AI×eコマースの本命株はこの3社!アマゾン・アルファベット・ゾメトリーがトップピック

AIの進化によって、eコマース業界の競争軸が大きく変わろうとしています。これまでオンライン通販では、商品の品ぞろえ、価格、配送スピード、ブランド力などが企業の競争力を左右してきました。しかし今後は、AIを使って消費者や企業の購買行動をどこまで効率化し、それを売上や顧客維持につなげられるかが重要になりそうです。

こうした変化を背景に、ローゼンブラット証券のアナリストであるスコット・デビット氏は8月19日、eコマースセクターのカバレッジを開始しました。

デビット氏は、アマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、イーベイ(EBAY)、エッツィ(ETSY)、ショッピファイ(SHOP)、ウェイフェア(W)、ゾメトリー(XMTR)の7社に「買い」レーティングを付与しました。一方、チューイ(CHWY)は「中立」としています。

さらに、今回の調査対象の中でもアマゾン、アルファベット、ゾメトリーの3社をトップピックに指定しました。

この評価からは、AIによるeコマースの構造変化が消費者向けオンライン通販だけではなく、製造業の部品調達などB2B分野にも広がる大きな投資テーマになりつつあることが読み取れます。

アマゾン、アルファベット、ゾメトリーがトップピックに

今回の評価で最も注目されるのは、アマゾン、アルファベット、ゾメトリーの3社がトップピックに選ばれたことです。

3社の事業モデルは大きく異なりますが、共通しているのは、AIを単なる便利な機能として導入するのではなく、自社が持つ巨大な顧客接点や取引プラットフォームと結び付けられる点です。

アマゾンでは、AIを活用したショッピング支援機能「Alexa for Shopping」が昨年、約120億ドルの増分売上を生み出したと推計されています。

AIがユーザーの購入履歴や嗜好を理解し、適切な商品を提案できれば、消費者が商品を検索し、比較する手間を大幅に減らせます。

従来のeコマースでは、消費者自身が検索窓に商品名を入力し、複数の商品から選択する必要がありました。しかしAIエージェントが普及すれば、「来週必要な日用品をまとめて注文して」と指示するだけで購入まで完了する世界が現実味を帯びてきます。

こうした購買体験では、豊富な商品データ、価格情報、購入履歴、物流網を持つアマゾンが大きな優位性を持っています。

アルファベットは検索広告をAI時代へ移行

アルファベットもAIとeコマースを結び付ける重要な企業です。

同社は「Gemini」をはじめとするAIサービスの利用を拡大すると同時に、AIモードへの広告導入を進めています。

従来のグーグル検索では、ユーザーがキーワードを入力し、検索結果と広告を見ながら商品やサービスを選択していました。

しかし生成AIが普及すると、「予算1,000ドル以内で旅行に適したノートパソコンを選んで」といった自然な質問によって購入候補を絞り込む利用方法が増えると考えられます。

アルファベットがAIとの対話の中に広告や商品提案を自然に組み込むことができれば、検索広告という巨大な収益源をAI時代にも維持できる可能性があります。

アマゾンとアルファベットはともに、膨大なユーザーデータと顧客接点を持っています。そのため、AIの精度向上がそのまま広告収入や商品購入の増加につながりやすい点が大きな強みです。

ゾメトリーはB2B調達のAI化で存在感

今回、ゾメトリーがアマゾン、アルファベットと並んでトップピックに選ばれたことも重要です。

ゾメトリーは製造業向けのオンラインマーケットプレイスを展開しており、企業が必要とする部品の見積もりや調達をデジタル化しています。

一般消費者向けのeコマースとは異なり、製造業の部品調達では、仕様、材質、数量、納期など多くの条件を考慮する必要があります。そのため、従来は見積もりや取引先選定に多くの時間と人手が必要でした。

こうした複雑な業務はAIとの相性が良い分野です。

AIによって見積もりの精度向上やサプライヤーとのマッチング、価格設定などを効率化できれば、発注側と製造側の双方にとってプラットフォームを利用する価値が高まります。

AIによる購買革命は、日用品や衣料品などのB2C市場だけでなく、産業界のB2B調達にも広がる可能性があります。ゾメトリーがトップピックに含まれていることは、AI時代のeコマースを考えるうえでB2B市場も重要な成長分野として見る必要があることを示しています。

「買い」が7社に付与された意味

今回のローゼンブラット証券の評価でもう1つ注目したいのは、「買い」レーティングがトップピックの3社だけではないことです。

イーベイ、エッツィ、ショッピファイ、ウェイフェアにも「買い」が付与されています。

これはAIによるeコマースの変化が一部の巨大テック企業だけの利益になるのではなく、特定分野に強みを持つプラットフォームにも成長機会をもたらす可能性を示しています。

ショッピファイでは、商品説明の作成、マーケティング、販売分析、顧客対応など、オンライン店舗運営のさまざまな領域でAIを活用できます。

また、イーベイやエッツィのように膨大な商品が出品されるマーケットプレイスでは、AIによって検索や商品推薦の精度を高めることで、ユーザーが目的の商品にたどり着きやすくなります。

ウェイフェアでも、家具やインテリア商品の検索、比較、提案などにAIを活用する余地があります。

それぞれの企業が持つ独自のデータと顧客基盤をAIと組み合わせられるかどうかが、今後の競争力を左右することになりそうです。

チューイは唯一の「中立」評価

一方、今回対象となった8社のうち、チューイだけが「中立」レーティングとなりました。

ただし、これを単純に「AIへの取り組みが遅れている企業」と判断するのは適切ではありません。

チューイでも検索や商品推薦などにAIを活用する余地があります。ペット用品は定期購入との相性も良く、将来的にはAIがペットの種類、年齢、過去の購入履歴などをもとに必要な商品を自動的に提案するサービスへ発展する可能性があります。

一方で、現時点ではアマゾンやアルファベットのようにAIが巨大な既存事業の収益を直接押し上げる構造や、ゾメトリーのように複雑なB2B取引の効率化へAIを活用できるモデルとは違いがあります。

今後、AIによる顧客体験の改善をどこまで売上成長や顧客維持につなげられるかが注目点になります。

AI時代のeコマースで勝者となる企業の条件

今回のアナリスト評価から見えてくるのは、AI時代のeコマースでは「最も優れたAIモデルを持つ企業」が必ずしも勝者になるわけではないということです。

重要なのは、AIを実際の購買行動や取引に結び付けられるかどうかです。

商品データ、顧客データ、決済、広告、物流などを自社サービス内で連携できる企業ほど、AIによる提案をそのまま売上に変換しやすくなります。

この点でアマゾンは商品購入と物流、アルファベットは検索と広告という巨大な顧客接点をすでに持っています。

一方、ゾメトリーは製造業の部品調達という専門性の高い市場で、AIによる見積もりやマッチングの高度化を成長につなげられる可能性があります。

ショッピファイのような企業も、特定分野のエコシステムをAIによって強化することで独自の競争力を築ける可能性があります。

今後のeコマース企業を評価する際には、単純に「AIを導入しているか」ではなく、「AIによって購入率、取引量、広告収入、顧客維持率などがどれだけ改善しているか」を見ることが重要になります。

AIはeコマースにとって単なる便利な検索機能ではなく、商品選びから購入、さらには企業の部品調達まで、取引の流れそのものを変える存在になりつつあります。

今回、ローゼンブラット証券が7社に「買い」を付与し、その中でもアマゾン、アルファベット、ゾメトリーの3社をトップピックに選んだことは、AIとeコマースの融合がB2CとB2Bの両市場を巻き込む次の大きな成長テーマとして意識され始めていることを示す動きと言えます。

情報ソース: Barron’s: “Why Amazon and Alphabet May Be the Best Way to Play the AI E-Commerce Shift” (By Kit Norton, Aug 20, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事はこちら アマゾン AMZN  アルファベット GOOGL

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