トランプ「ドローン関税」で米国株が急騰 UMAC24%高、勝ち組企業はどこか

  • 2026年8月15日
  • 2026年8月15日
  • BS余話

2026年8月13日、米国のドローン市場を大きく変える可能性のある政策が打ち出されました。トランプ米政権が、海外から輸入されるドローンや関連部品に対して新たな関税を導入したことを発表しています。

今回の政策では、軍事用の大型ドローンに100%、小型ドローンや関連部品にも25%の関税が課されます。これによって米国市場では、単に高性能なドローンを開発できるかだけではなく、「どこで製造し、どこから部品を調達しているのか」が企業競争力を左右する重要な要素になってきました。

2026年8月14日の株式市場では、米国内に製造拠点を持つドローン関連企業が相次いで上昇しました。一方、海外の開発拠点やサプライチェーンへの依存度が高い企業には売りが出ています。

今回の関税政策をきっかけに、米国のドローン産業は「技術力」に加えて「国内サプライチェーン」を競う新しい段階へ入る可能性があります。

アンユージュアル・マシーンズが25%急騰

今回の関税発表で最も大きな反応を見せた企業の1つが、アンユージュアル・マシーンズ(UMAC)です。

同社はフロリダ州を拠点とするドローン部品メーカーで、ドローン用モーターなどの米国内生産を進めています。

2026年8月14日の米国市場では株価が前日比24.3%高の33.87ドルまで急騰しました。2026年に入ってからの上昇率は167%に達しています。

今回、小型ドローンだけでなく関連部品にも25%の関税が導入されたことで、海外製部品を使用している米国のドローンメーカーにとって輸入コストが上昇します。

その結果、モーターや電子部品などを米国内で供給できる企業への調達切り替えが進む可能性があります。

アンユージュアル・マシーンズの強みは、単にドローン市場が成長していることではありません。米国政府がドローンのサプライチェーンそのものを国内へ戻そうとしている政策の恩恵を直接受けられる点にあります。

国内生産比率を高めることができれば、需要拡大だけでなく価格決定力の向上にもつながる可能性があります。

レッド・キャットには海外メーカー排除の追い風

完成品メーカーでは、レッド・キャット・ホールディングス(RCAT)が注目されます。

同社は米国の防衛・安全保障用途を中心に、小型無人航空機や自律型ドローンを開発しています。8月14日の株価は8.8%上昇しました。

今回の関税では軍事用大型ドローンに100%という極めて高い税率が設定されました。

海外メーカーが米国市場へドローンを輸出する際の価格競争力が大きく低下するため、米国内で防衛需要に対応できるメーカーにはシェア拡大の機会が生まれます。

特に米国防総省など政府機関向け市場では、安全保障上の理由から中国を中心とした海外製ドローンへの依存を減らす動きが以前から進んでいます。

関税政策は、こうした流れをさらに加速させる可能性があります。

本社が米国でも安心できない「開発拠点リスク」

一方、今回の関税政策は、すべての米国ドローン企業にとって追い風というわけではありません。

象徴的なのがスウォーマー(SWMR)です。

同社は本社をテキサス州に置いているものの、運用や開発の主要拠点は欧州にあります。8月14日の株価は3.2%下落しました。

今回の政策では、米国内に本社があるかどうかだけではなく、技術開発や製造、部品調達がどこで行われているのかが重要になります。

EUなどの同盟国からの輸入にも15%、英国には10%の関税が設定され、さらにハードウェアやソフトウェアの原産地についても条件が設けられています。

そのため、本社だけを米国内に置き、実際のエンジニアリングや部品調達を海外に依存する企業は、今後サプライチェーンの再構築を迫られる可能性があります。

投資家にとっても、企業の本社所在地だけを見るのではなく、「実際にどこで開発し、どこで製造しているのか」を確認する重要性が高まりそうです。

クラトスやオンダスにも政策の恩恵

中堅の防衛・ドローン関連企業にも買いが広がりました。

クラトス・ディフェンス&セキュリティ・ソリューションズ(KTOS)は8月14日に2.9%上昇し、エアロバイロンメント(AVAV)は1.8%上昇しました。

自律型ドローンなどを展開するオンダス(ONDS)も3.7%上昇しています。

オンダスは直前の決算で四半期赤字が拡大したことから株価が下落していましたが、今回の関税政策を受けて買い戻されました。

業績だけを見れば不安定な企業であっても、米国政府がドローン産業を安全保障上の重要産業として保護する姿勢を強めれば、中長期的な需要期待が株価の支えになる可能性があります。

防衛大手にも波及するドローン国産化

今回の政策は中小型ドローン企業だけでなく、米国の大手防衛企業にも追い風となっています。

8月14日には、iシェアーズ米国航空宇宙・防衛ETFが1.4%上昇しました。

個別銘柄では、ボーイング(BA)が0.6%上昇、ロッキード・マーティン(LMT)が1.8%上昇、ノースロップ・グラマン(NOC)が1.9%上昇しています。

ドローンは単独の兵器として使用されるだけでなく、ミサイル、防空システム、通信ネットワーク、AI、自律制御システムなどと組み合わせて運用されます。

そのため、米国政府がドローンの国内生産能力を強化すれば、関連する防衛産業全体へ投資が波及する可能性があります。

今後のドローン株で注目したい2つのポイント

今回の政策から、今後ドローン関連企業を見るうえで重要となるポイントは大きく2つあります。

1つ目は、米国内でどこまでサプライチェーンを完結できるかです。

モーター、バッテリー、センサー、通信機器などの部品から最終組み立てまで米国内で行える企業ほど、海外製品への関税による恩恵を受けやすくなります。

特にアンユージュアル・マシーンズのような部品メーカーは、特定の完成品メーカーの勝敗に左右されず、米国ドローン産業全体の成長を取り込める可能性があります。

2つ目は、開発拠点を含めた「米国化」です。

これまでは、本社が米国企業であれば米国企業として評価されるケースもありました。しかし安全保障を理由とした産業政策が強まれば、開発者、ソフトウェア、部品、製造拠点まで含めたサプライチェーン全体が評価されるようになります。

米ドローン市場は「技術競争」から「国家戦略」へ

今回の関税政策で最も重要なのは、米国のドローン産業が単なる成長産業ではなく、国家安全保障政策の一部として扱われ始めていることです。

性能や価格だけで世界中から最適な部品を集める従来型のサプライチェーンから、多少コストが高くても米国内で生産できる体制へと政策の重点が移りつつあります。

この流れが続けば、企業価値を左右するのは売上高の成長率だけではありません。

「米国内で何を製造できるのか」「海外部品への依存度はどの程度なのか」「米政府の調達基準を満たせるのか」といった点が、ドローン企業を評価する重要な指標になります。

関税によって守られる企業と、サプライチェーン再編を迫られる企業。米国のドローン市場では、その差が今後さらに鮮明になっていく可能性があります。

情報ソース: Barron’s: “Unusual Machines, AeroVironment, and Ondas Rise as Trump Levies Tariffs on Drone Imports” (By Kit Norton, Aug. 14, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「低コストドローンが防衛産業を変える 注目すべき米国防衛株とは

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