IREN株が7.36%上昇 AIサービス市場「4兆ドル」予測でネオクラウド株に追い風

  • 2026年9月20日
  • 2026年9月20日
  • BS余話

AI関連株への投資というと、これまでは半導体企業が中心でした。しかし、AIモデルを動かすための計算能力を提供する「ネオクラウド」と呼ばれる企業群にも、ウォール街の注目が広がっています。

ノースランド・エクイティ・キャピタル・マーケッツは2026年9月18日、IREN(IREN)、ブースト・ラン(BRUN)、クロノスケール(CHRN)、シャロンAI(SHAZ)の4社についてカバレッジを開始し、すべてに「アウトパフォーム」の投資判断を付けました。

9月18日の終値はIRENが46.68ドルで前日比7.36%高、ブースト・ランが17.27ドルで3.54%高、クロノスケールが20.42ドルで1.44%高、シャロンAIが57.56ドルで1.47%高となりました。4銘柄がそろって上昇しており、AIコンピューティング市場への投資家の関心の強さが表れています。

AIaaS市場は2034年に約4兆ドルへ

ノースランドは、AI-as-a-Service(AIaaS)市場が2027年末の約8,530億ドルから、2034年には約4兆ドルまで拡大すると予測しています。単純計算では約4.7倍の規模です。

AIaaSとは、企業や開発者が大規模なAIシステムを自ら構築することなく、インターネット経由でAI機能や計算能力を利用する仕組みです。

この市場が拡大すれば、恩恵を受けるのはエヌビディア(NVDA)、ブロードコム(AVGO)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などの半導体メーカーだけではありません。

AI半導体を大量に導入し、その計算能力をサービスとして提供するネオクラウド企業にも大きな成長機会が生まれます。

仮想通貨マイナーからAIインフラ企業へ──IRENとハット8が切り開く「ネオクラウド」の成長シナリオ

AI計算能力の価格はすでに33%上昇

ネオクラウド市場の追い風を示しているのが、AI計算能力の価格上昇です。

ノースランドによると、AI計算能力の時間単位レンタル料金は2025年12月以降、約33%上昇しています。

さらに、アマゾン・ドット・コム(AMZN)が展開するAWSやマイクロソフト(MSFT)などのハイパースケーラーは、ネオクラウド事業者のおよそ3倍の料金を設定しているとされています。

この価格差はネオクラウドにとって重要です。大手より低価格という競争力を維持しながら、料金を引き上げる余地が残されているからです。

AIコンピュートの需要が供給を上回る状態が続けば、利用量の増加と価格上昇の両面から売上が伸びる可能性があります。

実際、AI向けGPUの価格決定力はネオクラウド各社を見るうえで重要なポイントになっています。ネビウスの値上げについては、以下の記事でも詳しく取り上げています。

ネビウス急伸の理由 AI GPUレンタル20%値上げが示す価格決定力

ネオクラウドの勝敗を分けるのはソフトウェア

ただし、ネオクラウド企業であれば、すべて同じように成長できるとは限りません。

計算能力だけを貸し出す事業は、将来的に価格競争が激しくなる可能性があります。そのため重要になるのが、GPUなどの計算資源にソフトウェアを組み合わせることです。

バロンズの記事では、独自のソフトウェア・エコシステムを持つ、または構築している企業としてコアウィーブ(CRWV)、ネビウス(NBIS)、IREN、クロノスケールが挙げられています。

管理や最適化などのソフトウェア機能を提供できれば、単なるGPUの貸し出しから、付加価値の高いAIサービスへ進化できます。

今後ネオクラウド企業を評価する際には、GPUの保有量だけでなく、顧客を長期間つなぎ留めるソフトウェア基盤を構築できるかも重要になります。

コアウィーブとエヌビディアの関係や、AIクラウドで形成されるエコシステムについては、以下の記事でも分析しています。

AIクラウド戦争の新たな覇者となるか コアウィーブとエヌビディアが築く鉄壁のエコシステム

IRENは9月18日に7.36%上昇

今回の4社の中でも、特にウォール街の評価が高いのがIRENです。

IRENは9月18日に7.36%上昇し、46.68ドルで取引を終えました。ノースランドが設定した目標株価は99ドルで、9月18日終値から計算すると約112%の上昇余地があります。

JPモルガンも9月14日、IRENの投資判断を「アンダーウェイト」から「オーバーウェイト」へ2段階引き上げ、目標株価を46ドルから65ドルへ引き上げています。65ドルは9月18日終値を約39%上回る水準です。

また、ファクトセットが集計した19社の平均目標株価82.54ドルは、9月18日終値を約77%上回ります。

IRENはもともとビットコインのマイニングを手掛けていましたが、現在はAIコンピューティングへ事業の重点を移しています。エヌビディアとの戦略的パートナーシップを持ち、クラウドインフラ・ソフトウェア企業のミランティスも買収しています。

単なるGPUの貸し出し企業ではなく、ソフトウェアを含めたAIクラウドサービス企業へ転換できるかが、今後の成長を左右するポイントになります。

IRENの業績とAIクラウド事業への転換については、以下の記事でも詳しく取り上げています。

IREN株が決算後に急落、それでも「買い」と評価される理由とは?AIクラウド事業の急成長に注目

他のネオクラウド3社にも大きな上昇余地

9月18日の終値を基準にすると、ノースランドの目標株価と現在の株価には他の3社にも大きな差があります。

ブースト・ランは17.27ドルに対して目標株価36ドルで約108%の上昇余地、クロノスケールは20.42ドルに対して32ドルで約57%、シャロンAIは57.56ドルに対して95ドルで約65%の上昇余地となります。

もちろん、目標株価は将来の株価を保証するものではありません。それでも4社すべてに強気の投資判断が付けられたことは、ウォール街がネオクラウドをAI投資の新たな成長分野として見始めていることを示す材料になります。

AI投資は半導体からサービスへ広がる

これまでAI投資の主役はエヌビディアなどの半導体メーカーでした。しかし、AIの利用が広がるにつれて、その半導体を使って計算能力を提供する企業にも収益機会が広がります。

コアウィーブ、ネビウス、IRENなどは、その流れを象徴する企業です。

2034年にAIaaS市場が約4兆ドルまで拡大するという予測には不確実性があります。一方、AI計算能力のレンタル料金がすでに約33%上昇していることは、足元でもAIインフラへの需要が強いことを示しています。

今後のAI投資では、半導体メーカーだけでなく、計算能力をサービスとして提供し、さらにソフトウェアによって付加価値を高められるネオクラウド企業にも注目する必要があります。

情報ソース: Barron’s: “Why Wall Street Is Bullish on the AI Service Market” (By Kit Norton, Sept. 18, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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