米国ミサイル生産が2.4倍へ 今注目したい防衛関連株9社を徹底比較

  • 2026年8月19日
  • 2026年9月16日
  • BS余話

米国でミサイル生産を大幅に拡大する動きが進んでいます。

バロンズによると、シティのアナリスト、ジョン・ゴディン氏は、米国の年間ミサイル生産量が現在の約2,500発から、今後数年間で6,000発超まで増えると予想しています。単純計算では約2.4倍です。

対象にはパトリオット迎撃ミサイル、THAAD迎撃ミサイル、スタンダード・ミサイル、トマホーク巡航ミサイルなどが含まれます。

こうした増産の恩恵を受ける可能性がある企業として、バロンズは完成品メーカーから部品メーカーまで9社を挙げています。

今回は、この9社をそれぞれ紹介しながら、ミサイル増産という長期テーマの中でどのような位置付けになるのかを考えます。

RTX(RTX)

RTXは、今回のミサイル増産テーマを考えるうえで中心となる企業の一つです。

バロンズはRTXをミサイルメーカーとして挙げており、シティのゴディン氏も「買い」と評価しています。また、RTXをカバーするアナリストのうち70%超が「買い」としています。

さらに、イランで戦闘が始まって以降、バロンズが調査した主要防衛企業10社の多くが下落する中、RTXは株価が上昇した2社のうちの1社でした。

ミサイル需要の拡大に加え、民間航空宇宙事業も持っていることから、防衛需要だけに依存しない事業構造はRTXを見る際の一つの特徴です。

ロッキード・マーティン(LMT)

ロッキード・マーティンも、ミサイル増産の直接的な恩恵を受ける企業として挙げられています。

ゴディン氏は同社を「買い」と評価していますが、アナリスト全体では「買い」の比率が42%にとどまっています。

S&P500構成銘柄の平均的な「買い」比率が55~60%であることを考えると、市場の評価は必ずしも強気一辺倒ではありません。

そのため、ミサイル需要の拡大が今後の業績へどの程度反映されるのかが注目点になります。現在の市場評価が低い分、実際の業績が期待を上回れば評価が変化する余地もあると考えられます。

ノースロップ・グラマン(NOC)

ノースロップ・グラマンも、バロンズがミサイルメーカーとして挙げた主要企業です。

ゴディン氏は「買い」と評価しており、同社をカバーするアナリストの「買い」比率も70%を超えています。

RTXと並び、ウォール街から比較的高い評価を受けている企業です。

ミサイル生産量そのものが大幅に拡大する局面では、完成品メーカーとして需要増加を直接取り込める立場にあることが最大のポイントになります。

L3ハリス・テクノロジーズ(LHX)

L3ハリス・テクノロジーズは、完成したミサイルそのものではなく、関連する部品やシステムを供給する企業として紹介されています。

同社をカバーするアナリストの68%が「買い」と評価しています。

ミサイル増産では完成品メーカーに目が向きがちですが、生産量が約2.4倍になるのであれば、関連システムや部品の需要も増加します。

その意味で、L3ハリス・テクノロジーズはミサイル増産の周辺需要を取り込む企業として見ることができます。

ハネウェル・エアロスペース(HONA)

ハネウェル・エアロスペースも、ミサイル向け部品の関連企業として挙げられています。

同社を「買い」とするアナリストの比率は33%で、今回取り上げられた企業の中では低い水準です。

また、同社は2026年6月にハネウェルからスピンオフされており、その後の株価は弱い状態にあります。

ミサイル増産という事業上の追い風がある一方で、市場からの評価は慎重です。今後は独立企業としての事業実績を確認していく必要があります。

デュコマン(DCO)

デュコマンは、ミサイル関連の部品を供給する企業の一つです。

ゴディン氏は同社を「買い」と評価しています。

大手完成品メーカーと比較すると規模や知名度は低いものの、ミサイル生産拡大によって部品需要が増えれば、その恩恵を受ける可能性があります。

こうした企業は、ミサイル増産そのものよりも、サプライチェーンの生産能力拡大という視点から注目したい存在です。

ムーグ(MOG.A)

ムーグもミサイル関連部品の供給企業として挙げられています。

ゴディン氏は同社をカバーしていませんが、アナリストの80%が「買い」と評価しています。今回紹介されている企業の中でも特に高い比率です。

完成品メーカーよりも市場規模は限定される可能性がありますが、増産が長期化すれば、部品供給企業にも継続的な需要が発生します。

ミサイル生産拡大をサプライチェーン側から捉える場合、注目度の高い企業の一つです。

カーチス・ライト(CW)

カーチス・ライトも、ミサイル生産を支える部品メーカーとして紹介されています。

ゴディン氏の投資判断は「ホールド」です。一方、同社を含むカーチス・ライト、ノースロップ・グラマン、RTXのアナリスト「買い」比率は70%を超えています。

シティの評価は慎重ですが、市場全体では比較的強気な見方が多いという違いがあります。

この評価の差は、今後の業績や受注動向を確認するうえで注目したいポイントです。

マーキュリー・システムズ(MRCY)

マーキュリー・システムズは、ミサイル関連サプライヤーの一つです。

ゴディン氏は同社をカバーしていませんが、アナリストの73%が「買い」としています。

ミサイル増産が数年間続くのであれば、完成品メーカーだけではなく、電子機器や関連システムを供給する企業にも需要が波及します。

マーキュリー・システムズは、そのサプライチェーン拡大を捉える銘柄として位置付けることができます。

9社を比較すると見えてくる2つの投資テーマ

今回の9社は、大きく2つに分けて考えると分かりやすくなります。

一つは、RTX、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンといったミサイルメーカーです。ミサイル生産量の増加を直接取り込む企業群です。

もう一つが、L3ハリス・テクノロジーズ、ハネウェル・エアロスペース、デュコマン、ムーグ、カーチス・ライト、マーキュリー・システムズといったサプライヤーです。

年間生産量が約2,500発から6,000発超へ増えるのであれば、完成品だけでなく、その内部で使用される部品やシステムの需要も拡大します。

そのため、今回のテーマでは大手防衛企業だけを見るのではなく、サプライチェーン全体を対象として考えることが重要です。

まとめ

米国では、年間ミサイル生産量が現在の約2,500発から今後数年間で6,000発超まで増えると予想されています。

一方、バロンズが調査した主要防衛企業10社の株価は、イランで戦闘が始まって以降、平均17%下落しています。

つまり現在の防衛セクターでは、事業環境が拡大している一方で、株式市場は将来の防衛支出を巡る政治リスクを警戒している状況です。

その中で注目したいのが、大手ミサイルメーカー3社と、それを支える6社のサプライヤーです。

今後の焦点は、ミサイル生産量の増加が実際に各社の売上や利益へどの程度反映されるかです。

約2.4倍という生産拡大が実現すれば、今回紹介した9社は「米国のミサイル増産」という長期テーマを追ううえで継続的に確認しておきたい企業群と考えます。

情報ソース: Barron’s: “RTX, Lockheed, and 7 More Stocks to Consider as Missile Production Rockets Higher” (By Al Root, Aug. 18, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「RTXに229億ドルの巨大契約 トマホーク10倍増産で浮上する「次の防衛株」

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