マイクロンとSKハイニックスが急反発 アルファベット決算が握るHBM市場の行方

生成AI向けインフラ投資の拡大を背景に、メモリ半導体関連銘柄の株価が激しく動いています。

特に注目されているのが、米国のマイクロン・テクノロジー(MU)と韓国のSKハイニックス(SKHY)です。両社はAIサーバーに欠かせない広帯域メモリ(HBM)の主要メーカーとして、AI投資拡大の恩恵を強く受けています。

一方で、メモリ価格の高騰やビッグテックによる半導体の内製化など、中長期的なリスクも浮上しています。

今回は、両社の直近の株価動向に加え、アルファベット(GOOGL)の決算や次世代AIチップ開発の報道から、メモリ半導体市場の将来性を分析します。

マイクロンとSKハイニックスが急反発

2026年7月21日の米国株式市場では、マイクロンが前日比12.1%高の970.5ドル、SKハイニックスの米国預託証券(ADR)も13%高の171ドルまで上昇しました(午後3時5分時点)。

AI向け半導体需要への期待が再び強まり、直前まで売られていたメモリ関連銘柄に買い戻しが入った形です。

マイクロンの株価は過去12カ月で約700%上昇しており、市場が同社の成長力を極めて高く評価していることが分かります。

背景にあるのが、AIアクセラレーターと組み合わせて使用されるHBMの需要拡大です。生成AIモデルの学習や推論では大量のデータを高速で処理する必要があり、従来型のメモリよりも高性能なHBMの重要性が高まっています。

マイクロンとSKハイニックスは、この成長市場で重要な位置を占めています。

株価上昇の裏側にある過熱感

ただし、足元の株価上昇を手放しで楽観視することはできません。

マイクロン株は今回の急反発前まで、直近1カ月で約18%下落していました。AI需要の成長期待が大きい一方、株価には高い将来成長率が織り込まれているため、わずかな懸念材料でも大幅に売られやすい状況です。

さらに、SKグループのチェ・テウォン会長は、現在のメモリ価格について「異常」な水準にあり、正常化が必要との認識を示しています。

メモリメーカーの経営トップからこうした発言が出たことは、現在の価格上昇や高い利益率が長期間続くとは限らないことを示しています。

AI向け需要が強くても、メーカー各社が生産能力を増強すれば、将来的に供給不足が解消される可能性があります。供給が需要に追いついた場合、メモリ価格が下落し、企業収益が伸び悩む展開も想定されます。

アルファベット決算がAI投資の試金石に

市場の次の注目材料は、7月22日に予定されているアルファベットの決算発表です。

投資家が注視しているのは、AI関連の設備投資額だけではありません。データセンターや半導体にどのように資金を配分するのかという点も重要になります。

アルファベットをはじめとするビッグテック企業がAI向け設備投資を拡大すれば、HBMを含むメモリ需要にとって追い風となります。

一方、投資効率の改善や独自半導体の開発が進めば、既存の半導体メーカーに対する依存度が低下する可能性もあります。

設備投資額が増加しても、そのすべてがマイクロンやSKハイニックスの売上増加につながるとは限りません。今後は投資額の規模だけでなく、AIインフラの設計そのものを確認する必要があります。

次世代AIチップ「Frozen v2」が示す内製化リスク

テクノロジー系メディアのジ・インフォメーションは、アルファベット傘下のグーグルが「Frozen v2」と呼ばれる次世代AIチップを開発していると報じました。

同チップは2028年頃の導入を目指しているとされ、データ転送量を減らす設計が検討されています。

AIチップとメモリの間で行われるデータ転送を減らすことができれば、処理速度の向上や消費電力の削減につながります。一方、外部メモリへの依存度が低下すれば、HBM需要の伸びを抑える可能性があります。

グーグル・クラウド側は、開発中のすべてのプロジェクトが実際の製品になるわけではないとの慎重な姿勢を示しています。

それでも、ビッグテック各社が独自半導体の開発を進め、AIインフラ全体の効率を高めようとしている流れは明確です。

短中期的にはHBM需要が急速に減少する可能性は低いものの、2028年以降を見据える場合、AIチップの設計変化は無視できないリスクとなります。

AIエージェントの普及が需要を押し上げる可能性

メモリ効率の向上が進んでも、AI処理全体の需要が増加すれば、メモリ市場は成長を続ける可能性があります。

UBSウェルスマネジメントは、2030年までにAI関連活動の90%以上がAIエージェントによって実行されるとの見通しを示しています。

AIエージェントとは、人間の指示を受けるだけでなく、状況を判断しながら複数の作業を自律的に進めるAIです。

企業活動にAIエージェントが広く導入されれば、常時稼働するAIシステムが増加し、必要となる計算処理量も大幅に拡大します。

1つのAIチップが使用するメモリ量が減少しても、稼働するAIチップや処理件数そのものが増えれば、メモリ需要全体は高水準を維持できます。

メモリ半導体市場の将来を判断する際には、チップ単体の効率改善とAI処理量の拡大を分けて考える必要があります。

メモリ半導体投資で注視すべきポイント

マイクロンとSKハイニックスは、AIインフラ投資の拡大によって大きな成長機会を得ています。

一方で、現在の株価にはHBM需要の拡大や高いメモリ価格が相当程度織り込まれている可能性があります。

今後は、ビッグテックの設備投資額、HBMの供給能力、メモリ価格の動向、独自AIチップの開発状況を継続的に確認することが重要です。

短期的にはアルファベットなどの決算発表によって株価が大きく変動する展開が続くと考えられます。

長期的には、AI需要の拡大がメモリ使用量の増加につながるのか、それとも半導体設計の進化によってメモリ依存度が低下するのかが焦点になります。

メモリ半導体市場は成長余地の大きい分野ですが、需要拡大だけを前提とするのではなく、供給増加と技術革新によるリスクも考慮した柔軟な投資判断が求められます。

情報ソース: Barron’s: “Why Micron Stock Is Soaring Ahead of Google Earnings” (By Adam Clark, July 21, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事はこちら マイクロン・テクノロジー MU SKハイニックス SKHY

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