アップル株400ドルへのシナリオ エヌビディア提携がAI戦略を変える可能性

アップル(AAPL)のAI戦略が、大きな転換点を迎える可能性があります。

生成AI競争では、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)、メタ・プラットフォームズ(META)などが巨額の投資を続けています。一方、アップルは他のビッグテックと比べてAIへの投資を抑えてきました。

マーケットウォッチが2026年8月17日に報じたところによると、ロスチャイルド&Coレッドバーンは、アップルがエヌビディア(NVDA)との関係を深めることでAI戦略を立て直せる可能性があるとみています。さらに、アップル株の目標株価を400ドルとし、約30%の上昇余地を想定しています。

ポイントは単純に「エヌビディアとの提携で株価が上がる」ということではありません。アップルがAI時代に、自社開発にこだわる従来の戦略をどこまで変えられるのかが重要になります。

アップルのAI戦略に見える弱点

アップルは現在、生成AIサービスでアルファベット傘下のグーグルが提供するGeminiモデルを利用しています。

ロスチャイルド&Coレッドバーンによると、その対価として年間約10億ドルをグーグルへ支払っています。

アップルはこれまで、ハードウェア、OS、半導体、サービスを自社で深く統合することで競争力を築いてきました。しかし、生成AIでは同じ戦略が必ずしも最適とは限りません。

最先端AIモデルの開発には、膨大な計算資源や研究開発費が必要です。アップルが自社だけで最先端モデルを追い続ければ、投資負担が急速に膨らむ可能性があります。

そこで、「AIモデルをすべて自社開発する必要はない」という発想が重要になります。

エヌビディアとの提携は合理的な選択になり得る

ロスチャイルド&Coレッドバーンは、アップルがエヌビディアとの関係を強化し、オープンモデルを活用する可能性を指摘しています。

これはアップルのAI開発を諦めることではありません。

アップルの強みは、世界最高性能のAIモデルを開発することよりも、iPhone、Mac、iPadなどの巨大な製品群へ新しい技術を組み込み、使いやすいサービスとして提供することにあります。

外部のAIモデルを活用できれば、アップルは半導体設計や端末性能、OS、サービスなど、自社が競争力を持つ分野へ経営資源を集中できます。

AI競争が激しくなるほど、「何を自社で作り、何を外部から調達するのか」という判断が企業の収益性を左右することになります。

グーグルへの依存を減らす意味

エヌビディアとの提携には、もう1つ大きな意味があります。

それはグーグルへの依存を減らすことです。

アップルとグーグルはスマートフォン市場で競合しています。AIでもグーグルはGeminiをAndroidや自社サービスへ積極的に組み込んでいます。

その競合企業のAIモデルにアップルが大きく依存することは、中長期的なリスクになり得ます。

エヌビディアやオープンモデルを別の選択肢として確保すれば、アップルは特定企業への依存を抑えながら、用途ごとに複数のAIモデルを使い分ける戦略を取れる可能性があります。

エヌビディアにもメリット

提携が実現すれば、エヌビディア側にも大きなメリットがあります。

エヌビディアは2026年8月、オープンモデル「ネモトロン 3.5 ライトニング」を発表しました。同社によると、同程度の規模のモデルと比較して4倍の出力速度を実現しています。

エヌビディアはGPUだけでなく、AIモデルやソフトウェアまで提供するAIプラットフォーム企業へ事業領域を広げています。
*関連記事「エヌビディアはAIモデルでも覇権を狙う 巨額投資と「ネモトロン連合」の全貌

アップルの巨大な端末エコシステムでエヌビディアのAI技術が採用されれば、同社の影響力はデータセンターだけでなく、一般消費者向けAIへも広がる可能性があります。

最大の課題は両社の過去の関係

一方、提携には障害もあります。

2008年には、一部のMacBook Proに搭載されたエヌビディア製GPUで、パッケージング上の欠陥による故障問題が発生しました。

ロスチャイルド&Coレッドバーンは、過去の両社の関係を「非常に険悪な関係」だったと表現しています。

アップルは自社エコシステムへの支配力を重視する企業です。エヌビディアもAI市場で巨大な影響力を持っています。

価格、技術、データ管理、主導権などを巡り、両社がどこまで条件を合わせられるかが提携実現のポイントになります。

株価400ドルにはiPhone Ultraも重要

ロスチャイルド&Coレッドバーンの強気シナリオには、AIだけでなく折りたたみ式iPhoneも含まれています。

記事では「iPhone Ultra」と呼ばれる可能性がある折りたたみ式iPhoneが、2026年9月に発表されると予想されています。

ロスチャイルド&Coレッドバーンは価格を2,199ドル、2027年度の販売台数を1,400万台と予測しています。既存iPhoneからのカニバリゼーションも2%にとどまると想定しています。

これが実現すれば、アップルは販売台数を大きく増やさなくても、平均販売価格を引き上げることでiPhone事業の売上を伸ばせます。

一方、ジェフリーズのエディソン・リー氏は、ストレージ容量によって価格が最大3,099ドルになる可能性を指摘しています。

価格が高くなりすぎれば販売対象が限定されるため、「iPhone Ultra」が大規模な成長商品になるのか、高収益なニッチ商品になるのかは注目点です。

アップルの強みはAIを収益へ変える力

アップルの将来性を考える上で重要なのは、「最強のAIモデルを作れるか」だけではありません。

より重要なのは、AIをiPhoneやMacに組み込み、製品の買い替えやサービス収入につなげられるかです。

アップルはこれまでも、必ずしも新しい技術へ最初に参入した企業ではありません。それでも、技術を一般消費者が使いやすい製品へ変えることで巨大な市場を築いてきました。

生成AIでも同じことが起きる可能性があります。

エヌビディアなど外部の優れたAI技術を活用しながら、自社製品へ深く統合できれば、AI開発競争での出遅れを巻き返す余地があります。

アップルの次の成長を左右するのは、「誰が最高性能のAIを作るか」よりも、「誰がAIを最も大きな売上と利益へ変えられるか」という点になると考えます。

情報ソース

情報ソース: MarketWatch: “Apple’s stock could rise 30% if it strikes an Nvidia deal for AI, this analyst says” (By William Gavin, Aug. 17, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事はこちら  アップル AAPL

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

最新情報をチェックしよう!