サンディスク株はなぜ下落した?好決算でも売られた3つの理由と933億ドル契約の価値

  • 2026年8月6日
  • 2026年8月6日
  • BS余話

サンディスク(SNDK)は2026年8月5日の米国株式市場終了後、6月を期末とする第4四半期決算を発表しました。

売上高と1株当たり利益は市場予想を上回り、データセンター事業やエッジ事業も大幅な成長を記録しました。それにもかかわらず、決算発表後の株価は時間外取引で5%以上下落しています。

今回の株価下落は、業績そのものが悪かったからではありません。次の四半期に対する市場の期待が非常に高くなっていたことや、一部事業の弱さが意識されたことが背景にあります。

本記事では、サンディスクの第4四半期決算を整理したうえで、株価が下落した理由と、数字の裏側にある同社の将来性について分析します。

サンディスク第4四半期決算の内容

サンディスクが発表した6月四半期の売上高は89.7億ドルとなり、前四半期比で51%増加しました。市場予想の84.8億ドルも上回っています。

調整後1株当たり利益(EPS)は39.25ドルとなり、市場予想の34.96ドルを大きく上回りました。

収益性を示す調整後粗利益率は84.6%に達し、前年同期から58.2パーセントポイント上昇しています。一般的な製造業の水準と比較しても、極めて高い利益率です。

事業別では、データセンター事業の売上高が前年同期比103%増の29.7億ドルとなり、市場予想の27.4億ドルを上回りました。

エッジ事業の売上高も54.3億ドルとなり、市場予想の44.6億ドルを大幅に超えています。

一方、コンシューマー事業の売上高は前年同期比32%減の5.56億ドルにとどまり、市場予想の8.74億ドルを下回りました。

データセンターとエッジ事業が力強く成長した半面、一般消費者向け事業の低迷が目立つ結果となっています。

9月四半期のガイダンスが株価下落の要因

サンディスクは9月四半期について、売上高を103億ドル〜108億ドルと予想しています。

予想レンジの上限は市場予想と同程度でしたが、中央値は市場予想の108億ドルを下回りました。

調整後EPSの見通しは44ドル〜46ドルです。レンジの中央値は45ドルとなるため、市場予想の44.72ドルを上回っていますが、急成長を期待していた投資家にとっては物足りない内容と受け止められた可能性があります。

調整後粗利益率の見通しは83%〜85%です。前四半期と同様に極めて高い水準を維持する計画であり、収益力そのものが悪化しているわけではありません。

今回の株価下落は、業績が悪かったというよりも、市場が期待していたほどガイダンスが強くなかったことが主な要因と考えられます。

データセンターとエッジが成長を牽引

今回の決算で最も重要なのは、サンディスクの事業構造が大きく変化している点です。

かつてのサンディスクは、パソコンやスマートフォン、カメラなどで使われる個人向け記憶装置のイメージが強い企業でした。

しかし現在は、データセンター事業とエッジ事業が売上高の大部分を占めています。

データセンター事業の売上高が前年同期比で2倍以上に拡大したことは、生成AIやクラウドサービスの普及に伴うストレージ需要を取り込んでいることを示しています。

AIモデルの学習や推論では、大量のデータを高速で保存・読み出しする必要があります。そのため、データセンター向けフラッシュメモリやストレージ製品の重要性は今後も高まると考えられます。

コンシューマー事業の低迷はリスク要因ですが、より高い成長が期待できる法人向け事業へ経営資源を移していると捉えることもできます。

サンディスクは、個人向けメモリ製品の会社から、AI時代のデータインフラを支えるBtoB企業へと変化しつつあります。

84.6%の粗利益率が示す高い収益力

調整後粗利益率が84.6%に達したことも、今回の決算における重要なポイントです。

メモリ業界は一般的に、需要と供給のバランスによって製品価格が大きく変動します。供給過剰になれば価格が下落し、利益率も急速に悪化する傾向があります。

しかし今回のサンディスクは、極めて高い粗利益率を確保しました。

AIデータセンター向けを中心とした高付加価値製品の販売拡大や、需給環境の改善、価格上昇などが収益性を押し上げたと考えられます。

9月四半期についても83%〜85%の粗利益率を予想しており、高収益体質が継続する見通しです。

市場は売上高ガイダンスの中央値に注目しましたが、利益率の高さを考慮すると、事業の基礎体力は依然として強い状態にあります。

933億ドルの複数年契約が生む収益の安定性

サンディスクは、直近2四半期に合計8件の新規ビジネスモデル契約を締結したことも発表しました。

これらは複数年にわたる顧客契約であり、下限価格を基準とした最低予想売上高は合計933億ドルに達します。

この契約の重要性は、将来の売上高をある程度予測できるようになる点にあります。

メモリ業界では、市況によって製品価格や販売数量が大きく変動します。しかし、下限価格が設定された長期契約が増えれば、市場価格が下落した場合でも一定の収益を確保できます。

933億ドルという契約規模は、サンディスクの将来の売上高を支える大きな基盤です。

単に足元の需要が好調なだけでなく、複数年契約によって顧客との関係を固定化し、収益の変動を抑える仕組みを構築している点は、同社の隠れた強みと言えます。

株価下落は期待値の高さを反映

サンディスクの決算は、売上高、EPS、データセンター事業、エッジ事業、粗利益率のいずれも好調な内容でした。

一方で、市場は将来の業績を先回りして株価に織り込みます。好決算であっても、ガイダンスが投資家の高い期待を上回らなければ、株価が下落することがあります。

今回も、9月四半期の売上高見通しの中央値が市場予想を下回ったことや、コンシューマー事業の売上高が予想を大幅に下回ったことが売り材料となりました。

ただし、これは事業の成長が止まったことを意味するものではありません。

データセンター事業は前年同期比103%増となり、エッジ事業も市場予想を大きく上回りました。さらに、80%を超える粗利益率と933億ドルの長期契約を確保しています。

短期的な市場の期待値と、企業の中長期的な成長力を分けて考える必要があります。

サンディスクの真の将来性

今回の決算から見えるサンディスクの強みは、大きく3つあります。

1つ目は、AIやクラウド需要を背景にデータセンター事業が急成長していることです。

2つ目は、高付加価値製品の拡大によって、極めて高い粗利益率を確保していることです。

3つ目は、複数年契約によって933億ドルの最低予想売上高を確保し、メモリ市況の変動リスクを抑えようとしていることです。

コンシューマー事業の低迷や、期待を下回った売上高ガイダンスには注意が必要です。しかし、全社的には法人向け事業への転換が進み、収益性と売上高の予測可能性は大きく改善しています。

サンディスクは現在、単なるフラッシュメモリメーカーから、AIデータセンターを支える高収益なデータインフラ企業へと進化する過程にあります。

今回の株価下落は、企業の実力が低下した結果というよりも、好調な業績を背景に市場の期待が高くなりすぎていたことによる反動と見ることができます。

今後は、データセンター事業の成長が継続するか、933億ドルの長期契約がどのように売上高とキャッシュフローへ反映されるかが重要な注目点です。

情報ソース: MarketWatch: “ Sandisk’s stock falls as the company’s forecast doesn’t live up to high expectations” (By Britney Nguyen, Aug. 5, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「サンディスク徹底分析:株価乱高下の中でウォール街が強気姿勢を崩さない理由

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

最新情報をチェックしよう!