アプライド・オプトエレクトロニクス(AAOI)は、2026年8月6日の米国株式市場終了後に第2四半期決算を発表しました。
売上高は前年同期から大幅に増加し、調整後ベースでは2023年以来となる黒字を達成しました。一方、第3四半期の利益見通しは市場予想を下回っており、決算内容は必ずしもすべてが強かったわけではありません。
それでも株価は翌日の取引で12%以上上昇しました(8月7日午後1時40分現在)。背景には、AIデータセンター向け光通信市場の拡大と、次世代1.6テラバイト・トランシーバーへの期待があります。
本記事では、最新決算を整理したうえで、アプライド・オプトエレクトロニクスが「ミーム株」という評価から脱却し、AIインフラ企業として成長できるのかを考察します。
第2四半期は売上高86%増、調整後黒字へ転換
第2四半期の売上高は1億9,190万ドルとなり、前年同期比86%増加しました。アナリスト予想の1億9,050万ドルも上回っています。
調整後1株当たり利益(EPS)は6セントとなり、市場予想を上回りました。調整後ベースで黒字となるのは2023年以来です。
これまでアプライド・オプトエレクトロニクスは、高い成長期待を集めながらも利益面では課題を抱えてきました。そのため、今回の黒字化は単なる売上拡大以上に重要な変化といえます。
AIデータセンターへの投資拡大が、ようやく同社の収益にも反映され始めた可能性があります。
第3四半期ガイダンスは市場予想を下回る
一方で、第3四半期の調整後EPS見通しは11セント〜26セントとなり、市場予想の28セントを下回りました。
通常であれば株価のマイナス材料になりかねませんが、市場は足元の利益よりも、その先の成長を重視したようです。
同社は第3四半期末から次世代の1.6テラバイト・トランシーバーの出荷を開始する計画です。
さらに第4四半期には、1.6テラバイトと800ギガバイトのトランシーバーを合わせて約3億3,000万ドルの売上高を見込んでいます。
現在は次世代製品の量産に向けた投資フェーズにあり、第3四半期の利益見通しの弱さだけで成長ストーリーを判断するのは早いと市場は判断したようです。
巨額設備投資でAIインフラ需要を取り込む
アプライド・オプトエレクトロニクスは生産能力の拡大にも積極的です。
第2四半期には5億6,550万ドルの設備投資を実施し、テキサス州では新たな施設を建設しています。下半期についても投資を継続する方針です。
非常に大きな投資額ですが、それだけAIデータセンター向け光トランシーバー需要の拡大を見込んでいるとも考えられます。
生成AIの性能向上にはGPUだけでなく、大量のデータを高速でやり取りするネットワークが欠かせません。
AIサーバーの台数が増え、データセンターが大型化するほど、800ギガバイトや1.6テラバイトといった高速光通信機器の重要性は高まります。
アプライド・オプトエレクトロニクスは、このAIインフラ投資の「裏側」で恩恵を受ける企業の1社です。
アマゾンやマイクロソフトが主要顧客
顧客基盤の強さも同社の大きな特徴です。
主要顧客にはアマゾン(AMZN)やマイクロソフト(MSFT)が含まれており、さらに社名非公開のハイパースケーラー1社からも2026年に大規模な購入があったことが明らかになっています。
世界最大級のクラウド企業が同社製品を採用していることは、技術力や量産能力に対する一定の評価を示していると考えられます。
一方、顧客が巨大企業に集中することはリスクでもあります。
顧客側がAI設備投資を減速させたり、調達先を変更したりした場合、売上高への影響が大きくなる可能性があります。また、大口顧客との価格交渉によって利益率が圧迫されるリスクにも注意が必要です。
株価は12%上昇、PERは33倍まで低下
決算翌日の8月7日、アプライド・オプトエレクトロニクス株は12%以上上昇しました。
バリュエーションを見ると、今後12カ月の予想利益を基準としたPERは約33倍です。5月上旬には80倍を超えていたため、利益成長によって割高感は大きく低下しました。
ただし、33倍という水準自体が絶対的に割安というわけではありません。今後も高い売上成長と利益拡大を続けることが前提となる株価水準です。
「ミーム株」の側面はまだ消えていない
業績が改善する一方で、株式市場では依然として投機的な側面も残っています。
発行済株式の13%以上が空売りされているほか、2025年に再組成された「ラウンドヒル・ミーム株ETF」では最大の保有銘柄となっています。
空売り比率が高い銘柄は、好材料が出るとショートカバーによって株価が急騰する一方、期待が後退すると急落する可能性があります。
つまり、業績が改善しても株価のボラティリティがすぐに低下するとは限りません。
投資銀行ニーダムは決算発表後、目標株価を220ドルから190ドルへ引き下げましたが、投資判断は「買い」を維持しています。
成長余地を評価する一方、株価上昇や短期的な不確実性も考慮した判断とみられます。
アプライド・オプトエレクトロニクスはAIインフラの大穴となるか
今回の決算で最も重要なのは、アプライド・オプトエレクトロニクスが売上成長だけでなく、利益を生み出す段階へ進み始めたことです。
売上高は前年同期比86%増となり、2023年以来となる調整後黒字を達成しました。さらに、第3四半期末から1.6テラバイト製品の出荷を開始し、第4四半期には800ギガバイト製品と合わせて約3億3,000万ドルの売上高を計画しています。
この計画が順調に進めば、同社に対する評価は「ミーム株」から「AIデータセンター向け光通信の成長企業」へ変化していく可能性があります。
一方で、巨額設備投資、大口顧客への依存、高い空売り比率など、リスクも小さくありません。
今後の最大の注目点は、1.6テラバイト製品を計画通り量産し、売上拡大を利益成長につなげられるかどうかです。
アプライド・オプトエレクトロニクスは、エヌビディアなどAI半導体大手ほど注目されていませんが、AIデータセンターの高速化という長期テーマの恩恵を受ける企業として、今後も注目しておきたい銘柄の1つです。
情報ソース: Barron’s: “This AI Stock Is Surging. Can It Shake the ‘Meme Stock’ Label?” (By Nate Wolf, Aug 07, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。