9月2日発表の最新決算は市場予想を大幅に上回る
クラウド型データプラットフォーム大手のスノーフレーク(SNOW)が9月2日のマーケット終了後に発表した7月期四半期決算は、売上高と利益の両面で市場予想を大きく上回る好決算となりました。
当四半期の総売上高は前年同期比35%増の15億5,000万ドルとなり、ウォール街の事前予想14億8,000万ドルを上回りました。
スノーフレークの成長を判断するうえで特に重要となるプロダクト売上高も14億9,000万ドルに達し、市場予想14億2,000万ドルを大きく超えています。
利益面でも強さが目立ちました。調整後1株利益は62セントとなり、ファクトセットがまとめたアナリスト予想45セントを大幅に上回りました。
一方、AI関連サービスの拡大に伴うコスト増加も確認されています。調整後プロダクト粗利益率は前年同期の75.8%から74.7%へ低下しました。AIワークロードの処理には従来以上の計算能力が必要となるため、クラウドインフラコストが上昇していることが背景にあります。
ただし、会社全体ではコスト効率化が進んでいます。調整後営業利益率は前年同期から410ベーシスポイント改善し、15.3%まで上昇しました。
粗利益率が低下するなかでも営業利益率を拡大できている点は、スノーフレークの事業規模拡大によるオペレーションレバレッジが効き始めていることを示しています。
通期見通しを大幅上方修正、成長率は36%へ加速
今回の決算で投資家から特に高く評価されたのが、今後の業績見通しです。
次期となる10月期のプロダクト売上高は15億8,800万ドル〜15億9,300万ドルを見込んでいます。市場予想は15億400万ドルだったため、会社予想はコンセンサス予想を大きく上回りました。
調整後営業利益率についても15.5%を予想しています。
さらに注目されるのが、1月期末までの通期プロダクト売上高予想です。
従来予想の58億4,000万ドルから60億7,000万ドルへと引き上げられました。前年比成長率も31%から36%へ上方修正されています。
市場予想の58億5,000万ドルを大幅に上回る内容であり、AI需要によってスノーフレークの成長が再加速していることを示すガイダンスとなりました。
こうした好決算と強気の見通しを受け、スノーフレークの株価は9月2日の時間外取引で約23%急騰しました。
AIエージェントが新たな成長エンジンに
今回の決算で最も重要なポイントは、スノーフレークが従来のクラウド型データウェアハウス企業から、企業向けAIプラットフォームへと変化し始めていることです。
2月に一般提供を開始したAIコーディングエージェント「CoCo」は、すでに9,100以上のアカウントで利用されています。
さらに、企業のデータ分析を支援するAIエージェント「スノーフレーク CoWork」も5,800アカウントまで拡大しました。「スノーフレーク Notebooks」の利用も増加しています。
スノーフレークの強みは、企業がすでに保有している大量のデータのすぐ近くでAIを動かせることにあります。
企業にとって生成AIを導入する際の大きな課題の1つが、機密データや顧客情報を外部サービスに移動することによるセキュリティリスクです。
スノーフレークの環境内でAIエージェントを動かすことができれば、企業は既存のデータ基盤を維持しながらAIを導入できます。
つまり、スノーフレークに蓄積された企業データそのものが、AIサービスを拡大するための競争優位性になり始めています。
AWSとの60億ドル契約がAIインフラを支える
AI事業が急拡大する一方で、課題となるのがコンピュートコストです。
AIモデルやAIエージェントを利用する機会が増えれば、それだけクラウド上で必要となる計算量も増加します。
スノーフレークはこの問題に対応するため、5月にアマゾン・ウェブ・サービスと5年間で60億ドル規模の契約を締結しました。
アマゾン(AMZN)が開発する「Graviton」チップへのアクセスも確保し、将来的なストレージやコンピュートコストの最適化を進めています。
長期契約によってクラウドインフラの調達条件を改善できれば、AI利用拡大によるコスト上昇を一定程度抑えることが可能になります。
今回、プロダクト粗利益率が74.7%へ低下したにもかかわらず、営業利益率が15.3%まで改善したことは重要です。
AI関連コストが増加しても、それ以上のスピードで売上高を伸ばし、販売管理費などの効率化によって利益率を改善できる可能性が示されています。
スノーフレークは「データ企業」から「AI基盤企業」へ
これまでスノーフレークは、企業データを保存・分析するためのクラウド型データプラットフォームとして成長してきました。
しかし現在は、そのデータの上でAIを動かすためのプラットフォームへと事業領域を拡大しています。
今回の決算では、AI関連製品の利用拡大が実際の売上成長として表れ始めました。
特に注目したいのは、プロダクト売上高の通期成長率見通しが31%から36%へ引き上げられたことです。
巨大企業となったスノーフレークが30%台半ばの成長率を維持していることは、企業向けAI需要の強さを示しています。
一方で、今後もAIワークロード拡大による粗利益率への圧力には注意が必要です。AIサービスが急速に普及しても、コンピュートコストが同じペースで増加すれば利益率改善が難しくなる可能性があります。
今後の決算では、売上成長率だけでなく、プロダクト粗利益率と営業利益率の推移が重要な確認ポイントとなります。
スノーフレークの将来性をどう見るか
今回の決算は、スノーフレークのAI戦略が期待段階から収益化段階へ移行し始めたことを示す内容だったと評価できます。
AIエージェントの利用アカウントが急増し、プロダクト売上高の成長率も加速しています。さらに会社側が通期見通しを大幅に引き上げたことからも、足元の需要にはかなりの強さがあります。
企業が生成AIを本格導入するためには、その前提として大量の企業データを安全に管理できる環境が必要です。
その意味で、データ基盤とAIサービスを一体化できるスノーフレークは、エンタープライズAI市場の拡大から大きな恩恵を受ける可能性があります。
一方で、AI関連のインフラコスト増加という課題も明確になっています。
今後のスノーフレークを評価する際には、AI製品の利用拡大が高成長を維持できるのか、そしてその成長を利益率改善につなげられるのかという2点が重要になります。
今回の決算を見る限り、スノーフレークは「データを保存する企業」から「企業のAIを動かす基盤企業」へと変化しつつあります。この転換が継続すれば、中長期的な成長余地はさらに大きくなる可能性があります。
情報ソース: MarketWatch: “ Snowflake’s stock soars as the company blows away estimates with its AI-fueled forecast” (By Christine Ji and Hannah Pedone, Sept. 2, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事はこちら スノーフレーク SNOW
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