アマゾン(AMZN)の株価が大きく上昇しています。7月31日の米国市場では、午後3時過ぎの段階で15.7%高で取引されています。となりました。この上昇率を終値まで維持した場合、2015年4月24日以来、約11年ぶりの大幅な株価上昇となります。
今回の株価急騰を牽引したのは、アマゾンの祖業であるEコマース事業ではありません。市場が高く評価したのは、クラウドコンピューティング部門のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が見せた力強い成長です。
AWSはアマゾン全体の利益を支える中核事業であり、生成AIの普及や企業のクラウド移行を背景に、再び成長速度を高めています。本記事では、最新の業績データを整理したうえで、AWSが掲げる年間売上高1兆ドルという構想が現実的なのかを考察します。
AWS売上高は422億ドル、成長率は18四半期ぶりの高水準
2026年第2四半期におけるAWSの売上高は422億ドルとなり、前年同期比36.7%増を記録しました。AWSの成長率としては、過去18四半期で最も高い水準です。
注目すべき点は、AWSがすでに巨大な売上規模を持つ事業であるにもかかわらず、成長率を再加速させていることです。
一般的に、企業や事業は規模が大きくなるほど、前年同期比の成長率を維持することが難しくなります。AWSの四半期売上高422億ドルを単純に年間換算すると、1,688億ドルに達します。
これほど巨大な事業が36%を超える成長を実現していることは、企業によるクラウド需要やAI関連の計算需要が、一時的なブームではなく、構造的な拡大局面に入っている可能性を示しています。
生成AIの開発や運用には、大量の半導体、データセンター、ストレージ、ネットワーク設備が必要です。企業が自社だけですべてのインフラを構築することは難しく、AWSのようなクラウド事業者を利用する動きが今後も続くと考えられます。
高成長だけではないAWSの強さ
AWSの評価ポイントは、売上高の急成長だけではありません。高い成長率と収益性を両立している点が、AWSの大きな強みです。
アマゾンのCFOであるブライアン・オルサフスキー氏は、第2四半期決算において、AWSの収益性を支える要因として、事業運営における規律、効率性の改善、設備容量の最適化、固定費の管理などを挙げました。
クラウド事業では、顧客需要の拡大を見越してデータセンターやサーバーへ先行投資する必要があります。一方で、設備を過剰に保有すれば、減価償却費や電力費、人件費などが利益を圧迫します。
AWSは、需要に対応するための投資を続けながら、既存インフラの稼働率やコスト構造を改善していると考えられます。売上成長を優先するだけでなく、設備投資と収益性のバランスを管理できていることが、現在のAWSの強さです。
高成長企業のような売上拡大と、成熟企業のようなコスト管理を同時に実現できれば、AWSは今後もアマゾン全体の利益とキャッシュフローを支える重要な存在となります。
年間売上高1兆ドル構想は実現可能か
アマゾンのアンディ・ジャシーCEOは、AWSについて、将来的に年間売上高1兆ドル規模の事業になる可能性があるとの見方を示しました。
アナリストによる2026会計年度のAWS売上高予測は1,697億ドルです。年間1兆ドルへ到達するには、現在の予測水準から約5.9倍まで事業規模を拡大する必要があります。
単純計算では、年間36.7%の成長を維持できた場合、約6年で売上高は現在の6倍を超えます。しかし、AWSほどの巨大事業が長期間にわたり30%を超える成長を続けることは簡単ではありません。
競合するマイクロソフトのAzureやグーグル・クラウドとの競争も激しく、データセンター建設に必要な電力、半導体、土地、冷却設備などの確保も課題となります。
一方で、世界のIT支出全体から見れば、クラウド化はまだ途上にあります。企業の基幹システム移行に加え、生成AI、機械学習、データ分析、ロボティクス、自動運転などが普及すれば、必要となる計算資源はさらに増加します。
AWSがクラウド市場で現在の競争力を維持し、AIインフラの主要な供給者であり続けることができれば、年間1兆ドルという目標は短期的には困難でも、長期的には完全に否定できない規模です。
アマゾンの企業価値を左右するAWSの将来性
現在のアマゾンは、Eコマース企業としてだけでは評価できません。AWS、広告、物流、サブスクリプションなど、複数の収益源を持つ巨大なテクノロジー企業へ変化しています。
その中でもAWSは、利益率と成長率の両面でアマゾンの企業価値を左右する最重要事業です。第2四半期に示された売上高422億ドル、前年同期比36.7%増という実績は、AWSが再び高成長局面へ入った可能性を示しています。
今後の焦点は、AI需要を取り込みながら、設備投資の増加をどこまで利益とキャッシュフローへ結びつけられるかです。売上高だけでなく、営業利益率や設備投資額、電力・半導体の供給状況を継続的に確認する必要があります。
年間売上高1兆ドルへの道程は長く、不確実性もあります。しかし、AWSの巨大な事業規模、高い成長率、収益性、顧客基盤を踏まえると、アマゾンがクラウドとAIの拡大から長期的な恩恵を受ける可能性は高いと考えられます。
情報ソース: MarketWatch: “Amazon’s stock rides booming cloud growth toward best day in 11 years” (By Hannah Pedone, July 31, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN
🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇