中国がスペースXを猛追 スターリンクと宇宙覇権を争う新時代

中国の宇宙産業が急速に存在感を高めています。

これまで商業ロケット市場では、スペースX(SPCX)が再使用型ロケットと高い打ち上げ頻度を武器に大きな優位を築いてきました。しかし、中国も再使用型ロケットや衛星コンステレーションの開発を加速しています。

注目したいのは、単なる米中のロケット開発競争ではありません。宇宙通信、衛星、打ち上げサービスを含む世界の宇宙経済そのものが拡大し、スペースXだけでなくロケット・ラボなどにも新たな事業機会が生まれる可能性があります。

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中国が再使用型ロケットでスペースXを追う

中国は2026年7月、長征10Bロケットの第1段ブースター回収に初めて成功しました。

バーンスタインによると、この成果は当初予想より6カ月早く達成されました。

スペースXが商業ロケット市場で強さを発揮してきた理由の1つが、ロケットの再使用です。機体を繰り返し利用することでコストを抑え、短期間に多数の打ち上げを実施できる体制を構築しました。

中国が同様の技術を実用化できれば、将来的に打ち上げ価格や頻度の面でスペースXとの差を縮める可能性があります。

実際、2026年9月15日から17日にかけて、中国は48時間以内に4回のロケット打ち上げを実施しました。ランドスペースや中国航天科技集団など複数の事業者が参加しており、中国国内の宇宙産業が広がっていることも特徴です。

スターリンクを追う中国の国網星座

さらに注目すべきなのが衛星インターネットです。

中国の国網星座では200基超の衛星が稼働しており、長征12によって新たに9基が打ち上げられました。

これに対して、スペースXのスターリンクでは約11,100基の衛星が稼働しているとされています。現時点では大きな差があります。

ただし、中国が目指しているのは国内市場だけではない可能性があります。

衛星、ロケット打ち上げ、地上通信設備をセットにして海外へ提供できれば、自前で宇宙通信インフラを整備することが難しい国にとって有力な選択肢になります。

その場合、スターリンクとは別の衛星通信経済圏が形成される可能性があります。

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スペースXの戦略転換が生む市場

興味深いのは、中国の成長と同時にスペースX自身も戦略を変えつつあることです。

スペースXはスターシップに経営資源を集中しており、ファルコン9の将来のライドシェア・ミッションについて、一部顧客からの予約を断り始めていると報じられています。

ファルコンシリーズについては、2030年代半ばまでに退役するとの予想もあります。

これはスペースXの競争力低下を意味するものではありません。スターシップが本格稼働すれば、同社の打ち上げ能力はさらに高まる可能性があります。

一方で、スペースXがスターリンクやスターシップを優先するほど、小型衛星などを打ち上げたい外部顧客が別の事業者を探す必要が出てきます。

ロケット・ラボには新たな商機

そこで注目したいのがロケット・ラボ(RKLB)です。

中国企業が海外へ進出すれば、ロケット・ラボにとって競争相手が増えることになります。しかし同時に、スペースXが引き受けきれない顧客を獲得できる可能性もあります。

イタリアのアビオ(AVIO)のCEOは、スペースXから打ち上げ枠を確保できない顧客が同社へ問い合わせていると説明しています。

この動きから考えると、現在の市場では単にロケット企業同士が顧客を奪い合っているだけではなく、増加する需要に対して打ち上げ能力が不足している可能性があります。

宇宙市場全体が成長するのであれば、ロケット・ラボにとって中国企業の台頭は必ずしも悪材料だけではありません。

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欧州も宇宙への投資を拡大

宇宙産業への投資を強めているのは米国と中国だけではありません。

英国は2030年までに104億ドルを投じる宇宙戦略を発表しました。英国のオープン・コスモスやスペインのPLDスペースも新たな資金を調達しています。

フランスのアリアングループは重量級ロケットの投入数拡大を検討し、ドイツのイーザー・エアロスペースは2028年に打ち上げ能力を2倍超に拡大する計画です。

背景にあるのは、宇宙インフラを特定の外国企業だけに依存することへの警戒です。

通信、防衛、衛星観測などを考えると、宇宙技術は国家安全保障とも密接に関係します。そのため、米国、中国、欧州がそれぞれ独自の宇宙インフラを整備する流れが強まる可能性があります。

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宇宙市場は「勝者総取り」ではない

投資家にとって重要なのは、「スペースXに勝つ企業はどこか」という視点だけではありません。

世界の衛星数が増え、各国が通信や防衛のために宇宙インフラを整備すれば、打ち上げ需要そのものが大きくなる可能性があります。

そうなれば、スペースX、中国企業、ロケット・ラボ、欧州企業が、それぞれ異なる地域や顧客を獲得する市場になることも考えられます。

今後は、中国の再使用型ロケットが商業運用へ進めるか、国網星座の衛星数がどこまで増えるか、スペースXがファルコン9の外部顧客向けサービスをどの程度縮小するかが焦点です。

宇宙株を見る際には「誰がスペースXに勝つか」だけではなく、「世界的な宇宙需要の拡大から誰が利益を得るか」という視点が、これまで以上に重要になりそうです。

情報ソース: MarketWatch: “China is chasing SpaceX and setting its sights on the global space economy” (By William Gavin, Sept. 20, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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