AI相場を巡っては、「期待が先行しすぎている」「バブルではないか」といった議論が続いています。
しかし、株価ではなく企業利益に目を向けると、違った景色が見えてきます。
ファクトセットによると、S&P 500構成企業のうち114社が2026年第3四半期の業績見通しを発表し、そのうち72社がウォール街の予想を上回る1株当たり利益(EPS)見通しを示しました。
過去5年間の平均は43社です。今回は29社も上回っており、企業の利益見通しは異例の強さとなっています。
さらに、予想を上回る企業の多くが情報技術セクターに集中しています。AIブームが「期待で株価を押し上げる段階」から、「実際の利益を押し上げる段階」へ移り始めている可能性があります。
114社中72社が市場予想を上回る
114社のうち72社、つまり6割超が市場予想を上回るEPS見通しを出しています。
過去5年間の平均が43社だったことを考えると、企業側の見通しが通常よりかなり強いことが分かります。
AI相場を見る際、株価だけに注目すると「上がりすぎか、まだ上がるのか」という議論になりがちです。
しかし、より重要なのは企業利益が株価上昇に追いついているかです。
今回のデータは、AI投資による需要拡大が一部の企業で実際の利益見通しに反映され始めていることを示しています。
AIの恩恵が情報技術セクターへ広がる
予想を上回る業績見通しを出した企業の多くは情報技術セクターに属しています。
AIモデルの開発や運用には、半導体だけでなく、サーバー、ネットワーク設備、データセンターなど幅広いコンピューティング資源が必要です。AI投資が増えれば、恩恵を受ける企業も広がります。
その象徴の1つがインテル(INTC)です。
インテルは2026年7月、第3四半期の利益見通しを発表し、アナリスト予想を上回りました。
ファクトセットによると、6月30日以降の情報技術セクターの利益予想引き上げでも、インテルは大きく寄与した企業の1つです。
リップ・ブー・タンCEOは「AIが計算能力への前例のない需要を生み出している」と述べています。
AI市場の拡大が、特定のAIサービスだけでなく、計算能力そのものへの需要を押し上げていることを示す発言です。
S&P 500全体の利益成長率は28.7%
さらに注目したいのがS&P 500全体の利益です。
ファクトセットによると、2026年第3四半期のS&P 500企業全体の利益は前年同期比28.7%増と予想されています。
実現すれば、25%を超える利益成長は3四半期連続となります。
株価だけが上昇し、利益が伸びていなければ、バリュエーションの上昇に依存した相場になります。一方、企業利益そのものが大きく成長しているのであれば、株価上昇には業績面からの裏付けも生まれます。
現在のAI相場を単純に「バブルか否か」で判断するのではなく、利益成長がどこまで株価を支えているかを見る必要があります。
AIバブル論だけでは説明できない相場へ
もちろん、今回の数字だけで現在の株価水準が割安だと判断することはできません。AI関連株には高い成長期待が織り込まれており、バリュエーションへの警戒も必要です。
一方で、「AIへの期待だけで株価が上昇している」という説明だけでは、現在の相場を捉えにくくなっています。
114社中72社が市場予想を上回るEPS見通しを示し、S&P 500全体でも28.7%の利益成長が予想されているからです。
AI投資の拡大が企業の利益にまで波及し始めているのであれば、今後は株価の上昇率だけでなく、実際の利益成長を比較することが重要になります。
インフレへの言及は減少
企業経営者の発言にも変化があります。
2026年6月15日から9月10日までのS&P 500企業の決算説明会では、「inflation」という言葉が205件で使われました。前四半期から6%減少しています。
2022年第2四半期には410件でインフレが言及されており、当時と比べると大幅に減少しました。
ただし、インフレ問題が解消したわけではありません。
ダラー・ゼネラル(DG)のトッド・バソスCEOは、インフレは依然として高く、燃料価格も変動していると述べています。
消費者向け企業にはインフレ圧力が残る一方、情報技術セクターではAI需要が利益を押し上げています。業種によって置かれている環境には大きな差があります。
AI相場は「利益で選別する段階」へ
今後の焦点は、AI市場が成長するかどうかだけではありません。
AIへの巨額投資を、実際の売上やEPSの増加につなげられる企業はどこかという点が重要になります。
S&P 500全体で28.7%の利益成長が予想され、情報技術セクターを中心に市場予想を上回る企業が増えていることは、AIブームが企業利益へ波及し始めている可能性を示しています。
AI相場は「期待だけで買われる段階」から、「利益を出せる企業が選別される段階」へ移りつつあります。
バブル論を検証するうえでも、これからは株価だけではなく、EPSと企業利益の伸びを追うことが一段と重要になります。
情報ソース: MarketWatch: “Corporate profit forecasts are topping expectations to an unusual degree. AI is a big reason why.” (By Bill Peters, Sept. 13, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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