クラウドデータプラットフォーム大手のスノーフレイク(SNOW)が、AIを新たな成長エンジンとして再び存在感を高めています。
企業が保有する膨大なデータをクラウド上で管理・分析するスノーフレイクは、生成AIブームの恩恵を受ける企業の1つとして以前から注目されてきました。ただし、AI関連企業の評価で重要なのは「AIを導入しているか」ではなく、「AIが実際の売上や利用量の増加につながっているか」です。
その点で、今回の決算はスノーフレイクにとって大きな転換点となった可能性があります。特に注目したいのが、自律型AIコーディングアシスタント「CoCo」です。
AIの「実験段階」から「収益化」へ移行
現在、多くのテクノロジー企業がAI機能を相次いで投入しています。しかし、AIサービスが顧客企業の実験段階にとどまり、実際の売上拡大につながっていないケースも少なくありません。
一方、スノーフレイクの直近7月期決算では、製品収益が14億9,000万ドルとなり、前年同期比37%増加しました。市場予想の14億2,000万ドルも大きく上回っています。
ここで重要なのは、単に売上成長率が高かったという点だけではありません。
スノーフレイクでは、自律型AIコーディングアシスタント「CoCo」が利用拡大の新たな入口になり始めています。CoCoは旧称「Cortex Code」と呼ばれていたAIツールで、ユーザーが自然言語などを利用しながらコード作成やデータ処理を効率化できる仕組みです。
AIエージェントが人間に代わって作業を行うようになると、従来よりも短時間で大量のデータ処理が可能になります。その結果、スノーフレイク上で実行される処理量そのものが増え、同社の収益拡大につながる可能性があります。
スノーフレイクは利用量に応じて収益が増える消費型のビジネスモデルを採用しています。このため、CoCoが単なる付加機能ではなく、顧客によるデータ消費量を増加させる仕組みとして機能し始めたことは重要です。
AIが便利になればなるほどスノーフレイクの利用量も増えるという好循環を構築できれば、同社にとって非常に強力な成長モデルになります。
強気のガイダンスが示すAI需要の広がり
今回の決算でもう1つ注目したいのが、経営陣による業績見通しの引き上げです。
スノーフレイクは通期の製品収益予想を従来の58億4,000万ドルから60億7,000万ドルへ上方修正しました。
さらに、10月期の製品収益についても15億8,800万~15億9,300万ドルを見込んでおり、市場予想の15億400万ドルを上回っています。
決算で一時的に好調な数字を出す企業は珍しくありません。しかし、通期見通しまで引き上げたことは、会社側が今後も需要の強さが続くと判断していることを示しています。
特に注目したいのは、AI関連サービスの導入が単発の契約増加だけではなく、既存顧客による利用量の増加につながる可能性です。
企業がスノーフレイク上でAIアプリケーションを構築し、CoCoなどを利用して開発速度を高めれば、データ分析、AIモデルの利用、アプリケーション運用といった複数の処理が同じプラットフォーム上で行われるようになります。
つまりスノーフレイクにとってAIは、新しい製品を1つ販売するという話ではありません。既存プラットフォーム全体の利用量を増加させる役割を果たす可能性があります。
この構造が定着すれば、AI需要の拡大とともに顧客単価が上昇する「アップセル型」の成長が期待できます。
株価17%急騰、市場はスノーフレイクを再評価
株式市場も今回の決算を高く評価しました。
決算発表後の9月3日、スノーフレイク株は約17%急騰し、2021年12月以来の高値を記録しました。
2021年末は、低金利とクラウド需要の急拡大を背景に多くのソフトウェア企業が非常に高い評価を受けていた時期です。その後、金利上昇や企業のIT支出抑制によってクラウド関連株のバリュエーションは大きく低下しました。
その水準を約5年ぶりに回復したことは、投資家がスノーフレイクの成長ストーリーを改めて評価し始めていることを意味します。
しかも、今回の株価上昇は単なる「AI期待」だけではありません。製品収益の高成長とガイダンス引き上げという実際の業績が背景にあります。
生成AIブーム初期には、AIという言葉だけで株価が上昇する銘柄も多くありました。しかし市場の関心は徐々に、AI投資からどれだけ売上や利益を生み出せるかという段階へ移っています。
スノーフレイクは今回、その問いに一定の答えを示したと評価できます。
CoCoがスノーフレイクの「成長加速装置」になる可能性
今後の最大の注目点は、CoCoがスノーフレイクの成長率をどこまで押し上げられるかです。
AIエージェントが普及すると、人間がデータ分析の指示を1回出すだけで、AIがデータ検索、コード作成、分析、修正などを連続して実行する世界が広がっていきます。
これはAIアプリケーション1件当たりのデータ処理量が従来より増える可能性を意味します。
その処理基盤としてスノーフレイクが採用されれば、AIエージェントの普及そのものが同社の売上増加につながる構造が生まれます。
一方で、競争環境には注意が必要です。クラウドデータ市場ではマイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベットなど巨大クラウド企業に加え、データブリックスなどもAI機能を積極的に強化しています。
今後のスノーフレイクには、単にAI機能を提供するだけでなく、顧客企業が自社データを安全かつ効率的にAIへ活用できる環境をどこまで構築できるかが求められます。
それでも今回の決算を見る限り、AIがスノーフレイクの業績に与える影響は「将来への期待」から「現在の売上成長」へ移り始めています。
CoCoが顧客のデータ利用量を継続的に増加させることができれば、スノーフレイクはクラウドデータ企業から「AI時代のデータ基盤企業」へと評価を変えていく可能性があります。
今後数四半期では、CoCoの利用拡大と製品収益成長率が維持されるかが、スノーフレイクの次の株価上昇局面を判断する重要なポイントになりそうです。
情報ソース: MarketWatch: “Snowflake has a secret weapon that’s powering its stock toward a huge gain” (By Nora Redmond and Hannah Pedone, Sept. 3, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事はこちら スノーフレーク SNOW
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