのマーケットウォッチは10月13日、ASTスペースモバイルの事業展開に対する市場の懸念を報じました。

同社の株価は10月13日の米東部時間午後1時51分時点で47.25ドルとなり、前日比4.21ドル安(8.18%下落)を記録しました。

株価は2026年5月に133ドルを超える水準まで上昇しましたが、その後は下落傾向が続き、今回の株価水準では高値から約65%下落しています。

背景にあるのは、衛星通信市場で存在感を高めるスペースXとの競争激化です。

これまでASTスペースモバイルに衛星打ち上げサービスを提供してきたスペースXが、携帯電話向け通信サービスでも競合する存在になりつつあります。

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目標株価を98ドルから54ドルへ大幅引き下げ

今回の株価下落で注目されたのが、米証券会社パイパー・サンドラーによる投資判断の変更です。

同社のアナリスト、アレックス・ポッター氏は10月12日、ASTスペースモバイルの投資判断を「オーバーウエート」から「ニュートラル」に引き下げました。

目標株価も従来の98ドルから54ドルへと、約45%引き下げています。

マーケットウォッチによると、ポッター氏が特に懸念しているのは、ASTスペースモバイルが計画する通信衛星「ブルーバード」の打ち上げペースです。

同氏は2026年末時点の衛星配備数について、従来予想の45基から18基へと大幅に下方修正しました。

2027年末についても、従来の68基から60基に予想を引き下げています。

これらはアナリストによる予測の変更であり、ASTスペースモバイルが正式に衛星配備計画を変更したという意味ではありません。

ただし、衛星の配備が事業拡大の前提となる同社にとって、打ち上げスケジュールの遅延は商用化の時期や収益計画に影響する重要な問題です。

スペースXの通信事業拡大が競争環境を変える

ASTスペースモバイルにとって、もう一つの課題がスペースXの事業戦略です。

スペースXは先週、約80億ドル規模の携帯電話向け周波数帯の取得計画を発表しました。

この動きは、同社が衛星インターネット事業にとどまらず、携帯電話向け通信市場への進出を本格化させていることを示しています。

マーケットウォッチの記事では、スペースXの事業拡大がASTスペースモバイルに与える影響として、通信サービスの競争激化に加え、衛星打ち上げ能力の問題を取り上げています。

スペースXが自社の衛星打ち上げを優先する場合、他社が利用できる打ち上げ機会が制約される可能性があります。

ASTスペースモバイルにとっては、通信サービスの競争相手が、衛星を宇宙に送り届けるための重要な事業パートナーでもあるという複雑な関係です。

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米国での商用サービス開始は2027年後半にずれ込む可能性

衛星配備の遅れは、ASTスペースモバイルの商用サービス開始時期にも影響する可能性があります。

ポッター氏は、当初2027年初めを想定していた米国での商用サービス開始が、2027年後半にずれ込む可能性を指摘しています。

また、スペースXとの価格競争が激しくなることを想定し、ASTスペースモバイルのサービス料金についても見通しを引き下げました。

従来は月額15ドルを想定していましたが、新たな予測では12ドルとしています。

サービス開始の遅れと料金の低下が同時に発生すれば、売上高の拡大ペースに影響する可能性があります。

衛星通信事業では、衛星の製造・打ち上げに多額の先行投資が必要です。そのため、サービス開始時期と収益化の進展は、投資家にとって重要な判断材料となります。

スペースXの台頭がASTスペースモバイルの追い風になる可能性も

もっとも、マーケットウォッチの記事はASTスペースモバイルにとっての悪材料だけを取り上げているわけではありません。

ポッター氏は、スペースXの通信事業拡大が、逆にASTスペースモバイルへの需要を押し上げる可能性にも言及しています。

スペースXが従来の通信会社にとって強力な競争相手になれば、既存の通信会社は対抗手段を必要とします。

その際、ASTスペースモバイルが提供する衛星通信技術が有力な選択肢となる可能性があります。

ASTスペースモバイルは、すでに米通信大手AT&T(T)と提携しています。

ポッター氏は、今後さらに提携関係が強化される可能性もあるとみています。

つまり、スペースXとの競争はASTスペースモバイルに直接的な脅威をもたらす一方、スペースXに対抗したい通信会社からの需要を生み出す可能性もあるということです。

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空売り比率20%超が示す株価変動リスク

マーケットウォッチの記事では、ASTスペースモバイルの空売り比率が20%を超えていることにも触れています。

空売り比率が高い銘柄では、好材料によって株価が急上昇すると、空売り投資家による買い戻しが株価上昇を加速させる場合があります。

一方、事業計画の遅延や競争激化への懸念が強まれば、株価がさらに下落するリスクもあります。

ポッター氏は、事業計画を実行するうえでのリスクが高く、悲観的なシナリオでは株価が50%超下落する可能性も指摘しています。

これは同氏のリスク評価であり、実際にその規模の下落が起きると確定したものではありません。

まとめ:衛星通信市場の成長期待から事業遂行能力が問われる段階へ

今回のマーケットウォッチの記事から読み取れるのは、ASTスペースモバイルの投資判断において、衛星通信市場の成長性だけでは不十分になっているということです。

今後は、計画どおりに衛星を配備できるか、米国での商用サービスをいつ開始できるか、競争環境の変化に対応できるかが重要になります。

また、スペースXの通信事業拡大が、既存の携帯電話会社とASTスペースモバイルの関係にどのような変化をもたらすかも注目されます。

今回の報道は、衛星通信市場の成長期待が失われたことを示すものではありません。

むしろ、市場の成長が期待されるなかで、各企業がどのような競争上の優位性を築き、実際の事業収益につなげられるかが、これまで以上に問われる段階に入ったことを示唆しています。

ASTスペースモバイルにとっては、衛星打ち上げ計画の着実な実行と通信会社との提携拡大が、今後の評価を左右する重要な要素になりそうです。

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情報ソース: MarketWatch: “AST SpaceMobile’s stock is feeling the heat from SpaceX’s wireless plans” (By Christine Ji, Oct. 13, 2026)

※株価は2026年10月13日午後1時51分(米東部時間)時点の取引時間中の数値であり、終値ではありません。

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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