米ソーシャルメディア企業のレディット(RDDT)が2026年7月30日のマーケット終了後に発表した第2四半期決算は、売上高と利益の双方が市場予想を上回る好調な内容となりました。
しかし、決算発表後の株価は大幅に下落しています。業績が好調だったにもかかわらず、なぜ投資家はレディット株を売ったのでしょうか。
本記事では、今回発表された決算の主要な数値を整理したうえで、株価急落の背景にある米国ユーザー数の減少や、AIデータライセンス事業への期待低下について分析します。
第2四半期決算は市場予想を大きく上回る
レディットが発表した2026年第2四半期決算は、表面的には非常に力強い内容でした。
売上高は8億500万ドルとなり、前年同期比で61%増加しました。市場予想の7億3,100万ドルも大幅に上回っています。
1株当たり利益(EPS)は1.25ドルとなり、市場予想の0.95ドルを上回りました。前年同期の0.45ドルと比較しても、利益水準は大きく改善しています。
ユーザー1人当たり売上高(ARPU)は前年比36%増の6.18ドルとなり、過去最高を記録しました。広告商品の改善や広告主の増加によって、既存ユーザーから得られる収益が拡大していることが分かります。
世界のデイリーアクティブユーザー数は前年同期比18%増の1億3,030万人でした。利用者数と収益性の両方が伸びており、決算数値だけを見れば、レディットの事業は順調に拡大しています。
好決算でも株価は20%急落
好調な決算とは対照的に、株式市場の反応は厳しいものとなりました。
レディット株は決算発表後のプレマーケットで9.6%下落し、その後も売りが続きました。7月31日の取引では前日比20.4%安となる141.70ドルまで急落しています(午後2時22分時点)。
同社株は決算発表前の時点で年初来23%下落していましたが、今回の決算を受けて下落幅がさらに拡大しました。
一方、ウォール街では強気な見方も残っています。ジェフリーズ(JEF)のアナリストは投資判断Buy(買い)を維持し、目標株価を225ドルから250ドルへ引き上げました。
つまり、市場ではレディットの長期的な価値を評価する意見がある一方、短期的な成長鈍化を警戒する動きが強まっています。
最大の懸念は米国ユーザー数の減少
今回の株価急落で最も重要な要因は、米国市場におけるユーザー数の減少です。
世界全体のデイリーアクティブユーザー数は増加しましたが、米国のデイリーアクティブユーザー数は5,320万人となり、前四半期の5,350万人から減少しました。
米国は広告単価が高く、レディットの収益を支える最重要市場です。その米国でユーザー数が減少したことは、将来の広告収益の成長に対する警戒材料となります。
ARPUが過去最高を記録している点は評価できますが、ユーザー数が伸びないまま広告表示や単価の上昇だけで収益を拡大する戦略には限界があります。
既存ユーザーから得られる収益を増やすことには成功しているものの、新しい利用者を獲得する力が弱まり始めているのではないかという疑念が市場で広がりました。
成長企業として高い企業価値を維持するためには、米国ユーザー数を再び増加させる必要があります。
検索エンジンへの依存が成長リスクに
レディットのユーザー増加は、検索エンジンからの流入に大きく依存しています。
利用者の多くは、アルファベット(GOOGL)傘下のグーグルなどで情報を検索し、その検索結果からレディットの投稿ページを訪れます。
しかし、検索エンジンがAIによる回答表示を強化すれば、利用者が検索結果の画面だけで情報を得られるようになり、レディットのサイトまで移動しないケースが増える可能性があります。
レディットの投稿がAI検索の回答作成に利用される一方で、実際のサイトへのアクセスが減少するという構造は、同社にとって大きなリスクです。
レディットが今後も成長を続けるためには、検索エンジン経由の一時的な訪問者を、アプリやコミュニティを継続的に利用するユーザーへ転換する必要があります。
AIデータライセンス事業にも停滞感
もう一つの失望材料は、AI企業とのデータライセンス契約に新たな進展が示されなかったことです。
レディットは、アルファベットやオープンAIに対し、AIモデルの学習に利用する投稿データを提供しています。両社はデータ利用料として、それぞれ年間推定6,000万〜7,000万ドルを支払っているとされています。
レディットにとって、AIデータライセンスは広告に次ぐ新たな収益源として期待されてきました。
しかし、今回の決算では追加契約や契約金額の拡大に関する発表はありませんでした。
既存契約による収入は安定的ですが、新しいAI企業との契約が増えなければ、急成長を支えるほどの事業にはなりません。市場が期待していたAIデータ事業の拡大に停滞感が見えたことも、株価を押し下げた要因と考えられます。
レディットの強みは人間による独自の議論
レディットの最大の強みは、利用者が実体験や専門知識を基に投稿する膨大なコミュニティデータです。
商品の口コミや趣味の情報、仕事上の悩み、投資、テクノロジーなど、レディットには一般的な検索結果だけでは得られない深い議論が蓄積されています。
こうした人間による生の情報は、AIが普及した時代においても高い価値を持ちます。AI企業がレディットのデータを必要としていること自体が、同社のデータ資産の希少性を示しています。
ただし、データの価値が高いことと、レディット自身のユーザー数が増えることは別の問題です。
同社が長期的な勝者になるためには、データライセンス料を得るだけでなく、利用者が直接レディットを訪れ、継続的に利用する仕組みを強化する必要があります。
今後の株価を左右する2つのポイント
今後のレディット株を判断するうえで重要なのは、米国ユーザー数とAIデータライセンス契約の2点です。
米国のデイリーアクティブユーザー数が再び増加に転じれば、広告事業の成長が持続するとの期待が高まる可能性があります。
さらに、新しいAI企業との契約や既存契約の増額が発表されれば、広告以外の収益源が拡大するとの評価につながります。
反対に、米国ユーザー数の減少が続き、AIライセンス事業にも進展がなければ、売上高や利益が好調でも株価の上値は抑えられる可能性があります。
今回の株価急落は、現在の業績に対する失望ではなく、将来の成長率に対する不安を反映したものです。
レディットには、独自のコミュニティと貴重なデータ資産があります。しかし、市場が再び高い成長期待を織り込むためには、次の四半期以降に具体的なユーザー数の改善と新たな収益機会を示す必要があります。
情報ソース: Barron’s: “The Search Traffic Trap: Why Reddit Stock Is Sinking Even After Earnings Beat Expectations” (By Nate Wolf, July 31, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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